著者
麻生 英樹
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

1.20年度に収集した食事嗜好に関するアンケートデータの解析結果をとりまとめた。想定状況と現実状況での嗜好の分布は有意に異なり、想定状況下では現実状況下よりも状況に関して理想的に影響を受ける傾向がある。この結果を国際会議(International Conference on User Modeling, Adaptation and Personalization, UMAP2010)にて発表した。2.階層ベイズモデリングを用いた状況依存な嗜好のモデル化について検討した。単純な加法的効果に基づく正規分布モデルを階層化したモデルを提案し、上記のデータおよび映画嗜好データに適用して、個人性や状況依存性のモデル化に有効であることを検証した。さらに、想定状況下のモデルと現実状況下のモデルを階層的に融合させるモデル適応方式を提案し、上記の食事嗜好データに適用して、モデル適応が有効であることを検証した。これらの成果について、研究会(2件)および国際ワークショップ(Workshop on Context-Aware Recommender Systems 2010)において発表した。3.3年間にわたる研究成果をとりまとめた。主要な成果は、想定状況下での嗜好と現実状況下での嗜好には構造的な差がありえることを明らかにしたこと、および、想定状況データと現実状況データを組み合わせるモデル適応方式について、ベイズ階層モデリングが有効であることを示したことである。収集した食事嗜好データは状況依存な嗜好モデル研究用に公開する準備を進めている。
著者
浅野 太 麻生 英樹 河本 満 緒方 淳 松坂 要佐
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、複数のマイクロホンと全方位カメラとからなる入力装置により会議内容を収録したマルチメディアデータ(映像・音声)から、いつ、だれが、どんな発言をしたかという情報を、音源定位・音源分離や音声認識技術などを用いて自動推定して、会議の構造を視覚化するシステムを開発した。このシステムにより、キーワードを含む場面を簡単に検索・再生し、会議の概要を短時間で把握できるようになる。
著者
井上 豊 池田 剛 山本 潔 幸島 明男 山下 倫央 麻生 英樹 車谷浩一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.18, pp.195-202, 2008-02-27

本論文では,衛星測位システムが利用できない場所,特に屋内での自己位置を推定するためのシステムを用いた実証実験について報告する.近年,カーナビゲーションシステムや携帯電話ナビゲーションシステムなどの衛星測位システムを用いた位置情報サービスは広いユーザー層に利用されており,産業の発展や市民の生活になくてはならないものとなりつつある.しかし,この衛星測位システムによって得られる位置情報は,基本的に人工衛星から測位信号を受信可能な屋外でのみ利用することが可能な情報であるため,屋内でのナビゲーションサービスには利用することができない.そこで,衛星測位システムを利用できない屋内での位置情報を提供するための微弱無線ビーコンを用いた屋内自己位置推定技術,さらにはカーナビゲーションシステムや携帯電話ナビゲーションサービスのように,利便性の高いサービスを商業施設や住居施設などの建物の中でも利用できるようにするための屋内ナビゲーションシステムを開発した.この屋内施設における自己位置推定技術,およびその技術を応用したナビゲーションサービスの実現性および有効性を検証するために大規模商業施設での実証実験を行った.In this paper, we describe demonstration experiments using an autonomous positioning system to estimate self-position in indoors, where is impossible to receive GPS signal. In recent years, position information systems using GPS, such as car-navigation system and portable navigation system, are used for many users. These systems contribute to development of industry and relieve civil life. However, since position information calculated using GPS signal is available only in the place which is possible to receive the satellite signals, GPS cannot be used for routing guidance in indoor environments. Then, we developed an indoor autonomous positioning system using extremely low power radio wave beacon devices to provide position information in indoors. Moreover, we developed an indoor navigation system to provide convenient service like car-navigation system and portable navigation system which can be used also in commercial architecture or office building. We carried out the demonstration experiments in large-s ale indoor commercial facilities, in order to evaluate usability of the navigation service which is application of the autonomous positioning technology, and availability of the indoor positioning technology.
著者
栗田 多喜夫 麻生 英樹 梅山 伸二 赤穂 昭太郎 細美 章隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.257-266, 1996-02-25
被引用文献数
9

本論文では, 多層パーセプトロンの中間層の各ユニットに独立なノイズを加えたとき, 学習結果がどんな影響を受けるかについて考察し, ノイズを付加することによりネットワークが構造化されることを示す. 具体的には, 中間層が1層のみで, 出力層の入出力関数が線形のネットワークの中間層の各ユニットに独立なノイズを加えた場合の誤差逆伝搬学習アルゴリズムの平均的な振舞いを解析し, 中間層から出力層への結合荷重はより小さな値をとるようになり, 逆に, 入力層から出力層への結合荷重は中間層の出力が0か1に近づくようになることを示す. これは, 中間層の各ユニットにノイズを付加することにより, ネットワークが自動的に構造化されることを意味している. その結果として間接的に汎化能力の高いネットワークが構成されることが期待でき, 学習におけるノイズの役割として非常に興味深い. 更に, パターン識別問題と論理関数の学習問題に対して, ノイズを加えて学習した場合とノイズを加えないで学習した場合を比較し, ノイズを加えることによりネットワークが構造化されることを実験的に確かめた.