著者
駒村 光弥 鶴田 一男 吉田 賢
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.103-115, 1977-03-01 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
1

Many objective characteristics of loudspeakers are measured in factories and laboratories, but there is little knowledge about how they affect sound quality. It is necessary to reveal the relation between objective characteristics and sound quality in order to improve sound quality of loudspeakers. In this paper, the relation between subjective evaluation of sound quality and objective data to reveal the characteristics which influence sound quality to a great extent is investigated. In the subjective listening tests, preference judgments which were subjected to factor analysis, similarity judgments which were subjected to multidimensional scaling and verbal descriptions of sound quality were carried out. The factor analysis of preference data yielded a preference space of three factors (Fig. 5). The first of them is the "consensus preference" factor and the remaining two are the "individual difference" factors. As a result of multidimensional scaling, similarity data are summed up in three psychological dimensions (Fig. 7). Interpretation of these dimensions indicates that they represent "volume and extent", "brightness" and "beauty" respectively (Fig. 7). The relation between objective data and subjective data was analyzed in two respects. Firstly, measured data sixteen objective characteristics were rated from the view point of high fidelity reproduction (Table 3). These characteristics were fitted into the preference space as vectors (Fig. 14). Rating scores of sound pressure responses measured in a listening room and an anechoic room have a high correlation with the "consensus preference" factor. Secondly, similarity of response patterns among loudspeakers was calculated for each objective characteristic and it was subjected to multidimensional scaling. The configurations of loudspeakers based on objective similarity were compared with the ones based on subjective similarity (Fig. 16). Similarity of sound pressure response in the listening room has a close coincidence with subjective similarity. These results imply the necessity of measurements not only in an anechoic room but also in a listening room.
著者
鶴田 一郎
出版者
広島国際大学 心理科学部 教職教室
雑誌
広島国際大学 教職教室 教育論叢 (ISSN:18849482)
巻号頁・発行日
no.9, pp.169-178, 2017-12-20

発達障害は、大きく知的障害のグループと自閉症を中核とするグループに分けられる。後者の自閉症を中核とするグループの3/4は知的障害を伴うタイプである。これを単に「自閉症」と呼んだり、提唱者の名前をつけてカナー型自閉症と呼んだりする。一方、自閉症を中核とするグループの残りの1/4は知的障害を伴わない或いは軽い知的障害があるタイプである。知的障害を伴うタイプの発達障害は、通常、特別支援学校(知的障害)や通常学校の特別支援学級(固定式)に所属しているため、一般の教師が担当になることは少ないが、通常学校の通常学級や小中の特別支援学級(通級式:通級指導教室)の担任で問題となるのは、知的障害を伴わない或いは軽い知的障害がある発達障害児である。具体的には、アスペルガー症候群、高機能自閉症、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)などである。この内、本研究では自閉症を中核とするグループ、すなわち自閉症スペクトラムに焦点を当てる。なお、本稿では、「カナー型自閉症」について、特に「教育心理学」の視点からライフステージ別の状態像を論じた。具体的には、(1)乳幼児期(0歳から6歳くらいまで)[自閉的しぐさと感覚①自閉的視行動、②耳ふさぎ、③全身の動き、④感覚的特徴][対人関係の特徴=対人的相互関係][遊びと言葉①遊び、②興味の限局化、③言葉][心の動き①情動、②パニック・自傷、③同一性保持の傾向]、(2)学童期(6歳から12歳くらいまで)[行動面][言語面][認知面]、(3)思春期・青年期(13歳から18歳くらいまで)[改善されやすい点][改善されにくい点]・(4)成人期以降(18歳以降)[高機能群][中機能群][低機能群]を順次、検討・考察した。
著者
鶴田 一 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.723-730, 2017
被引用文献数
1

国内ではカジノ政策の成功例としてシンガポールが取り上げられる事が多いが、同国における合法化検討の歴史とそれに伴う観光政策、都市計画の歴史が同時に考察される事は少ない。同国では2005年にIRという概念の下、カジノが合法化されたが、本研究はその際に具体的な証拠を基に議論がなされたかを検証し、カジノ合法化過程を観光政策、都市計画の歴史と併せて分析することで、3つの要素が各時代にどのような関連性を持つのかを考察する。さらに2005年のリー・シェンロン首相の声明文との整合性を検証し、最終的にIRに関して、観光政策との関連を踏まえながら、都市計画上の知見を得ることを目的とする。分析の結果、シンガポールでは1965年の建国時から合法化を4回否決してきたが、第4回目以降の合法化検討過程において、シンガポールの都市計画、観光政策は類似した内容を打ち出し、実施していくという関連性が見られた。また声明文での、IRにより大型の都市開発を海外からの投資を得て自国の経済的リスクを負うことなく短期間で行えるとの言及は、観光政策と都市計画とを関連させて新しい観光資源を生み出していくという点で有益と考えられる。
著者
鶴田 一郎
出版者
広島国際大学総合教育センター
雑誌
広島国際大学総合教育センター紀要 (ISSN:24322881)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-16,

