著者
熊谷 修 渡辺 修一郎 柴田 博 天野 秀紀 藤原 佳典 新開 省二 吉田 英世 鈴木 隆雄 湯川 晴美 安村 誠司 芳賀 博
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1117-1124, 2003 (Released:2014-12-10)
参考文献数
23
被引用文献数
35

目的 地域在宅高齢者における食品摂取の多様性と高次生活機能の自立度低下の関連を分析する。対象と方法 対象は,秋田県南外村に在住する65歳以上の地域高齢者である。ベーライン調査は1992年,追跡調査は1997年に行われた。ベースライン調査には748人が参加し,追跡時に生存し調査に参加した男性235人,女性373人,計608人(平均年齢:71.5歳)を分析対象とした。調査方法は面接聞き取り調査法を採用した。高次生活機能の自立度は,老研式活動能力指標により測定した。食品摂取の多様性は,肉類,魚介類,卵類,牛乳,大豆製品,緑黄色野菜類,海草類,果物,芋類,および油脂類の10食品群を選び,1 週間の食品摂取頻度で把握した。各食品群について「ほぼ毎日食べる」に 1 点,「2日 1 回食べる」,「週に 1, 2 回食べる」,および「ほとんど食べない」の摂取頻度は 0 点とし,合計点数を求め食品摂取の多様性得点とした。解析は,1 点以上の老研式活動能力指標得点の低下の有無を従属変数(低下あり 1,なし 0),食品摂取の多様性得点を説明変数とする多重ロジスティック回帰分析によった。結果 分析対象のベースライン時の食品摂取の多様性得点の平均値は男性,6.5,女性6.7点であった。老研式活動能力指標総合点の平均点は11.4点であった。食品摂取の多様性得点の高い群で老研式活動能力指標の得点低下の危険度が低いことが認められた。老研式活動能力指標の得点低下の相対危険度[95%信頼区間]は,食品摂取の多様性得点が 3 点以下の群(10パーセンタイル(P)以下)を基準としたとき,4~8 点の群(10P 超90P 未満)および 9 点以上の群(90P 以上)では,手段的自立においては,それぞれ0.72[0.50-1.67], 0.61[0.34-1.48],知的能動性においては,それぞれ0.50[0.29-0.86], 0.40[0.20-0.77],社会的役割においては,それぞれ0.44[0.26-0.0.75], 0.43[0.20-0.82]であった。この関係は,性,年齢,学歴,およびベースラインの各下位尺度得点の影響を調整した後のものである。結論 多様な食品を摂取することが地域在宅高齢者の高次生活機能の自立性の低下を予防することが示唆された。
著者
山科 典子 柴 喜崇 渡辺 修一郎 新野 直明 植木 章三 芳賀 博
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1561, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】福祉用具はその使用により高齢者の日常生活動作の向上や介助量軽減,生活範囲の拡大を図ることができる。これまでに福祉用具の販売・貸与数は報告されているが,高齢者の福祉用具使用状況を報告したものはない。よって本研究は,一般高齢者(要支援・要介護認定を受けていない高齢者),要支援・要介護高齢者について,無作為標本抽出による実態調査を行い,高齢者の福祉用具使用状況を明らかにすることを目的とした。【方法】札幌市手稲区在住の65歳以上の一般高齢者,要支援・要介護高齢者から各2500名を無作為に抽出し,無記名の質問紙票による郵送調査を実施した。福祉用具使用に関する質問は,「あなたが普段使用している福祉用具すべてに○をつけてください」とし,杖,シルバーカー,歩行器,車いす,移動用リフト,補聴器,視覚補助具(拡大鏡など),ポータブルトイレ・尿器,食事介助器具,コルセット,上肢装具,下肢装具,その他,どれも使用していない,の中から回答を求めた(複数回答)。