- 著者
-
石崎 厚美
高木 哲夫
- 出版者
- THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
- 雑誌
- 日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.9, pp.307-311, 1951
1.本試験は飫肥地方のスギ各品種について実験生態学的見地から屈折率に就て1950年5月より翌年3月に到る1ケ年間の季別変化を見たものである。<br> 2.供試材料は地質,土壤,外囲の気象条件の殆んど同一と認めらるる飫肥営林署大戸野国有林内の18年生造林地より採取し,各個樹共に梢頭部先端2年生幹枝の先端の当年度伸長の枝葉を毎月18日朝10時を期して採取したが, 7月のみは1週間連続雨天のため午前中の雨の晴間を見て採集した。<br> 3.圧搾液は油圧式圧窄器を使用し, 300kg/m<sup>2</sup>にて搾液した。<br> 4.屈折率は島津製作所の加温装置附のAbbe屈折計を用い,温度は18℃と200℃に分つて測定した。<br> 5.屈折率の変化を季別に見るにスギの開舒期に於ては稍低く,生育最盛期に於ては漸次高まり,終止及び休止期に於ては昇騰の傾向を示して, 2月に最高に達し, 3月には急に降下する。<br> 6. 7月に於て総じて低位の屈折率を示すのは採取前日まで数日間連続雨天続きであつて,僅かな雨の晴間を見て採取した結果に基因するものであるが,これは一面同地方に於て同時期が最も旺盛な生長を行いつゝあることを示すものと認むべきである。<br> 7.屈折率が12月より2月の期間に累積的な増大を示すのは,同時期に於ては同地方の雨量は極めて少く,土壤水分減少し,地温も低いため,体内の水分は一層濃縮せられて養料も亦深費少く糖としての貯蔵せられた結果に基因するものと考えた。<br> 8. 品種による屈折率の月別変化の型を次の5種類に分類した。<br> 1. アカ型<br> 2.トサアカ,カラツキ,エダナガ型<br> 3.ガリン,ヒダリマキ型<br> 4.クロ,トサグロ,ハアラ型<br> 5.チリメントサ型<br> 6.メアサ型