著者
加藤 和子 駒込 乃莉子 峯木 眞知子 森田 幸雄
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.23, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】米は、世界の二大食糧作物で、日本のみならずアジア諸国でも食べられている。近年、米の入手方法も多様化し、家庭における保存状況も様々である。米を安心で安全に喫食するための一助として、日本およびアジアの米の細菌汚染状況を調査した。【方法】日本の家庭米35(精白米29、無洗米6)、自家米14、市販米11の計60検体、および韓国6、タイ7、フィリピン8検体の市販米、計21検体について一般生菌、大腸菌群、大腸菌、食中毒菌(ウェルシュ菌、バチルス属菌)を定量検査した。大腸菌群、大腸菌、食中毒菌の同定は食品衛生検査指針に準じた。【結果および考察】生米の一般生菌の検出状況は、平均菌数(対数値/g)はタイ米が2.45±0.09と低く、日本の市販米は3.88±0.11と高かった。タイ米、フィリピン米は日本の家庭米である精白米・無洗米・自家米・市販米および韓国米の検体に比べて、一般生菌数は有意に低かった。大腸菌は韓国米1検体のみ検出された。大腸菌群は日本の無洗米1検体が3.82と高く、タイ米・フィリピン米からは検出されなかった。ウェルシュ菌は、いずれの検体からも検出されなかった。バチルス属菌の検出では、日本の無洗米6検体中2検体から検出され、陽性検体の平均菌数(対数値/g)は4.06±0.16と高く、タイ米(7検体中3検体が陽性)は2.54±0.14と低かった。日本の家庭米の精白米1検体、タイ米2検体、フィリピン米1検体の加熱検体から平均菌数(対数値/g)約2のバチルス属菌が検出された。陽性検体数は少ないものの加熱して喫食する米飯ではバチルス属菌による危害を防止することが必要であると思われた。
著者
加藤 和子 駒込 乃莉子 峯木 眞知子 森田 幸雄
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.259-265, 2019 (Released:2019-05-23)
参考文献数
15
被引用文献数
1

セレウス菌食中毒における赤飯の危害要因について検討した. 市販赤飯は34検体を購入し, 購入当日と18℃, 24時間保存したものを試料とした. 赤飯製造に用いる食材として, ささげ (10検体), あずき (7検体), ごま (12検体) の29検体を購入し試料とした. 細菌検査は一般生菌とバチルス属菌の定量検査を実施し, 分離したバチルス属菌は菌種の同定を行った. 一般生菌数1.5×104CFU/gとバチルス属菌5.2×102CFU/gが検出される汚染ごまを用いて160℃における殺菌時間の検討を行った. 購入当日の赤飯は3/34検体から, 24時間保存後の赤飯からは8/34検体からバチルス属菌が検出された. ささげ, あずき, ごまでは各々2/10検体, 1/7検体, 3/12検体からBacillus cereus, B. mycoides, B. lentus等のバチルス属菌が検出された. 汚染ごまを160℃に加熱したところバチルス属菌は未検出となった. 市販赤飯やささげ, あずき, ごまからバチルス属菌が分離されることが確認された. ごまは赤飯のセレウス属菌の高い危害要因であると思われることから, 振りかける前にはよく加熱することが必要と思われた.
著者
駒込 乃莉子 和田 涼子 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.91-98, 2021

<p> 本研究の目的は,エスプーマ法により米粥を調製し,その物理的特性を明らかにすることである。さらに,エスプーマ食が高齢者施設等で利用可能かを検討した。</p><p> 米粥の配合は,飯,牛乳,クリーム,砂糖,味噌を用いた。試料調製はエスプーマ法を用いて飯の配合量を変えA,B,C試料を調製した。</p><p> 調製した米粥は,高エネルギー・高たんぱく質食であった。調製後30分間でも離水せず気泡の状態が安定していた。いずれの試料も,えん下困難者用食品の許可基準の規格基準Ⅲを満たした。飯の配合の違いは,気泡の大きさ,気泡面積比,密度,硬さに影響した。官能評価の結果,いずれの試料も好まれた。さらに評価が高いB試料を用いて健常な高齢者を対象に嚥下内視鏡検査を行った結果,咽頭に残留なしと認められた。</p><p> 以上より,エスプーマ法で調製した米粥は高齢者施設で利用できる食形態だと考える。今後の課題として嚥下困難者を対象に検討する。</p>
著者
海野 知紀 駒込 乃莉子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.457-462, 2018-09-15 (Released:2018-09-19)
参考文献数
22

ラードを配合した高脂肪食に大麦若葉搾汁末を添加し,これをラットに4週間自由摂取させたときの糞中腸内細菌叢を分析した.本飼育開始前後における比較では,大麦若葉搾汁末を添加した群でBacteroides属の占有率が有意に減少し,Prevotella属の占有率が上昇した.また,群間での比較では,C群,HF群と比較して2% YBL群,10% YBL群のPrevotella属の占有率が高値を示し,Bacteroides属に対するPrevotella属の比(P/B比)の上昇が認められた.以上より,大麦若葉搾汁末は高脂肪食を負荷したラットにおいて腸内細菌叢に変化をもたらすことが示唆された.