集計は介護度別に行い,統計解析として福祉用具使用率の性別比較についてχ2検定を行った。なお,5%未満を統計的有意とした。【倫理的配慮,説明と同意】質問紙票の返送をもって同意とした。また,本研究は研究倫理委員会から承認を得た上で実施した。【結果】分析対象者は,一般高齢者1386名(男性715名,女性671名,平均年齢72.8±6.2歳),要支援・要介護高齢者998名(男性307名,女性691名,平均年齢82.7±7.4歳)であった。1.何らかの福祉用具を使用している人の割合何らかの福祉用具を使用している人の割合は,一般高齢者で22.4%(男性19.3%,女性25.6%),要支援・要介護高齢者全体で80.4%(男性75.6%,女性82.5%)であった。さらに,要支援1-2では80.2%(男性73.3%,女性83.2%),要介護1-2では76.7%(男性72.6%,女性78.5%),要介護3-5では87.6%(男性85.1%,女性88.7%)であった。なお,一般高齢者と要支援1-2では女性で福祉用具使用率が有意に高かった。2.使用率の高い福祉用具-要介護度・性別の検討-(1)一般高齢者男性では,コルセット6.2%,杖5.7%,補聴器5.2%,視覚補助具4.9%,下肢装具1.5%の順に,女性では,杖9.2%,コルセット7.6%,視覚補助具4.6%,補聴器4.3%,下肢装具2.2%の順に使用率が高く,杖・シルバーカーは女性で使用率が有意に高かった。(2)要支援1-2の高齢者男性では,杖51.7%,補聴器19.8%,視覚補助具19.8%,コルセット16.4%,下肢装具6.0%の順に,女性では,杖71.8%,コルセット26.7%,視覚補助具16.4%,補聴器10.7%,シルバーカー7.6%の順に使用率が高く,杖・シルバーカー・コルセットは女性で,補聴器は男性で使用率が有意に高かった。(3)要介護1-2の高齢者男性では,杖50.8%,視覚補助具16.9%,補聴器15.3%,車いす12.9%,ポータブルトイレ・尿器10.5%の順に,女性では,杖54.8%,車いす21.9%,コルセット16.5%,歩行器14.3%,補聴器13.3%の順に使用率が高く,車いす・コルセットは女性で,視覚補助具は男性で使用率が有意に高かった。(4)要介護3-5の高齢者男性では,車いす65.7%,杖20.9%,ポータブルトイレ・尿器19.4%,移動用リフト14.9%,食事介助器具13.4%の順に,女性では,車いす66.0%,杖31.3%,ポータブルトイレ・尿器20.7%,歩行器10.7%,補聴器8.0%の順に使用率が高く,移動用リフト・食事介助器具は男性で使用率が有意に高かった。【考察】一般高齢者の福祉用具使用率が2割以上であったことから,給付対象でなくとも何らかの支援が必要な対象が存在することが考えられた。また,福祉用具使用率には性差がみられ,介護度が低い高齢者において女性の使用率が有意に高かった。福祉用具の種類別では,使用率が高いものとして杖や車いす,コルセットが挙げられ,これらの福祉用具調整に関する知識・技能向上が求められると考えられた。また,補聴器や視覚補助具についても使用率が高く,高齢者の生活機能向上を考える上で理学療法士が使用方法等理解しておくことは必要であると考えられた。今後の研究発展として,使用率が高い福祉用具を中心に,需要と供給のバランスに関する調査や,使用方法・調整について適切か否かを調査する必要があると考えられた。【理学療法学研究としての意義】これまでに高齢者の福祉用具使用状況を報告したものはない。本調査の結果は,理学療法分野において今後の福祉用具に関する教育・研究を行う上での一助となると考えられる。
著者
芳賀 博文
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.3-18, 2006 (Released:2020-02-29)
参考文献数
23
被引用文献数
1

