著者
十川 陽香 興梠 克久
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.39-49, 2021 (Released:2022-08-19)
参考文献数
7

木刀は剣道や古武道等において使用され,そのほとんどは宮崎県都城市で生産されている。カシ類で製作されることが 多く,製作過程はこれまでに調査が行われた。本稿では,現在の木刀の生産,流通の現状と課題を明らかにするために,木刀製作所や武具販売店,製材業者,原木市場,カシ類を利用する鉋や農林業用具の製作会社に対して2019~2020年に聞き取り調査を行った。その結果,若手職人の不足による技術継承の危機的状況が明らかとなった。若手職人不足の要因の一つは低賃金にあり,これは製作所の赤字経営に起因している。製品の値上げを実現するためには需給間の情報の隔たりが解消されることが望ましい。木刀産業は原料不足にも直面しており,人工林の造成技術や代替原材料が求められている。一方で,海外での需要は増加しており,今後輸出を考慮した生産の方向性を検討すべきである。
著者
家中 茂 興梠 克久 鎌田 磨人 佐藤 宣子 松村 和則 笠松 浩樹 藤本 仰一 田村 隆雄
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

中山間地域の新たな生業として自伐型林業をとりあげた。技術研修や山林確保など自治体の支援を得ながら新規参入している地域起こし協力隊の事例や旧来の自伐林業者が共同組織化しつつ地域の担い手となっている事例など、産業としての林業とはちがう価値創造的な活動がみられた。典型的な自伐林家の山林における植物群落調査では、自然の分布を反映した地形に応じた分布がみられ、自然を活かす森林管理の手法として注目された。
著者
興梠 克久 大内 環 垂水 亜紀 北原 文章
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

NPO法人土佐の森・救援隊が考案した自伐林家による林地残材の資源化を導入又は導入検討中は全国で56箇所あり(2012年11月)、①大型機械でなく軽トラック・チェーンソー、軽架線(安価な集材用機械)等を用いた小規模な担い手を想定していること、②副業型または専業型自伐林家へのステップアップとして林地残材の収集運搬という比較的誰もが取り組みやすい方法を取っていること、③出荷者に対価の一部を地域通貨で支払い地域活性化を企図していることが特徴である。これまで研究例がほとんどない,土佐の森方式を導入した地域を対象に,全国アンケート調査(2012年,配布17地域、回収10地域)および聞き取り調査(2012年,3地域)を実施し,①既存の自伐林家が活躍し、新規の自伐林家の開拓にあまり結びついていないケース,②既存の自伐林家に加え、新たに自伐を開始し、副業・専業自伐林家へのステップアップがみられるケース,③自伐林家が少なく、都市住民の森林ボランティアを活用しているケースに分類し,自伐林業の普及、林地残材の有効活用、地域活性化の3つの観点から,全国展開する土佐の森方式の活動の現状と課題を明らかにした。
著者
興梠 克久 椙本 杏子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.125, 2014

静岡県では自伐林家グループが多数設立されており(興梠、2004),生産性、持続性といった従来の視点に社会性の観点を新たに加え,これらが地域森林管理の担い手たり得るか評価することが研究の目的である。事例として,集落外社会結合である静岡市林業研究会森林認証部会と集落社会結合である文沢蒼林舎の2つの自伐林家グループを取り上げた。<br> それぞれの集落内で個別経営を行っていた自伐林家の一部が,集落外で機械の共同利用や共同請負、森林認証の共同取得を目的とした機能集団を形成していった。しかし,その機能集団が地域森林管理を担う主体になるのではなく,機能集団の活動を経た自伐林家が,今度は各集落で再度、地域森林管理を担うためのグループ活動を展開し,集落内の林家全体が再結合していた。この再結合に、認証部会メンバーによる一部の活動(自伐林家が共同で経営計画を作成するケース、事業体化し地域の森林を取りまとめ管理を行うケース)と、文沢蒼林舎の活動(集落の自伐林家が集落全体の森林管理を担うケース)があてはまり、これらのケースは地域森林管理の担い手として評価できると考えられる。
著者
興梠 克久 椙本 杏子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第125回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.21, 2014 (Released:2014-07-16)

静岡県では自伐林家グループが多数設立されており(興梠、2004),生産性、持続性といった従来の視点に社会性の観点を新たに加え,これらが地域森林管理の担い手たり得るか評価することが研究の目的である。事例として,集落外社会結合である静岡市林業研究会森林認証部会と集落社会結合である文沢蒼林舎の2つの自伐林家グループを取り上げた。 それぞれの集落内で個別経営を行っていた自伐林家の一部が,集落外で機械の共同利用や共同請負、森林認証の共同取得を目的とした機能集団を形成していった。しかし,その機能集団が地域森林管理を担う主体になるのではなく,機能集団の活動を経た自伐林家が,今度は各集落で再度、地域森林管理を担うためのグループ活動を展開し,集落内の林家全体が再結合していた。この再結合に、認証部会メンバーによる一部の活動(自伐林家が共同で経営計画を作成するケース、事業体化し地域の森林を取りまとめ管理を行うケース)と、文沢蒼林舎の活動(集落の自伐林家が集落全体の森林管理を担うケース)があてはまり、これらのケースは地域森林管理の担い手として評価できると考えられる。
著者
鹿島 潤 都築 伸行 鹿又 秀聡 興梠 克久
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

チェーンソー用防護服を使用している300超名の林業労働者に対してアンケート調査を行った。その結果、防護服の日常管理が必ずしも正しい方法行われていない現状が明らかになった。メーカーからの使用上の注意事項への認識が十分でなく、誤った使用、管理が行われているため防護性の低下している防護服を使っている作業者が多い可能性が示された。特に洗濯方法を誤っている場合や、破損を自分で修理している場合にその可能性が高い。防護服が破損する理由は様々であるが、チェーンソーで切った、汚れがひどくなった、破れたといった理由が多い。作業者の身体に合っていないサイズの防護服を使用しているために破損している場合も少なからずあると考えられる。防護服の更新期間は約2年と推測されたが、正しい使い方とメンテナンスができれば更新期間の延長が可能なばかりか、更新経費の抑制も可能と考えられる。