著者
和田 英夫 南川 光三 大岩 道明 兼児 敏浩 森 美貴 玉木 茂久 高木 幹郎 影山 慎一 片山 直之 南 信行 出口 克巳 白川 茂
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.773-776, 1991 (Released:2009-03-12)
参考文献数
7

特発性血小板減少性紫斑病(ITP), SLE, 慢性関節リュウマチ,再生不良性貧血患者の血中Interleukin-6 (IL-6)値を測定し,ITP例やSLE例では血中IL-6値の増加が認められた。またITPの治療にともない血中IL-6値は減少し,ITP発症時に血中IL-6値と血小板数は弱い負の相関を示した。この血中IL-6値の増加は,ITPの発症に免疫系の活性化が関与していることを示唆すると考えられた。
著者
鳥谷部 邦明 高木 幹郎 村田 哲也 濱田 正行
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.59, 2009

〈諸言〉サルモネラ菌は細菌性胃腸炎の主な原因菌である<BR>が,臨床症状が他の細菌性胃腸炎より激しいことが多く,<BR>急性腎不全の合併も稀ではないとされている。今回我々は<BR>急性腎不全を合併したサルモネラ胃腸炎の1例を経験した<BR>ので報告する。<BR>〈症例〉58歳男性。飲食店で昼食にエビ天丼を食べた数時<BR>間後より下痢,嘔吐が出現し,翌日には吃逆も出現した。<BR>1日に20回以上の下痢,嘔吐を繰り返し,ほとんど食事,<BR>水分も摂れない日が続いた。それから4日後に衰弱してい<BR>るのを家人が発見し,近医から当院へ紹介となった。受診<BR>時,バイタルサインに大きな異常は認めないものの,口腔<BR>内・皮膚の乾燥,頸静脈の虚脱,四肢の冷感を認め,脱水<BR>が疑われた。血液検査では血液濃縮,異常な高窒素血症,<BR>代謝性アシドーシス,CPK 高値を認めた。腹部エコーで<BR>は腎萎縮や水腎症は認めず,尿検査では腎前性が疑われた<BR>ため,感染性胃腸炎に伴う腎前性急性腎不全の診断で入院<BR>となった。入院後,初期輸液にて尿量の反応を認めたた<BR>め,輸液を続行し高窒素血症の改善を認めた。また便培養<BR>より非チフス性のサルモネラ菌O―9群が検出され,下痢<BR>が非常に激しかったため,FOM の内服を行った。下痢が<BR>改善した後に経口摂取を開始し,第24病日に輸液を終了し<BR>て第26病日に退院となった。退院後の経過は良好でBUN,<BR>Cr 値は正常値まで回復した。<BR>〈結語〉サルモネラ胃腸炎により腎前性急性腎不全をきた<BR>した原因は主に脱水と考えられ,補液によって腎不全は著<BR>しく改善した。高度の腎不全であっても腎前性の場合は経<BR>過に注意しつつ十分な補液を施行することが重要と考えら<BR>れた。<BR>