著者
水田 孝信 八木 勲 高島 幸成
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.2P6GS1002, 2022 (Released:2022-07-11)

多くのファイナンス(金融)研究は,投資戦略の最適化や市場の効率性など,さまざまな仮定の上で議論されている.しかし,その仮定そのものが批判されることも少なくない.投資戦略の最適化が不可能な要因として,投資家自身の売買によって価格を変化させてしまうこと(マーケットインパクト)を最適化時に考慮できないことも考えられる.そこで本研究では,人工市場を用いてバックテストによってシミュレーション期間を通じて投資戦略の最適なパラメータを1つ探すエージェントを追加してシミュレーションを行い,マーケットインパクトを最適化時に考慮できないという要因だけで最適化が安定しなくなることを議論した.その結果,投資戦略のパラメータはある値に収束することなく不安定になることが分かった.他の全員が全く同じに固定されていたとしても,数人が戦略の最適化を行うために,バックテストとその実践投入を繰り返し行うだけで,その戦略は定まることがないし,価格時系列も特定のものには達せず,不安定となった.この最適化の不安定性は,価格時系列の規則性をも不安定にさせうる.このことから,金融市場は本質的に不安定であると言えるかもしれない.
著者
高島 幸成 荻林 成章
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2014年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.177-180, 2014 (Released:2015-01-30)

景気循環およびGDPに及ぼす減税の影響を再現するためのモデル条件について一連の計算機実験により検討した。その結果、景気循環を再現するための必要条件は投資に際しての信用創造がモデルに内包されていること、またGDPに及ぼす所得税減税効果再現のための必要条件は政府による非効率な支出がモデルに内包されていること、GDPに及ぼす法人税減税効果再現のための必要条件は政府による非効率な支出に加えて、減税による利益剰余金を支出するメカニズム(経営者報酬、設備投資における自己資金使用)が内包されていること、であることがわかった。このことは特定のマクロ現象を再現するために必要不可欠なモデル構造が存在することを示している。
著者
荻林 成章 高島 幸成
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2010年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.85, 2010 (Released:2010-11-15)

著者らは先に企業、消費者、銀行エージェントを内包し、価格・生産量・投資をエージェントが自己調整する人工経済エージェントベースモデルを構築し、景気循環などの現実の経済挙動と同様の振舞いが再現されることを明らかにした。本研究では上記モデルを産業連関表及びGDPの計算が行えるように改良し、GDP及び景気変動は投資に伴う銀行からの資金借入を伴う市場流通資金量と、消費者の可処分所得による需要量、及びこれら要因の周期的変動によって説明できることを明らかにし、これらの結果から現実経済の景気循環に及ぼす諸要因の影響について考察した。
著者
高島 幸成 荻林 成章
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.177-180, 2014

景気循環およびGDPに及ぼす減税の影響を再現するためのモデル条件について一連の計算機実験により検討した。その結果、景気循環を再現するための必要条件は投資に際しての信用創造がモデルに内包されていること、またGDPに及ぼす所得税減税効果再現のための必要条件は政府による非効率な支出がモデルに内包されていること、GDPに及ぼす法人税減税効果再現のための必要条件は政府による非効率な支出に加えて、減税による利益剰余金を支出するメカニズム(経営者報酬、設備投資における自己資金使用)が内包されていること、であることがわかった。このことは特定のマクロ現象を再現するために必要不可欠なモデル構造が存在することを示している。
著者
会田 巌 高島 幸成 荻林 茂章
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2011年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.37, 2011 (Released:2011-12-01)

今日、マルチエージェントシミュレーションはミクロ的行動からマクロな相互作用を解析するものとして広く用いられている。マクロ経済システムにおいても、消費者、生産者、銀行から成る人工経済システムにおいて価格の均衡、資金循環、景気循環、それに伴うGDPの推移等の基本的経済挙動の再現が確認されている。本研究では上記モデルにおけるGDPの変化量、消費者の資産分布、同一製品種の市場価格差、各生産者の売上高等がべき乗則で表される事を示し、更にこれらの創発挙動に及ぼす各エージェントの人数比率等パラメータ条件の影響について解析した。