著者
岡村 定矩 嶋作 一大 神谷 律 岡 良隆 久保野 茂 山口 英斉 坂野 仁 飯野 雄一 棚部 一成 遠藤 一佳 濵口 宏夫 山内 薫 松本 良 浦辺 徹郎 山形 俊男 日比谷 紀之 山本 正幸 渡邊 嘉典 井原 泰雄
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.6-15, 2012-03

東大での半世紀/岡村定矩先生を送る/退職にあたって/神谷律先生を送る/ミクロとマクロの世界に魅せられて/久保野茂先生を送る/退職の辞/坂野仁先生を送る/退職にあたって/棚部一成先生を送る/欅とヒマラヤスギの間/濵口宏夫先生を送る/石の上にも…38年/松本さんを送る/大学人生活を終えるにあたって/山形俊男先生を送る/退職にあたって/山本正幸先生を送る/青木健一先生を送る
著者
飯野 雄一 石原 健
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2017-05-31

線虫C.エレガンスは環境中の塩の濃度と餌の有無を連合して学習し、経験した塩濃度に向かう、あるいは避ける行動を示す。本研究はこの際の行動反転の分子・神経機構を明らかにすることを目的としている。この行動制御に重要であると以前の研究より分かっていたのがDAGシグナル伝達経路である。神経細胞内で、酵素ホスホリパーゼC(PLC)によりジアシルグリセロール(DAG)が生成される。生成されたDAGはプロテインキナーゼC(PKC)などの酵素を活性化する。このシグナル伝達経路が塩を感じる感覚神経(ASER神経)内で活性化されると線虫は高塩濃度方向に進み、不活性化されると低塩濃度方向に進むことが分かっていた。そこで、実際にDAGの量がどのように変化するかを調べた。このためにDownward DAG2とよばれる蛍光プローブをASER神経に発現させ、蛍光の変化を顕微鏡で観測することによりシナプス部位のDAG量を測定した。この結果、感覚入力としての塩濃度の変化に応答してDAG量が変化することが観察された。塩濃度が上昇するとDAGは低下、塩濃度下降時にはDAGは増加した。DAGの増減はASER神経の感覚受容に依存し、カルシウム、PLCに依存することもわかった。さらに、飢餓を経験した線虫ではDAG量の変化が小さかった。この単純な機構により、DAGは過去に経験した塩濃度と現在の塩濃度の差をコードできることがわかり、塩走性の反転機構の一部が説明できた。また、飢餓による行動変化におけるfoxo型転写因子の役割と働きかたについての研究を進めるとともに、ASER神経から下流の介在神経への情報伝達をカルシウムイメージングで解析した。さらに、全神経の活動の同時観察のための4Dイメージングシステムの導入を進めた。
著者
飯野 雄一
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.9, 2018-01-20

神経回路の情報処理は謎だらけ
著者
飯野 雄一郎 荒川 涼 長岡 弘祥 中田 充 葛 崎偉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MSS, システム数理と応用 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.466, pp.69-72, 2014-02-27

本稿では,翻刻・本文校訂が行われていない手書きの和文歴史資料を対象とした古文書画像検索システムについて述べる.このシステムでは,画像データは古文書の各行に書かれた文字の形状を表現する特徴グラフ(文書グラフ)と共に格納される.利用者は,所望する文字列の形状を特徴グラフ(検索グラフ)で指定する.システムは,検索グラフに類似した部分グラフを含む文書グラフを検索することで,所望された文字列に類似した部分領域を含む古文書画像を得る.文書グラフの検索において,利用者は検索グラフに加えて検索結果に必ず含まれなければならない必須構造を指定する.
著者
飯野 雄一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、線虫C.elegansを用い、性行動に関する突然変異体を分離することを目的とした。性行動は霊長類以外の多くの生物においては生後の学習を必要とせず、完全に遺伝的にプログラムされたものである。ところが、各種生物における性行動の記述は比較的よくなされているものの、その行動がいかにプログラムされているかという遺伝子レベルでの研究は非常に少ない。そこで、性行動の分子遺伝学的研究の第一歩として、線虫においてオスの性行動に異常のある突然変異体の分離を行った。オスが高頻度で出現するhim-5変異と、精子の注入に伴い雌雄同体の陰門に盛り上がり(プラグ)を生じるplg-1変異を持つ二重変異体に変異原処理を施し、プラグの形成を指標としてスクリーニングを行った。この結果、精子の注入に至らない突然変異体を39株分離した。線虫のオスの性行動は大まかにresponse to contact,turning,vulva location,spicule insertionの4つのステップから成るが、得られた変異体の中にはresponse to contactに異常があるものが14株、turningの異常が23株、vulva locationの異常が5株含まれていた。ただし、複数のステップに異常がある変異体も含まれている。また、これらの性行動不能変異体のうちの20株は、性行動に特に重要である尾部の形態に異常が見られた。オスの尾部にはSensory rayと呼ばれる感覚器官が左右9対存在するが、見られた異常の多くはSensory rayの融合、欠失などであった。また、精子の注入に重要な交尾針(spicule)の伸縮に欠陥があると思われる変異体も6株見出された。また、明らかな形態上の異常が見られない変異体の中の11株は蛍光色素DiOによる染色の結果、感覚神経の異常が明らかとなった。これらの突然変異体はオス特異的な構造、特に感器官の発生、分化に関わる遺伝子に変異を持つものと考えられる。本研究により、このような性分化に関わる遺伝子カスケードを明らかにするための端緒が得られた。