著者
清水 純子 伊藤 明子 山本 洋子 伊藤 雅章 本間 香 橋本 明彦
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.114, no.7, pp.1277-1282, 2004-06-20 (Released:2014-12-13)

1993~2002年の10年間に新潟大学医学部附属病院皮膚科で組織学的に扁平苔癬と診断し,経過を観察した症例のうち,薬剤性を除く78症例を集計した.合併疾患,C型肝炎ウイルスとの関連,金属試薬貼布試験結果や歯科金属除去の有効性を検討した.抗HCV抗体陽性率は15.4%(78例中12例)で高い傾向がみられた.口腔内病変を有する症例は64例であった.そのうち,貼布試験を施行した症例は40例で,何らかの金属試薬に陽性を示した症例は55.0%(40例中22例),さらに,歯科修復物に陽性金属含有が確認された症例数は15例,歯科金属除去有効率は77.8%(9例中7例)であった.その他,粘膜疹に接している部位の金属修復物を除去した後に粘膜疹が改善した症例が6例あり,歯科金属が非アレルギーの機序で関与する可能性も考えられた.以上より,扁平苔癬の原因ないし増悪因子として,歯科金属による接触アレルギーないし局所刺激性が重要と考えた.
著者
山本 洋子 橋本 明彦 冨樫 きょう子 高塚 純子 伊藤 明子 志村 英樹 伊藤 雅章
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.5, pp.821-826, 2001-04-20 (Released:2014-12-27)
被引用文献数
1

掌蹠膿疱症における歯性病巣治療の有効性を調べるために,新潟大学医学部附属病院皮膚科で掌蹠膿疱症と診断した60症例について検討した.本学歯学部附属病院第二補綴科で歯性病巣を検索したところ,54例に慢性根尖病巣または慢性辺縁性歯周炎を認め,歯科治療を開始した.皮疹の経過観察を行い,「治癒」,「著明改善」,「改善」,「軽度改善」,「不変」,「悪化」の6群に分類し,「改善」以上の皮疹の軽快を認めた症例を有効群とした.口腔内アレルゲン金属除去ないし扁桃摘出術を行った症例を除いた31例について,歯性病巣治療の有効性を検討した.有効率は,歯性病巣治療終了群では70.6%,歯性病巣治療途中群では57.1%,両者を合わせた「歯性病巣治療群」では64.5%であり,無治療群の14.3%に比べて有意に有効率が高かった.有効群では歯性病巣治療開始後比較的早期に治療効果を認めること,罹病期間が長期でも治療効果が速やかに現れる症例があることより,歯性病巣は掌蹠膿疱症の主要な発症因子の1つであると考えた.本症では,従来のような扁桃炎などの耳鼻咽候科的な感染病巣および歯科金属アレルギーの検索とともに,自覚症状の有無に関わらず歯性病巣の検索も行い,個々の患者ごとに適切な治療方針を決定することが重要である.
著者
伊藤 雅章
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.221-228, 2007-04-15 (Released:2009-03-13)
参考文献数
34

生下時から思春期までにヒト毛髪は次第に発達するが、以後、男女差や個人差はあるものの、加齢による形態変化を示す。はじめに、毛器官の構造、毛周期のメカニズム、毛髪色の仕組みについて解説した。続いて、毛髪の加齢現象として、壮年性・老人性脱毛症、老人性多毛症および白髪を紹介した。壮年性・老人性脱毛症は男性型脱毛症と同様のものとされ、頭頂~前頭の軟毛化が起こり、男性ホルモンと毛乳頭細胞の働きが重要とみられている。一方、とくに男性では、逆に、加齢とともに眉毛、髭、耳毛、鼻毛が多毛になる。白髪は、毛母メラノサイトの機能低下ないし脱落によるが、近年、メラノサイト幹細胞の分化・増殖の問題が議論されている。(オンラインのみ掲載)
著者
小川 秀興 植木 理恵 西山 茂夫 伊藤 雅章 西岡 清
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.1206-1211, 1995
被引用文献数
3

