- 著者
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犬飼 賢也
野本 真由美
須永 隆夫
- 出版者
- 一般社団法人 日本東洋医学会
- 雑誌
- 日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.3, pp.195-201, 2017 (Released:2017-12-26)
- 参考文献数
- 33
症例1は86歳男性。初診3日前より右耳鳴が出現した。耳鳴日常生活支障度(Tinnitus Handicap Inventory ;THI)は100点,血管拡張剤,ビタミン剤,様々な漢方薬,翳風への円皮鍼,TRT(Tinnitus Retraining Therapy)療法は無効であった。初診から7ヵ月目で両太渓に鍼治療を行い2ヵ月でTHI は12点となった。症例2は66歳女性。 初診1年前より両耳鳴が出現した。THI は26点で,様々な漢方薬,翳風への円皮鍼は無効であった。初診から1年後より両太渓に鍼治療を行い,3週間でTHI は4点となった。症例3は73歳女性。初診8日前より左耳鳴が出現した。THI は30点で,様々な漢方薬,翳風への円皮鍼は無効であった。初診から3ヵ月目に両太渓に鍼治療を行い,5 週間でTHI は10点,1年で8点となった。太渓は腎虚の耳鳴患者に試みる価値のある経穴と思われる。