著者
黄 國賓 杉浦 康平 赤崎 正一 今村 文彦 荒木 優子 山之内 誠 さくま はな 曽和 英子 Kuo-pin HUANG Kohei SUGIURA Shoichi AKAZAKI Fumihiko IMAMURA Yuko ARAKI Makoto YAMANOUCHI Hana SAKUMA Eiko SOWA
雑誌
芸術工学2014
巻号頁・発行日
2014-11-25

本研究は中国雲南省の麗江地区を基軸に、トンパ文字とその特異な造形、宗教的背景を明らかにし、トンパ文字の構造原理と新たなビジュアル・コミュニケーションツールを開発するための基盤研究を確立する。本研究はトンパ文字の造字原理の考察をはじめ、現地でのフィールドワーク調査、トンパ文字を再デザインする仕組み、また、先例の視覚言語の表現や漢字の構造をも分析の視野にいれ、トンパ文字の表現の可能性について研究を行った。その結果、以下の結論を得た。すなわち、トンパ文字は象形文字であるため判読がしやすく、時間軸、空間軸、動詞などの記号を組み合わせれば、トンパ文字としての視覚言語のシステムを構築する可能性が高いと示唆した。一方、文字としての記述、伝達の機能が欠け、覚えにくいということが最大の欠点であり、漢字の変遷原理を探究すれば、書きやすく、覚えやすいトンパ文字が作られると考えられる。
著者
黄 國賓 杉浦 康平 Kuo-pin HUANG Kohei SUGIURA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2021
巻号頁・発行日
2021-11-24

チベット・ブータン・ネパール・ラダックなどのチベット仏教文化圏の数多いチャム(chams) のなかに、僧侶たちが真黒に近い絢爛たる緞子の衣装をまとい、黒色を主役とした重厚で威厳のある独特な大きな黒い帽子をかぶった、「シャナの舞」と呼ばれる踊りがある。 チャムに関する研究はこれまで、音楽、舞踊、宗教的儀式などの視点で多大な研究成果が見られる。しかしいずれもが個別的な研究であり、チベット仏教におけるシャナ冠の造形とそれに関わる聖山信仰、シャナ冠を構成する各モチーフの象徴的意味の解読からシャナ冠の特異な造形原理を統合的な研究への探求は未だ見られない。 本研究では、デザイン学の視点から地域差によって生み出されたチベット仏教文化圏に共通するシャナ冠と須弥山、曼荼羅との関連、およびその影響を受けたとされる日本の仏教文化との関連する造形、図像の象徴性、意味性を比較しながら、これまでに明らかにされなかったシャナ冠の造形原理の象徴性を明らかにする。
著者
長野 真紀 今村 文彦 黄 國賓 Maki NAGANO Fumihiko IMAMURA Kuo-pin HUANG
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2016
巻号頁・発行日
2016-11-25

本研究では、福佬(Ho-lo)人の移住文化を対象に、その歴史と暮らしの変遷、居住環境について分析・考察した。研究対象地は周囲を海に囲まれた環境下にあり、独自の伝統文化や習俗、空間構造を継承している。このような地理的・文化的環境の中で、東アジアの結節点となる台湾領域中国福建省金門島及び八重山諸島石垣島を主対象に捉え、研究を展開した。 金門島では、血縁による結びつきが重視され、同一氏族により形成された宗族的つながりを強く持つ単姓村と、多数の氏により形成される複姓村に分類される。対象集落は、海岸線に沿った緩やかな台地に立地し、1315 年頃に福建省厦門からの移住者が開墾した農漁村集落である。住居は四合院で構成され、一定の領域内で中規模な空間を形成しているが、宗族ごとに住居の向きが異なり、それぞれに方向軸を持っているため各時代の空間形成の発展性を読み取ることができる。 また、集落は明確な境界域を定めず、人口増加に対応しながら空間を拡張している。これは、島に福佬人しか居住していないこと、地形条件に対する制限が少ないことが要因として考えられる。台湾本島や石垣島では、住居の周囲は自然地形や植栽などにより空間を補っている場合が多い。
著者
赤崎 正一 戸田 ツトム 寺門 孝之 小山 明 黄 國賓 Shoichi AKAZAKI Tztom TODA Takayuki TERAKADO Akira KOYAMA Kuo-pin HUANG
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2013
巻号頁・発行日
2013-11-25

