著者
本田 春彦 植木 章三 岡田 徹 江端 真伍 河西 敏幸 高戸 仁郎 犬塚 剛 荒山 直子 芳賀 博
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.968-976, 2010 (Released:2014-06-12)
参考文献数
35
被引用文献数
12

目的 本研究は,集会所での自主活動への参加状況と心理社会的健康および生活機能との関連を明らかにすることを研究目的とした。方法 対象は,宮城県の農村部に在住の65歳以上高齢者の中から無作為に 1/3 抽出で得られた413人(2007年12月31日現在)である。初回調査が2008年 2 月に,追跡調査が2009年 2 月に行われた。2 回の調査ともに回答が得られた315人のうち,回答に欠損のない218人を分析に用いた。自主活動の参加が心理社会的健康および生活機能の各指標に及ぼす影響については,自主活動参加状況を独立変数,各健康指標を従属変数とするロジスティック回帰分析を用いて分析した。結果 自主活動への参加状況は,1 年間に 6 回以上参加の高頻度参加者が63人(28.9%),6 回未満参加の低頻度参加者が60人(27.5%),1 回も参加しない不参加者が95人(43.6%)であった。 自主活動の不参加者に比べ,高頻度参加者は抑うつ尺度(OR=0.34, 95%CI: 0.13–0.89),社会参加(OR=0.12, 95%CI: 0.05–0.29),老研式活動能力指標(OR=0.26, 95%CI: 0.08–0.78)の項目において有意にその機能低下を抑えていた。結論 高齢者の自主活動への参加は,不参加者に比べ精神的健康度や社会的健康度および高次の生活機能の低下を抑制することが示唆された。
著者
北村 勝朗 山内 武巳 高戸 仁郎 安田 俊広
出版者
公益社団法人 全国大学体育連合
雑誌
大学体育学 (ISSN:13491296)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.15-25, 2007

本研究は,スノーボード・カービングターン初習者である大学生が3日間の集中講習の中で,a)動作・技術理解,b)動作イメージ,c)動作結果に対する感覚的理解,が指導によってどのように変化していくのか,実際の雪上での動作前後の感覚情報の内省報告による発話の分析と動作映像の分析,更には,講習前後日の荷重分布の変化の分析による多角的な分析を行うことで,スノーボード学習者を指導する際の客観的かつ理論的裏づけに基づいた有効な指導法を提案することを目的とする.分析の結果,動作習得過程における動作意識は,運動構造の認知,動作感覚の洗練,及び動作イメージの形成の3要素によって構成されている点が明らかとなった.これらの要素は,自身の中の「運動の不感性」を低下させる上で有効に作用しつつ,指導者の意図する動作イメージを共有する方向で機能している点が示唆される.こうした点から,カービングターン初習者に対する短期集中指導内容の構成として,学習初期には目的とする動作全体の理解を促す言語的・非言語的情報を用いた教示と同時に,学習者の感覚に注意が向けられるようなフィードバックによる自身の動作感覚の鋭敏化を促すことが,自身による動作イメージの形成に効果的に作用することが推察される.また,荷重変化からの検討により,講習前はフロントサイドターンの局面において前足かかと親指側に明らかな荷重分布は観察できなかったが,講習後は講習前と比べてフロントサイドターン中の前足かかと親指側に明らかな荷重分布が観察された.
著者
島貫 秀樹 本田 春彦 伊藤 常久 河西 敏幸 高戸 仁郎 坂本 譲 犬塚 剛 伊藤 弓月 荒山 直子 植木 章三 芳賀 博
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.749-759, 2007 (Released:2014-07-03)
参考文献数
35
被引用文献数
11

目的 本研究は,高齢者の介護予防推進ボランティアへの参加による社会・身体的健康および QOL への影響について,1 年間の縦断データをもとに一般の高齢者との比較によって明らかにすることを目的とした。方法 初回調査は,2003年に宮城県の農村部に在住する高齢者(70~84歳)を対象として行われた。初回調査に参加した1,503人の中から介護予防推進ボランティアの募集を行った。その結果,77人がボランティアリーダーに登録した。一年後,ボランティア活動による影響を明らかにするために,追跡調査をした。最終的に,介護予防推進ボランティア参加者69人と一般高齢者1,207人を分析対象者とした。ボランティア活動の社会・身体的健康指標および QOL 指標への影響については,ボランティア活動状況を説明変数,社会・身体的健康指標および QOL 指標を目的変数とするロジスティック回帰分析を用いて分析した。結果 ボランティア参加者に比べ一般高齢者は,知的能動性(OR:4.51,95%CI:1.60-12.74),社会的役割(OR:2.85,95%CI:1.11-7.27),日常生活動作に対する自己効力感(OR:4.58,95%CI:1.11-18.88),経済的ゆとり満足度(OR:2.83,95%CI:1.11-7.21),近所との交流頻度(OR:3.62,95%CI:1.29-10.16)の項目において有意に低下することが示された。結論 高齢者の介護予防推進ボランティア活動への参加は,一般高齢者に比べ高次の生活機能やソーシャルネットワークの低下を抑制することが示唆された。