高層の建築物は都市の景観を形成する重要な一要素である.本稿では,東京での近年における超高層建築の著しい建設増を踏まえ,東京の景観が如何に変容しているかを明らかにし,その背景についての考察を行った.東京における超高層建築の建設動向は大きく3 つの時期に分けられるが,時を経るに従って建築数は加速度的に増加している.特に2002 年に成立した「都市再生特別措置法」は,超高層建築の建設に際しての様々な規制を大きく緩和し,建設増を著しく加速化させたものと考えられる.地域別に見ると,西新宿が早期から際立ったスカイラインを形成していたが,1980 年代後半からは都心部やウォーターフロント地域でも著しく高層化が伸展するようになった.ただし,様々な高さ規制により,どの地域でも超高層建築が自由に高く伸びることはない.とりわけ航空法による高さ規制は,東京のスカイラインの形状を大きく規定しているものといえる.
著者
芳賀 博文
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.116-134, 1998-05-31 (Released:2017-05-19)

本稿の目的は, 第二次世界大戦後における邦銀の国際展開の空間的な側面を明らかにすることにある. 1960年代までは, 都市銀行, 特に外国為替専門銀行である東京銀行主体の海外展開がなされ, ニューヨークとロンドンの2大国際金融センターを主要な進出先としていた. 1970年代に入って邦銀の国際業務が拡大するとともに, 進出先は2大国際金融センター以外の都市へも広がっていく. 同時に, ニューヨークとロンドンに香港を加えた3大センターを軸とする, 世界三極体制がこの時期確立される. 1980年代は円高と好景気により, 地方銀行やその他の金融機関も加わって邦銀の海外進出が加速する. 地域的には, 北米や欧州といった先進国の都市やオフショアセンターへの進出が活発化する. そしてバブル経済後の1991年以降には, 店舗配置のリストラが起こるとともに, アジア諸国での急速な経済発展と当地域での規制緩和を受けて, 邦銀の国際展開はアジア指向が強くなった. こうした世界的な三極構造を基底とする邦銀の海外展開は, ニューヨーク・ロンドン・香港の3大国際金融センターをユーロ取引による外貨資金調達の主要な窓口とし, 取り入れた資金を主に日系企業の海外進出に伴う現地貸付として運用することで, それぞれの後背地域の都市間において比較的安定した階層的な関係を有しながら進出がなされて, 店舗ネットワークが形成されてきたと考えられる.
著者
本田 春彦 植木 章三 岡田 徹 江端 真伍 河西 敏幸 高戸 仁郎 犬塚 剛 荒山 直子 芳賀 博
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.968-976, 2010 (Released:2014-06-12)
参考文献数
35
被引用文献数
12

目的 本研究は,集会所での自主活動への参加状況と心理社会的健康および生活機能との関連を明らかにすることを研究目的とした。方法 対象は,宮城県の農村部に在住の65歳以上高齢者の中から無作為に 1/3 抽出で得られた413人(2007年12月31日現在)である。初回調査が2008年 2 月に,追跡調査が2009年 2 月に行われた。2 回の調査ともに回答が得られた315人のうち,回答に欠損のない218人を分析に用いた。自主活動の参加が心理社会的健康および生活機能の各指標に及ぼす影響については,自主活動参加状況を独立変数,各健康指標を従属変数とするロジスティック回帰分析を用いて分析した。結果 自主活動への参加状況は,1 年間に 6 回以上参加の高頻度参加者が63人(28.9%),6 回未満参加の低頻度参加者が60人(27.5%),1 回も参加しない不参加者が95人(43.6%)であった。 自主活動の不参加者に比べ,高頻度参加者は抑うつ尺度(OR=0.34, 95%CI: 0.13–0.89),社会参加(OR=0.12, 95%CI: 0.05–0.29),老研式活動能力指標(OR=0.26, 95%CI: 0.08–0.78)の項目において有意にその機能低下を抑えていた。結論 高齢者の自主活動への参加は,不参加者に比べ精神的健康度や社会的健康度および高次の生活機能の低下を抑制することが示唆された。
著者
中塚 智之 芳賀 博英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.66, pp.31-36, 2014-05-29

本稿では,GPUによる並列計算のフレームワークであるNVIDIA CUDAに基づくGPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)による処理をより平易に記述可能なRuby用のライブラリであるrbcudaの設計と開発について述べる.実装にはコンパイラ開発環境であるLLVMを用い,RubyのソースコードをLLVMに変換し,そこからGPUのアセンブリ言語に相当するNVIDIA PTXを生成する.rbcudaの利用によって,native Rubyに対して5000倍の高速化,native CUDAプログラムに対して約半分のコード量で同様のプログラムが書けたことを確認した.
著者
島貫 秀樹 本田 春彦 伊藤 常久 河西 敏幸 高戸 仁郎 坂本 譲 犬塚 剛 伊藤 弓月 荒山 直子 植木 章三 芳賀 博
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.749-759, 2007 (Released:2014-07-03)
参考文献数
35
被引用文献数
11

