著者
高橋 敏之
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.197-209, 2003-03-31 (Released:2017-06-12)

Most researchers are opposed to exhibitions or contests for children and students because of the educational inappropriateness, however, they are held in Japan all year round and also awardoriented or commercialism doesn't disappear. When an exhibition or contest is just for praising the expression activity, there is no problem. Therefore, an exhibition or contest which truly admires children's originality and informs the artistry of forming works and the diversification of expressive style should be held by the teacher who has good common sense.
著者
高橋 多美子 高橋 敏之
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.51-61, 2007-07-31 (Released:2022-06-30)
参考文献数
76
被引用文献数
6 1

本論は, 自然体験の幼少期における重要性を再検討し,子どもの成長における意義を明らかにする。16 世紀より欧米の教育思想家が,幼少期の自然体験の重要性を唱え,実践してきた。日本では教育研究者が,その影響を受け,独自の教育論を展開し,教育界に貢献した。今日では様々な研究者が,幼少期における自然体験の重要性や意義を指摘している。その意義とは,知・徳・体のバランスのとれた人格形成に繋がり,多面的な教育的効果が期待できることである。近年自然体験は,子どもを取り巻く環境の変化から減少傾向にある。このような現状を危惧し,教育行政は,子どもの自然体験を促す取り組みを実施しているが,効果が十分に表れているとは言えない。今後の課題として,大人が子どもの成長に自然体験が有用なことを認識し,意図的に体験を促す必要があり,豊かな自然環境の整備や地域や家庭に定着した活動の推進が考えられる。
著者
高橋 敏之
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.17-26, 1998-03-25 (Released:2018-05-08)

文字の習得は,小学校に就学してから国語科教育において体系的に指導されるようになる。これに対して描画活動は,通常1歳前後にスクリブルから自発的に始まる。しかし,writingもdrawingも平面における描出行為であり,起源は同じである。例えばギリシャ人は,グラフオという言葉で両者を一括していたと言われている。それが,絵,絵文字,文字という歴史が示すように,文字と絵はそれぞれの専門性が徐々に進み,現在では別個の物として扱われ,認識されている。したがって,文字を書く(write)ことは国語教育で指導・研究され,絵を描く(draw)ことは美術教育で指導・研究されるのが,現在は常識になっている。本研究は,幼児が正しい文字記号を習得する前段階に創作する前文字図形を対象にしている。この「幼児文字」が,国語教育と美術教育の間を埋める重要な手がかりを与えると考える。本論では,罫線・升目と幼児文字の関連性を考察した。
著者
高橋敏之
雑誌
教育美術
巻号頁・発行日
vol.8, pp.37-51, 1997
被引用文献数
1
著者
伊藤 智里 高橋 敏之
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.41-53, 2011-03-20 (Released:2017-06-12)

本研究は,対象児・A児の1歳6か月から2歳までの積み木遊びを,自然観察法によって調査し,立体造形に繋がる多様な発達的特徴について分析・考察する。A児は,積み木を使用して遊ぶための基本動作である「積む」「崩す」「打ち鳴らす」「並べる」等の行為を経験した。積む行為を獲得した後,挑戦的な遊びと確認的な遊びを重ね,「間隔」「幅・奥行き・高さ」「重心」「バランス」などを体感した。A児は,積み木遊びを通して,「平面」「立体」の概念を獲得しつつあると指摘できる。
著者
高橋 敏之
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

平成10〜13年度を通しての研究成果は、以下の通りである。1.学術論文「幼児の頭足人的表現形式の連続描画に見られる対象の重要度による描き分け」の複数審査制全国的学会誌への掲載…幼児は、それぞれ自分の人物描画における描画課題を独自にもっている。そして描画対象の重要度に応じて新旧の型を併用すると推察できる。2.学術論文「幼児の頭足人的表現形式に関する先行研究の問題点-W.L.Brittain(1979),鬼丸吉弘(1981),林健造(1987),長坂光彦(1977)の研究を中心にして-」の複数審査制全国的学会誌への掲載…幼児の頭足人的表現形式に関する先行研究を俯瞰し、批判的に考察した。3.学術論文「幼児の頭足人的表現形式の理論的説明における主知的見解とG.H.Luquetの描画発達説」の複数審査制全国的学会誌への掲載…有力な描画発達理論であるG.H.Luquet(1927)の学説は、幼児の描く頭足人的表現形式にも及んでいる。その理論を批判的に考察した。4.学術論文「幼児の頭足人的表現形式に関するH.Engの主知説批判」の複数審査制全国的学会誌への掲載…幼児の描画活動の縦断的事例研究者であり描画心理学の創設者でもあるH.Eng(1927)は、幼児の描く頭足人的表現形式について考察している。その理論を批判的に考察した。5.学術論文「幼児の初期人物描画の理論的説明における主知的見解への批判」の複数審査制全国的学会誌への掲載…本論では、L..S.Vygotsky(1930)、V.Lowenfeld(1947)、W.Grozinger(1952)、W.L.Brittain(1979)などの研究を取り上げ、主知説による頭足人的表現形式の説明を再吟味した。6.学術論文「幼児の人物画研究における用語問題」の複数審査制全国的学会誌への掲載…幼児の初期人物描画と頭足人的表現形式に関する学術用語は、各研究者によって使い方が違い、不統一である。本論では、先行研究を概観・整理し、新しい学術用語を提起した
著者
岡山 万里 高橋 敏之
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.30, pp.151-162, 2009-03-21

大原美術館が1993年から行っている幼児対象プログラムのうち,絵画鑑賞プログラム「対話」について,筆者らは14年間の実施記録をもとに考察して,以下のような結論を得た。環境との相互作用により発達する幼児に対して行われる美術館職員の発話は,人的環境からの言語的応答であると同時に,絵画という物的環境からの応答に代わるものとなり,対話は幼児と絵画作品の相互作用を促す役割を果たす。「対話」の中で,幼児は言語訓練の機会を得,絵画の諸要素に出会い,絵画や美術館との関わりの端緒を得る。