Abstract: In 1933, Rampo Edogawa's paper entitled, "Secret Passion of J. A. Symonds" appeared as a series in the journal named "Psychoanalysis," published by Tokyo Psychoanalysis Science Research Center, supervised by Kenji Otsuki. The paper was not finished after all. This study examined its fourth issue. First, the progress of Rampo's "awareness of unconsciousness" was examined. Furthermore, how Rampo brought back self-projections was examined by considering his later writing activities. The results indicated that Rampo unconsciously achieved awareness of unconsciousness during writing his unfinished paper. His subsequent writing activities were conducted based on this awareness. Especially, his paiderastia was considered to have been sublimated into "Kobayashi," a boy character in "Boys'Detective Team," which is one of Rampo's important works.要約:本稿では、大槻憲二が主宰して いた東京精神分析学研究所が発行する『精神分析』に 1933 年に発表された江戸川乱歩の未完の論文「J · A・シモンズのひそかなる情熱」の内、第四回掲載分について検討・考察を行った。その際、上掲論文において、乱歩の「無意識の意識化」が、どの程度進んだのかを考察の出発点とし、更に、その後の乱歩の創作活動も視野に入れて、乱歩は如何に「投影の引き戻し」 を達成していったのかについて検討した。その結果、4 回にわたる未完の論文の 中で、乱歩自身、意識せずに行っていた「無意識の意識化」を指摘した上で、それが基礎になり、更に、その後の創作活動、特に少年探偵団の小林少年の中に乱歩のパイデラスティアは昇華された、と結論付けた。
著者
鶴田 一郎
出版者
広島国際大学 教職教室
雑誌
広島国際大学 教職教室 教育論叢 (ISSN:18849482)
巻号頁・発行日
no.10, pp.35-44, 2018-12-20

要旨:本研究では、地下鉄サリン事件被害者の心理をPTSD反応の視点から検討した。その結果、まずPTSD反応は「恐怖」「再体験」「過覚醒」「麻痺」「回避」「罪責感」の六種類に分類できることがわかった。次にPTSD反応(「外傷後ストレス」「トラウマ反応」「喪失反応」)の分析と考察を行った。まず「外傷後ストレス」である「恐怖」を中核とする外傷的体験があったことを前提とする。次に「再体験」で出来事の苦痛に満ちた再現があり、それから「麻痺・回避」し、反応全般を低下させ、その逆に「過覚醒」で過剰に覚醒させる、以上を「トラウマ反応」の三大症状と呼ぶ。更に経過の中で起きてくる「罪責感」は「喪失反応」に含まれる。以上に加えて、PTSD反応を長期化させないために「自責感情」「孤立無援感」「無力感」「不信感」へのケアが不可欠である点を指摘した。
著者
鶴田 一郎
出版者
心の諸問題考究会
雑誌
心の諸問題論叢 (ISSN:13496905)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.25-40, 2004 (Released:2005-08-31)
参考文献数
21
被引用文献数
5

本稿では、近現代における「ニヒリズム」および「悪しきヒューマニズム」に対するV.E.フランクルによる批判の検討を通して、人間存在、すなわち「実存」の「本質的存在様態への志向性」に関する視座を「自己実現から自己超越へ」と移行させていく必要性と重要性を論述した。その結果、フランクルにおける「生きがい論」への射程が明確になり、それにより、現代における「生きがい論」の課題として次の4 つの視点が抽出された。それはすなわち、(1)人間存在(実存)にとって「気づき」とは何か:「アウェアネス」と「生きがい」の関係を探究すること、(2)人間存在(実存)にとって「わかりあうこと」とは何か:「了解」と「生きがい」の関係を探究すること、(3)人間存在(実存)にとって「共に歩むこと」とは何か:「同行(どうぎょう)」と「生きがい」の関係を探究すること、(4)人間存在(実存)にとって「かわること」とは何か:「変革体験」と「生きがい」の関係を探究すること、である。
著者
鶴田 一郎
出版者
広島国際大学総合教育センター
雑誌
広島国際大学総合教育センター紀要 (ISSN:24322881)
巻号頁・発行日
pp.23-39, 2016

Rampo Edogawa's a paper "Secret Passion of J. A. Symonds-1st-"(1993) has been considered by this article. His papers were published over 4 times, but it had ended incompletely. The first time carrying part of the papers in the 4-time-series is made a subject of research this time. His papers were published by a "Psychoanalysis" magazine originally. This magazine was the scientific journal that Tokyo Psychoanalysis Science Research Center had been issued. Mr. Kenji Otsuki who had a pioneer of psychoanalysis in our country by himself was supervising the research center. When a theme is narrowed down to "Greek Love", "homosexuality", and "paiderastia, or boy-love", the "analysis on John Addington Symonds" of the Rampo's paper(1st) was very sharp and excellent. But, when from the view point of psychoanalyzing it, I said it was insufficient. Then, I will try re-interpretation of three dreams that Symonds saw. In the case, comparison of Plato's "carriage of two building" is quoted.
著者
鶴田 一 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.723-730, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
33
被引用文献数
1

国内ではカジノ政策の成功例としてシンガポールが取り上げられる事が多いが、同国における合法化検討の歴史とそれに伴う観光政策、都市計画の歴史が同時に考察される事は少ない。同国では2005年にIRという概念の下、カジノが合法化されたが、本研究はその際に具体的な証拠を基に議論がなされたかを検証し、カジノ合法化過程を観光政策、都市計画の歴史と併せて分析することで、3つの要素が各時代にどのような関連性を持つのかを考察する。さらに2005年のリー・シェンロン首相の声明文との整合性を検証し、最終的にIRに関して、観光政策との関連を踏まえながら、都市計画上の知見を得ることを目的とする。分析の結果、シンガポールでは1965年の建国時から合法化を4回否決してきたが、第4回目以降の合法化検討過程において、シンガポールの都市計画、観光政策は類似した内容を打ち出し、実施していくという関連性が見られた。また声明文での、IRにより大型の都市開発を海外からの投資を得て自国の経済的リスクを負うことなく短期間で行えるとの言及は、観光政策と都市計画とを関連させて新しい観光資源を生み出していくという点で有益と考えられる。