円形脱毛症に対する抗アレルギー剤(アゼラスチン:アゼプチン<SUP>&reg;</SUP>)の臨床症状におよぼす影響と有用性について広く円形脱毛症の治療薬として用いられているセファランチンと比較検討した。総症例数は53例であった。円形脱毛症患者のアトピー素因の有無に関係なくアゼラスチン投与群ではセファランチン投与群に比較し脱毛巣およびその周辺の病的毛や抜け毛の程度は速やかに改善された。再生毛の推移は両試験群とも同様の改善経過であった。抗アレルギー作用を有するアゼラスチンが円形脱毛症の臨床像改善に効果をおよぼしたことは円形脱毛症の治療上にも, その病態形成を考える上でも興味深い知見であると考えられた。
著者
会沢 敦子 株本 武範 折目 真理 浅野 幸恵 松山 麻子 藤原 浩 伊藤 雅章 三井田 博
出版者
日本皮膚悪性腫瘍学会
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.58-62, 2014

56歳,女性。両親はいとこ婚。生下時より毛髪と虹彩の色素異常,弱視があった。2011年1月頃より左大腿に易出血性の紅色結節が出現した。前医で切除生検された病理組織では,びらん表面から真皮中層に,HMB45,melanA,S100蛋白,Fontana-Masson染色で陽性となる異型なメラノサイトが増殖しており,悪性黒色腫(MM)と診断され,同年4月に当科を紹介受診した。拡大切除術,分層植皮術を施行し,センチネルリンパ節生検は陰性であった。pT3bN0M0 stage ⅡBと診断し,術後インターフェロン局注療法を行っている。眼皮膚型白皮症(OCA)については遺伝子検索を施行し,Ⅰ型と診断した。OCAと有棘細胞癌や基底細胞癌を含む皮膚悪性腫瘍の合併は多く報告されているが,MMとの合併は少ない。
著者
山本 洋子 橋本 明彦 冨樫 きょう子 高塚 純子 伊藤 明子 志村 英樹 伊藤 雅章
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.5, pp.821-826, 2001-04-20
参考文献数
17
被引用文献数
16

掌蹠膿疱症における歯性病巣治療の有効性を調べるために,新潟大学医学部附属病院皮膚科で掌蹠膿疱症と診断した60症例について検討した.本学歯学部附属病院第二補綴科で歯性病巣を検索したところ,54例に慢性根尖病巣または慢性辺縁性歯周炎を認め,歯科治療を開始した.皮疹の経過観察を行い,「治癒」,「著明改善」,「改善」,「軽度改善」,「不変」,「悪化」の6群に分類し,「改善」以上の皮疹の軽快を認めた症例を有効群とした.口腔内アレルゲン金属除去ないし扁桃摘出術を行った症例を除いた31例について,歯性病巣治療の有効性を検討した.有効率は,歯性病巣治療終了群では70.6%,歯性病巣治療途中群では57.1%,両者を合わせた「歯性病巣治療群」では64.5%であり,無治療群の14.3%に比べて有意に有効率が高かった.有効群では歯性病巣治療開始後比較的早期に治療効果を認めること,罹病期間が長期でも治療効果が速やかに現れる症例があることより,歯性病巣は掌蹠膿疱症の主要な発症因子の1つであると考えた.本症では,従来のような扁桃炎などの耳鼻咽候科的な感染病巣および歯科金属アレルギーの検索とともに,自覚症状の有無に関わらず歯性病巣の検索も行い,個々の患者ごとに適切な治療方針を決定することが重要である.
著者
伊藤 雅章
出版者
Japan Organization of Clinical Dermatologists
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 = Journal of the Japan Organization of Clinical Dermatologists (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.221-228, 2007-04-15
参考文献数
34

生下時から思春期までにヒト毛髪は次第に発達するが、以後、男女差や個人差はあるものの、加齢による形態変化を示す。はじめに、毛器官の構造、毛周期のメカニズム、毛髪色の仕組みについて解説した。続いて、毛髪の加齢現象として、壮年性・老人性脱毛症、老人性多毛症および白髪を紹介した。壮年性・老人性脱毛症は男性型脱毛症と同様のものとされ、頭頂~前頭の軟毛化が起こり、男性ホルモンと毛乳頭細胞の働きが重要とみられている。一方、とくに男性では、逆に、加齢とともに眉毛、髭、耳毛、鼻毛が多毛になる。白髪は、毛母メラノサイトの機能低下ないし脱落によるが、近年、メラノサイト幹細胞の分化・増殖の問題が議論されている。(オンラインのみ掲載)