目的 本研究は,高齢者の介護予防推進ボランティアへの参加による社会・身体的健康および QOL への影響について,1 年間の縦断データをもとに一般の高齢者との比較によって明らかにすることを目的とした。方法 初回調査は,2003年に宮城県の農村部に在住する高齢者(70~84歳)を対象として行われた。初回調査に参加した1,503人の中から介護予防推進ボランティアの募集を行った。その結果,77人がボランティアリーダーに登録した。一年後,ボランティア活動による影響を明らかにするために,追跡調査をした。最終的に,介護予防推進ボランティア参加者69人と一般高齢者1,207人を分析対象者とした。ボランティア活動の社会・身体的健康指標および QOL 指標への影響については,ボランティア活動状況を説明変数,社会・身体的健康指標および QOL 指標を目的変数とするロジスティック回帰分析を用いて分析した。結果 ボランティア参加者に比べ一般高齢者は,知的能動性(OR:4.51,95%CI:1.60-12.74),社会的役割(OR:2.85,95%CI:1.11-7.27),日常生活動作に対する自己効力感(OR:4.58,95%CI:1.11-18.88),経済的ゆとり満足度(OR:2.83,95%CI:1.11-7.21),近所との交流頻度(OR:3.62,95%CI:1.29-10.16)の項目において有意に低下することが示された。結論 高齢者の介護予防推進ボランティア活動への参加は,一般高齢者に比べ高次の生活機能やソーシャルネットワークの低下を抑制することが示唆された。
著者
池田 晋平 長谷川 裕司 関本 繁樹 王 建人 平井 美佳 芳賀 博
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.427-435, 2022-08-15 (Released:2022-08-15)
参考文献数
28

COVID-19の流行下における行動制限が地域在住高齢者の主観的健康感の悪化に及ぼす影響を検討するため,神奈川県綾瀬市の高齢者を対象に2019年12月と2020年7月に追跡調査を実施した.330名のうち2時点で健康維持(A群)75.2%,健康悪化(B群)7.3%であり,A群・B群を従属変数としたロジスティック回帰分析では,主観的健康感の健康悪化(B群)に「運動器機能の低下(リスクありを維持/ありへ悪化)」,「うつ傾向(リスクありを維持/ありへ悪化)」が影響し,作業療法士が高齢者の主観的健康感の悪化を予防していくうえで,身体の活動性やメンタルヘルスを維持していくことが手掛かりになると考えられた.
著者
池田 晋平 西村 恭介 鈴木 武志 佐藤 美喜 野尻 裕一 芳賀 博
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.195-203, 2021-04-15 (Released:2021-04-15)
参考文献数
27

地域在住高齢者の余暇的生活行為と社会関係の関連を明らかにすることを目的に,神奈川県綾瀬市在住の高齢者に質問紙調査を実施した.回答の不備を除いた1,587名の分析から,結束型ソーシャル・キャピタルは鑑賞活動,音楽活動,観光活動の実施ならびに娯楽活動の非実施に,橋渡し型ソーシャル・キャピタルは文化的活動,観光活動の非実施に関連があり,近隣住民との交流頻度はスポーツ活動,文化的活動,自然と触れ合う活動の実施に関連していた.以上の結果から,社会関係と余暇的生活行為の関係性は異なる様相を呈しており,作業療法士が地域在住高齢者の余暇的生活行為を促進するためには,対象地域での高齢者の社会関係の特徴に着目する必要がある.
著者
仁木 賢治 新谷 公朗 糠野 亜紀 金田 重郎 芳賀 博英
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.601-614, 2009-02-15

