著者
高寺 恒慈 三宅 義明 平光 正典 井上 孝司 片桐 孝夫
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成22年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.176, 2010 (Released:2010-08-27)

【目的】レモン果汁に豊富に含まれる有機酸は、ミネラル類をキレート化して、生体内での吸収を促進することが知られている。そこで、本研究では、レモン果汁が、高硬度ミネラルウォーター中に含まれるカルシウム及びマグネシウムの吸収に及ぼす影響について検討した。 【方法】試料として、カルシウム464ppm及びマグネシウム87ppmをそれぞれ含む市販のミネラルウォーターと、クエン酸を7%含む市販のレモン果汁製品を用いた。試験管試験では、人工腸液(80mMリン酸緩衝液、pH6.8)とレモン果汁を3%(v/v)添加したミネラルウォーターを混合したときのカルシウム及びマグネシウムの可溶化率を測定した。動物試験では、9週齢の雄性wistarラットを8時間絶食させ、レモン果汁を3%(v/v)添加したミネラルウォーターを25ml/kg体重で経口投与した後、16時間採尿して、尿中のカルシウム及びマグネシウム濃度を測定した。 【結果】試験管試験において、レモン果汁添加ミネラルウォーター中のカルシウム及びマグネシウムの可溶化率は、レモン果汁無添加の場合と比較して、共に有意に高値を示した。また、動物試験においても、レモン果汁添加ミネラルウォーターの投与は、レモン果汁無添加投与と比較して、クレアチニン補正した尿中カルシウム及びマグネシウム濃度を共に有意に増加させた。以上のことより、レモン果汁は高硬度ミネラルウォーター中のミネラル吸収を促進させることが示唆された。
著者
丸山 弘明 高寺 恒慈 佐藤 恵理子 跡部 昌彦 片桐 孝夫
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成22年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.166, 2010 (Released:2010-08-27)

【目的】炊飯における浸水条件は、米飯中の還元糖量やアミノ酸量を変化させるが、その際、クエン酸などを添加して、pHを低下させるとこれらの成分が増加することが知られている。そこで、本研究では、クエン酸を豊富に含むレモン果汁を添加することで、炊飯後の米飯の成分、官能特性および機器測定による物性がどのように変化するかを検討した。 【方法】平成21年愛知県産コシヒカリの精白米およびクエン酸を7%含む広島県産レモン果汁製品を試料とした。洗米後、レモン果汁0.7%(v/v)含む水を米重量の1.5倍量加え、室温で2時間浸水後、電気炊飯器で炊飯した。炊飯後の米飯の50%エタノール抽出物について、全糖量、グルコース量、全アミノ酸量をそれぞれフェノール硫酸法、酵素法、ニンヒドリン法により測定した。官能特性については、2点識別試験法によって、香り・味・食感について評価した。また、機器測定による物性に関しては、テクスチャーアナライザーで荷重測定を行った。 【結果】レモン果汁を添加した米飯の糖類および全アミノ酸は、レモン果汁無添加の場合と比較して、ともに有意に増加した。官能特性においては、レモン果汁無添加の場合と比較して、食感に違いがみられた。機器による物性測定では、レモン果汁を添加した米飯のほうが硬く、弾力が強いことが示された。
著者
小川 博 堺 通子 高寺 恒慈 目黒 忠道
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.127-132, 1997-04-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
24
被引用文献数
3 3

田七人参粉末投与が通常食飼育SHRSPの血圧ならびに脂質代謝に及ぼす影響について検討を行った。1) SHRSPの血圧上昇は投与5週間目より7週間目にわたって抑制が観察され, 6週間目で有意な上昇抑制が認められた。2) 血清脂質代謝においては, 血清脂質含量への影響は認められなかったが, 血清apoE含量の有意な上昇が観察された。この上昇はHDLの亜分画の一つであるapoEに富むHDL (HDL1) の上昇に基づくものであった。さらに動脈硬化指数の一つであるapoB/apoA-Iの有意な低値が認められた。以上のことから田七人参粉末投与による血清脂質代謝改善作用が示唆された。3) 肝臓脂質代謝においては, 肝臓脂質含量ならびにマイクロソーム分画のコレステロール代謝関連酵素活性, いずれも有意な変動は認められず, 田七人参粉末投与が肝臓脂質代謝に及ぼす影響は小さいものと考えられる。