著者
種村 宏之 後藤 友彦 高塚 純 中崎 晴弘 寺本 龍生
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.91-95, 2006-02-01
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

結核性痔瘻は稀とされている.我々は1985年から2003年までの18年間に痔瘻の膿から結核菌が証明されたll例を経験したので,これを報告する.平均年齢は43.8歳でいずれの症例も男性であった.全例結核治療のため当院紹介された.痔瘻はIILSが10例,IIIBが1例であり,6~7時方向の痔瘻が7例,2~3時方向が3例,11時方向が1例であった.結核性の粘膜病変を認めなかったことから,いずれの症例も以前からある痔瘻に結核菌が2次感染をおこしたものと考えられた。結核治療を開始し,排菌が停止したことを確認したのち根治術を行った.現在までのところ再発を認めていない.
著者
山本 洋子 橋本 明彦 冨樫 きょう子 高塚 純子 伊藤 明子 志村 英樹 伊藤 雅章
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.5, pp.821-826, 2001-04-20 (Released:2014-12-27)
被引用文献数
1

掌蹠膿疱症における歯性病巣治療の有効性を調べるために,新潟大学医学部附属病院皮膚科で掌蹠膿疱症と診断した60症例について検討した.本学歯学部附属病院第二補綴科で歯性病巣を検索したところ,54例に慢性根尖病巣または慢性辺縁性歯周炎を認め,歯科治療を開始した.皮疹の経過観察を行い,「治癒」,「著明改善」,「改善」,「軽度改善」,「不変」,「悪化」の6群に分類し,「改善」以上の皮疹の軽快を認めた症例を有効群とした.口腔内アレルゲン金属除去ないし扁桃摘出術を行った症例を除いた31例について,歯性病巣治療の有効性を検討した.有効率は,歯性病巣治療終了群では70.6%,歯性病巣治療途中群では57.1%,両者を合わせた「歯性病巣治療群」では64.5%であり,無治療群の14.3%に比べて有意に有効率が高かった.有効群では歯性病巣治療開始後比較的早期に治療効果を認めること,罹病期間が長期でも治療効果が速やかに現れる症例があることより,歯性病巣は掌蹠膿疱症の主要な発症因子の1つであると考えた.本症では,従来のような扁桃炎などの耳鼻咽候科的な感染病巣および歯科金属アレルギーの検索とともに,自覚症状の有無に関わらず歯性病巣の検索も行い,個々の患者ごとに適切な治療方針を決定することが重要である.
著者
結城 明彦 高塚 純子 竹之内 辰也
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.609-612, 2016-04-01

症例1は36歳女性で、6日前、右足底の色素斑を自覚した。色素斑は15×10mm大で、色調は褐色から橙色調で色素分布は均一で、左右対称、境界不明瞭、そう痒などの症状はなく無症候性であった。アルコール綿で拭っても脱色はみられず、ダーモスコピー所見で皮丘平行パターン(PRP)を認めた。早期の悪性黒色腫(MIS)と診断し、切除と植皮による再検を予定したが、初診8日後の入院時、色素斑は顕著に消退し生検のみで退院した。退院10日後の再診時に色素斑は完全に消退した。症例2は64歳女性で、2日前、左足底の色素斑を自覚した。色素斑は6×5mm大で、色調は赤みを帯びた橙色調で色素分布は均一で、左右対称、境界不明瞭、無症候性であった。アルコール綿で拭っても脱色はみられず、ダーモスコピー所見は特定のパターンは認めなかった。血腫疑いの臨床診断で、経過観察となった。23日後の再診時に色素斑はほぼ消失し、以後、有事再診としたが受診はなかった。カメムシ皮膚炎は虫体が分泌するヘキセナールなどアルデヒドの浸潤により発症するが足底では浸潤が角層内に留まるため炎症所見を欠き、色素沈着のみを呈する。両例は症状が似ておりカメムシが原因である可能性が推定され、原因不明の足底色素斑をみた場合はカメムシによる色素斑も鑑別の一つに挙げるべきと思われた。
著者
金子 弘真 高塚 純 柴 忠明 竹内 節夫 斉藤 徹 五十嵐 紀子 浅田 敏雄
出版者
The Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis
雑誌
血液と脈管 (ISSN:03869717)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.274-276, 1984-06-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
7

(Multiple organ failure) MOF or (Disseminated intravascular coagulation) DIC often becomes a fatal complication for the patients suffering from endotoxin shock. And it is also pointed out that MOF and DIC share many common or simiar clinical features. To clarify the relationship between these two, we surveyed the changes in haematological indices of organ failure patient.DIC was complicated in 10 of 14 patients with endotoxin shock and 9 of these were victimized. In the latter 9 cases, failure of more than three organs occured concomitantly. DIC observed in patients with organ failure is as follows: 10 in 13 cases of lung failure, 3 in 5 cases of heart failure, 10 in 12 cases of renal failure, 3 in 5 cases of liver failure and 3 in 4 cases of gastro-intestinal bleeding. Both organ failure and DIC usually began at the lung in endotoxin shock patients. From the viewpoint of haematology, hypercoagulable tendency preceded the lung failure. For example, decrease in antithrombin III and plasminogen level was observed prior to that in platelet.In endotoxin shock patients, MOF and DIC have close relationship, which suggests that hypercoagulable state induced by endotoxin triggers an organ failure and results in MOF through chain reactions.
著者
山本 洋子 橋本 明彦 冨樫 きょう子 高塚 純子 伊藤 明子 志村 英樹 伊藤 雅章
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.5, pp.821-826, 2001-04-20
参考文献数
17
被引用文献数
16

掌蹠膿疱症における歯性病巣治療の有効性を調べるために,新潟大学医学部附属病院皮膚科で掌蹠膿疱症と診断した60症例について検討した.本学歯学部附属病院第二補綴科で歯性病巣を検索したところ,54例に慢性根尖病巣または慢性辺縁性歯周炎を認め,歯科治療を開始した.皮疹の経過観察を行い,「治癒」,「著明改善」,「改善」,「軽度改善」,「不変」,「悪化」の6群に分類し,「改善」以上の皮疹の軽快を認めた症例を有効群とした.口腔内アレルゲン金属除去ないし扁桃摘出術を行った症例を除いた31例について,歯性病巣治療の有効性を検討した.有効率は,歯性病巣治療終了群では70.6%,歯性病巣治療途中群では57.1%,両者を合わせた「歯性病巣治療群」では64.5%であり,無治療群の14.3%に比べて有意に有効率が高かった.有効群では歯性病巣治療開始後比較的早期に治療効果を認めること,罹病期間が長期でも治療効果が速やかに現れる症例があることより,歯性病巣は掌蹠膿疱症の主要な発症因子の1つであると考えた.本症では,従来のような扁桃炎などの耳鼻咽候科的な感染病巣および歯科金属アレルギーの検索とともに,自覚症状の有無に関わらず歯性病巣の検索も行い,個々の患者ごとに適切な治療方針を決定することが重要である.