保育所では,子どもの発達状況を記録する「発達記録」の作成・保存が,厚生労働省の指導によって義務付けられている.発達記録については,作成・保存するための発達記録システムが数社から市販されている.しかし,既存の発達記録システムでは,子ども1人ひとりの発達傾向を表示するグラフ機能は持っているが,クラス全体の保育傾向を示す機能は持っていない.そこで,本論文では,保育者の保育傾向をグラフによって読み取ることのできる,発達記録システムを提案する.具体的には,ヴィゴツキーの発達の最近接領域理論を観察項目スコアの付与方法に適用する.これによって,発達記録を作成する際の項目間のスコア付与基準のバラツキを排除する.次に,発達記録データを主成分分析し,その第1主成分を保育者にフィードバックする.プロトタイプシステムを用いて評価データを取得し,その第1主成分を保育者に提示するとともに,グラウンデッド・セオリ・アプローチで分析した.その結果,第1主成分には保育者の視点が反映されることを確認できた.
著者
齋藤 崇雅 粟田 大樹 増原 孝昭 芳賀 博英
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.397-398, 2016-03-10

プログラムスライシングはプログラムの依存関係を解析する技術であり,ソフトウェアテスト,デバッグ,プログラム理解,コード最適化など,広範囲に応用されている技術である.また,LLVMは任意のプログラム言語に対応可能なコンパイル基盤であり,LLVM IRは特定のプログラミング言語とCPUアーキテクチャに依存しない中間表現である.本研究では,より多くのプログラミング言語に対応したプログラムスライスを求めるツールを実現するため,LLVM IRを対象としたプログラムスライシングツールを実装した.
著者
七田 恵子 大場 京子 芳賀 博 上野 晴美 柴田 博 松崎 俊久 高橋 重郎 斉藤 紀仁
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.260-267, 1977-07-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
24

東京都養育院老人ホームの老年者 (男子724名, 女子1,239名) 計1,963名を対象として血清コレステロール, トリグリセリドを測定し, 皮脂厚, 老人環, 収縮期血圧, 拡張期血圧, 心電図所見との関連について検討した.1) 血清コレステロール分布はほぼ正規型を呈し, トリグリセリドはやや右方に偏った分布を描いたが対数変換を行うと幾分偏りが是正された.2) 5歳間隔の平均値で血清コレステロールの加齢変化を検討すると, 男子は横ばい, 女子は加齢とともに減少傾向を示した. トリグリセリドについても同じ傾向であった. すべての年齢層で性差を認め, 男子に比し女子は有意に高値であった.3) 各変量における単相関係数を求めると, 血清脂質と皮脂厚の間に男女いずれも有意な相関が示された (血清コレステロール: 男子r=0.215, 女子r=0.241, トリグリセリド: 男子r=0.254, 女子r=0.327, いずれもp>0.001). 血清脂質と老人環の関係は男子のトリグリセリドにおいてのみ低い正相関 (r=0.101, p>0.05) がえられた. 夜間排尿回数と女子のコレステロールおよび, 夜間排尿回数と男子のトリグリセリドの間に低い負の相関がえられた. 血清脂質と血圧の関係では, 女子においてコレステロールと収縮期血圧との関係を除いて低い正相関々係を示し, 男子ではトリグリセリドと拡張期血圧の間にのみ低い正相関を示した.4) 血清コレステロール. トリグリセリドに関し, 年齢, 皮脂厚・老人環, 夜間排尿回数, 収縮期血圧, 拡張期圧の6項目に対する偏相関係数を求めると血清脂質と肥満の指標である皮脂厚との関連は単相関と同様強いが, 皮脂厚などの要因を除外すると, 血清脂質と年齢および血圧との相関は低くなった. 男子において老人環および夜間排尿回数とトリグリセリドの間に有意な相関が認められた.5) 血清脂質レベルによる心電図所見出現率に関して, 高脂血群に有意に高率である所見は見出せず, 低脂質群に心房細動ならびに高電位出現率の高い傾向が認められた. 年齢変化を鋭敏に表わした異常Q, ST-T所見についても脂質レベルによる一定の関係はなかった.
著者
七田 恵子 大場 京子 芳賀 博 上野 晴美 柴田 博 松崎 俊久 高橋 重郎 斉藤 紀仁
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.38-43, 1977-01-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
24
被引用文献数
2 1