本研究は杉浦康平名誉教授の1950年代からはじまるデザイン活動の包括的な研究を目指すものである。就中、1970年代~ 80年代の杉浦名誉教授の活動を中心に成立したと思われる「エディトリアルデザイン」概念の成立過程の検証を重点的な目的とする。本研究の基盤をなすものとして2011 年度後半に相次いで開催された「脈動する本」展(武蔵野美術大学美術館)、「メタボリズムの未来都市」展(森美術館)などで明示的になった、1960 年世界デザイン会議を契機に展開した戦後デザインの爆発的な拡張の様相への再認識がある。当時の日本デザイン界全体の沸騰の中にあっても、とりわけて実験的であり続けた、杉浦デザインの現代までにいたる50 ~ 60 年の実践活動の内実を、「エディトリアルデザイン」をキー概念として調査・研究する。以下が研究(平成24年度)の具体的な活動の細目となる。1)杉浦デザインによるポスターの収集(500 ~ 600 種程度)と整理・分析→ 1次リスト完成→さらなる整理継続中。2)杉浦名誉教授による2002年度視覚情報デザイン学科講義映像記録の整理編集→ 1次編集完成→記録映像アーカイブ化のための準備中。3)杉浦名誉教授によるレクチャーをふくむ研究会の開催→ 2度にわたって実施→レクチャー記録整理中。
著者
今村 文彦 杉浦 康平 齊木 崇人 松本 美保子 山之内 誠 黄 國賓 さくま はな 尹 聖喆 曽和 英子 Fumihiko IMAMURA Kohei SUGIURA Takahito SAIKI Mihoko MATSUMOTO Makoto YAMANOUCHI Kuo-pin HUANG Hana SAKUMA Seongcheol YUN Eiko SOWA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2014
巻号頁・発行日
2014-11-25

本報告は、アジアンデザイン研究所の活動としてアジアの山車文化についてデザイン的視点から調査、研究を進めるものである。研究所では開設以来、アジア各地域でみられる祭礼の多様な山車の造形的特徴、象徴性、世界観、その仕組みと社会や環境との関係性などについて、継続的に取り組んできた。2013年度は第2 回国際シンポジウムを開催した。アジア各地に分布する舟形の山車とそこにみられる蛇や鳥のモチーフやデザインの象徴性、神話性をめぐって、ミャンマー、タイ、日本からの報告を中心に活発で意欲的な議論を重ね、アジアの山車の構成原理についての興味深い知見を得ることができた。さらに山車イメージと密接に関連する山や木の造形を巧みに表現しているインドネシアの影絵ワヤン・クリに用いられるグヌンガンについて、現地で調査を実施し、その造形的特徴、使用法や構成原理等が明らかになった。また日本で活躍するバリ島の人形遣い(ダラン)を招き、バリ島のワヤン・クリについての研究会および上演会を開催した。これらの一連の活動により、アジアの山車と山、木などとの関連性について把握し、アジアのデザイン語法を解明する手がかりを得ることができた。
著者
今村 文彦 杉浦 康平 齊木 崇人 大田 尚作 松本 美保子 山之内 誠 黄 國賓 佐久間 華 曽和 英子 Fumihiko IMAMURA Kohei SUGIURA Takahito SAIKI Syosaku OTA Mihoko MATSUMOTO Makoto YAMANOUCHI Kuo-pin HUANG Hana SAKUMA Eiko SOWA
雑誌
芸術工学2013
巻号頁・発行日
2013-11-25

本報告は、アジアンデザイン研究所の活動としてアジアの山車文化についてデザイン的視点から調査、研究を進めるものである。研究所では開設以来、アジア各地域でみられる祭礼の多様な山車の造形的特徴、象徴性、世界観、その仕組みと社会や環境との関係性などについて、継続的に取り組んできた。本年度は、開催を予定していた国際シンポジウムを都合でとりやめ、そのための準備などを中心に活動を行なった。アジアの舟形の山車についてその造形的な特徴として鳥や龍(蛇)などが多用されるが、そのための研究会を開催した。またタイ南部のチャプクラ祭の現地調査を実施し、ナーガ(蛇)のモチーフで飾られた舟形山車、ミャンマーのインレー湖でのパウンドーウー祭にでる伝説の鳥「カラウェイ」を模した鳥形の黄金船など現地での取材も実施した。また、国内の太鼓台調査(岡山県倉敷市乙島の千歳楽)、中国浙江省前童鎮の鼓亭調査も継続して行ない、さらに理解を深めた。これらの一連の活動により、アジアのデザインについていくつかの重要な知見を得ることができた。これらの成果をもとにさらに継続的な調査を続け、社会構造、空間構造とも関連づけて、総体的に祭礼の仕組みと山車の造形を把握していく予定である。This report deals with the main research theme of Research Institute of Asian Design (RIAD), focusing the cultures of mountain floats in Asia from design-centered approach. We want to make clear design technique (language) of mountain floats from their wide variety of forms, symbolic meanings, cosmology and their relationship of society and natural environments.We made some preparations for 2nd international symposium, because the symposium was postponed next year. We could find frequently characteristic motifs of sacred bird and dragon (or snake) in mountain floats of Asia. So, overseas researches are made at southern region of Thailand and central district of Myanmar in order to certificate the symbolic meanings and structures of float.We had also investigations of new year festival in Qiantong, Ninbo city, China and Senzairaku in Okayama Prefecture, which is another type of mountain floats in Japan.