都老人ホームに居住する65歳以上の男724名, 女1,239名, 計1,963名を対象として集団検診を行い, 諸種臨床検査成績における加齢変化を検討し, 次の如き結果を得た.1) 老人環: 老人環出現率は年齢が進むにつれ有意に増加し, 程度も増強し, 加齢変化を顕著に現わす指標と考えられた. また老人環と血清コレステロールとの関係は認められなかった.2) 夜間排尿回数: 就寝してから朝起床するまでの排尿回数は, 加齢とともに頻回となり, この傾向は男に比し女に強く認められた.3) 肥満度: 肥満について身長, 体重より算定した肥満度ならびに栄研式皮厚計を用いて計測した皮下脂肪厚の両面より加齢変化をみると, 女では加齢にともないるいそう傾向が認められた. この関係は肥満度に較べ皮下脂肪厚により強く表現された. しかし男では加齢による体格変動は一定の傾向を示さず横ばいであった.4) 血圧: 収縮期血圧は加齢とともに上昇し, 拡張期血圧は下降の傾向がみられるが, とくに女に顕著な変化が認められた.5) 心電図: 加齢にともなう心電図異常はST-T変化, 脚ブロック, PQ延長, 心房細動, 左軸偏位であり,とりわけST-T異常の出現が目立った.6) 血清脂質: コレステロールの平均値について男は概して横ばい, 女は加齢とともに明らかな低下を示す. 中性脂肪は男・女ともに平均値の減少化をみるが, 女により強い傾向が認められた.
著者
今城 和宏 上坂 和也 柴田 征宏 芳賀 博英 金田 重郎
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.4, pp.1-8, 2009-05-08
被引用文献数
1 3

幼児は集団生活を通して社会性を身につけるため,保育者や友達との交友関係が成長に大きく影響を及ぼしていると考えられる.そのため,保育者がそれぞれの幼児に応じた保育を行うには,幼児一人ひとりの交友関係を把握しておかなければならない.しかし,1クラスに何十人もいる幼児一人ひとりの交友関係を日々観察するには,知識・技術だけでなく,豊富な経験が必要であり,経験の浅い保育者には困難である.そこで,著者らは保育者への支援として,幼児に活動量を記録する歩数計を装着し,そこから得られる活動量のクラスタリング結果から,幼児の交友関係を分析する手法を提案してきた.しかし,従来手法では,加速度情報のみであったため,位置情報を無視して分析していた.そのため,子ども同士が離れた場所で遊んでいても,同じ遊びをしていた場合に交友があると誤認識していた.そこで本稿では,RFID及び加速度センサを用いて,子どもの位置及び活動量を測定し,それらを基に子どもの交友関係を分析した.そして,幼稚園で実験をした結果,従来手法と比較して,精度向上が得られ有効性を検証できた.Children learn to fit into society through living in a group, and their sociability is greatly influenced by their friendship relations. Although preschool teachers need to observe them to assist in the growth of children's social progress and support the development of each child's personality, only experienced teachers can watch over children while providing high quality guidance. Therefore, the authors have been proposing the method that analyzes the children's friendship relation from accelerometer sensors. But, previous method has no location information because we use only accelerometer sensors. So if two groups do the same play in different locations, members of these groups have a friendship relation. In this paper, we get area information by active-RFID. So we propose an extraction method of children's friendship relation by acceleration data and located information. The result of experimentation by a kindergarten, we could inspect the validity of our method.
著者
山崎 幸子 藺牟田 洋美 橋本 美芽 繁田 雅弘 芳賀 博 安村 誠司
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.20-27, 2008-06-25

本研究では,都市部在住高齢者における閉じこもりと家族関係,社会関係の特徴を検討し,閉じこもり予防・支援のための基礎資料を得ることを目的とした。東京都A区在住の65歳以上の住民に対する郵送調査の有効回答者3,592名から,要介護者等を除き,訪問許可のあった閉じこもり95名,性別と年齢,移動能力をマッチングさせた非閉じこもり95名を対象とした。調査完了者は閉じこもり69名,非閉じこもり73名であった。分析の結果,閉じこもりは,1.同居家族との会話が少なく,同居している他世代との家計が一緒である傾向が示され,2.同居家族がいる場合には家庭内における役割が少なく,3.居宅から30分以上の距離圈における交流人数や,情報的サポート,外出援助に非閉じこもりと差異があることが確認された。以上から、閉じこもりの同居家族に対する情緒的依存傾向や,周囲との関係性が非閉じこもりと異なっていることが推察された。