著者
大塚 英志 齊木 崇人 泉 政文 尹 性喆 Eiji OHTSUKA Takahito SAIKI Masafumi IZUMI Seongcheol YUN
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2012-11-30

本研究は、近代史を通じて日本の植民地統治下にあった台湾・朝鮮半島・旧満州を中心とする東アジアを、一つのまんが・アニメーションの文化圏として仮説的に考え、2 つの研究の視座を提示する。一つは「植民地まんが研究」である。現在の日本まんが史の戦前の記述は、いわゆる「内地」で出版・発行されたまんがに限定され、「植民地」における出版物は対象とされず、他方、東アジア地域でも日本統治時代の日本まんがはまんが史の対象とはなりにくい。もう一つの視点は、大塚が日本におけるディズニーの受容を日本まんが史の中に位置づけたことを踏まえ、各地域のディズニー受容のあり方を検証することで各地域のまんが・アニメーション表現の地域差を描き出せるのではないか、というものである。同一の指標に基づき、その受容の偏差を検証するという手法は「映画的手法の受容」においても可能であろう。
著者
齊木 崇人
出版者
THE ASSOCIATION OF RURAL PLANNING
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.19-32,86, 1986-03-30 (Released:2011-04-13)
参考文献数
18
被引用文献数
5 1

The aim of this study is to propose a new method to analyse the spacial structure of agricultural settlements. This method consists of a topographical analysis of settlement location and an elemental analysis of settlement space. Agricultural settlements in Ibaraki Prefecture were chosen for this study. The topographical analysis includes a topographic classification of the settlement location on the basis of the topographic terms which were used in old Japanese. All settlements in the study area were thus classified indicating the settlement location.The elemental analysis explains the settlement space by six composition elements such as drainage system, land use, road system, common terrain and instalations, open space, and residence. On the basis of these twelve topographic classifications of the settlement location and the six composition elements of the settlement space, the formation principles of each agricultural settlement were hypothesized.
著者
佐々木 宏幸 齊木 崇人
出版者
芸術工学会
雑誌
芸術工学会誌 (ISSN:13423061)
巻号頁・発行日
no.53, pp.72-79, 2010-09-30

本研究は、1990年代の異なる二つの時点において、ニューアーバニズム理論の目的と基本原則を明文化した文書であるアワニー原則(1991年)とニューアーバニズム憲章(1996年)の比較・考察を通して、ニューアーバニズム理論の特徴と変容を明らかにすることを目的とする。本研究では、まず、ニューアーバニズムの誕生から現在に至るまでの発展の経緯を振り返り、アワニー原則とニューアーバニズム憲章のニューアーバニズム理論における位置づけを確認した。その上で両者の目的と基本原則を比較することによりその共通点と相違点を明確にし、ニューアーバニズム理論の特徴と変容を明らかにすることを試みた。両者の比較の結果、アワニー原則とニューアーバニズム憲章は、歩いて暮らせるコンパクトでミックストユースのネイバフッドを公共交通機関でネットワークすることにより、自然と共存する環境にやさしい都市の創造を目指している点において共通していることが確認された。一方、アワニー原則の5年後に策定されたニューアーバニズム憲章では、社会・経済・文化・政治・環境・空間などの総合的な扱い、都市と自然環境とのバランスある共存、地域から建築までのあらゆるスケールへの対応、公共空間の重視、建物の形態コントロールを重視する開発規定の有用性の認識などの点において、アワニー原則より包括的かつ多角的に進化していることが明らかとなった。これらの分析により、本研究ではニューアーバニズム理論が、総合的なアプローチ、学際的推進団体の存在、多様な居住環境の肯定と既存の都市の重視、公共空間創造の重視、理論と実践手法の一体的取り組みによるプランニングの変革などの点において、多くの意義を持つ都市デザイン・都市計画理論であると結論づけた。そのうえで今後は、ニューアーバニズム理論の実現のための道具としてスマートコードの研究、そして実際に策定されたフォーム・ベースト・コードの検証を通したその有用性の研究を行い、ニューアーバニズムの理論とその実践手法の体系的な探究を行う必要性を認識した。
著者
長野 真紀 齊木 崇人
出版者
一般社団法人 芸術工学会
雑誌
芸術工学会誌 (ISSN:13423061)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.96-103, 2009-10-24 (Released:2017-11-30)

本研究は、台湾の山間部に居住する10種族の台湾原住民を対象に、現地調査と日治時期の文献を通して集落移動と立地選定を明らかにし、持続と変容のプロセスを探究することを目的とする。台湾原住民に関する研究は1945年以降困難な状況にあり、そのため約半世紀外部に対して閉ざされてきたが1994年以降、原住民の認定に伴い現地での許可を得た調査が可能になった。固有の文化や習俗を持つ原住民は、現在までの台湾史の視点から見ても非常に重要な課題であると考えられる。新竹縣、苗栗縣、嘉義縣、南投縣、屏東縣、台東縣、花蓮縣に居住する原住民を研究対象に選定し、場所選定とその地理位置及び自然環境からみた特性把握調査として、10民族の概要と訪地した10集落の歴史、立地状況、集落規模、集落移動の時期について現地調査で得られた資料と文献により、その内容を明らかとした。また、日冶時期の台湾地形図と当時の写真から、現在の集落との比較を行い、更に文献から明らかとなった各集落の移動経緯から各族の集落立地の変遷を辿り、移動前・後の集落空間の変容を明らかにした。その結果、各集落の移動要因は災害(1集落)、災害と国民政府時期の還村計画(1集落)、日治時期の番社移住計画(4集落)、生業による焼畑(1集落)、不明(3集落)であることが分かった。対象集落の日治時期以降の集落移動は、災害と還村計画による1集落のみであり、その他の集落はほぼ定住化し、集落形態や規模、立地は約60年間変化することなく現在に至っている。また、原住民集落を立地環境と生業別に、(1)標高500〜1,200mの山腹斜面地・テラス・鞍部に立地する狩猟・採集型、(2)標高500m以下の山裾または平地に立地する農耕・畜産型、(3)標高100m以下の島嶼に立地する半漁半農型、(4)山裾の湖畔に立地する漁業型の4つに分類し、原住民集落を体系的に捉えた。そして、集落移動と立地環境から持続型、変容型、変容持続型、順応型、発展型、融合型の6つに分類し、各集落の環境構築要素を明らかにした。
著者
齊木崇人文・写真
出版者
丸善
巻号頁・発行日
1994
著者
今村 文彦 杉浦 康平 齊木 崇人 松本 美保子 山之内 誠 黄 國賓 さくま はな 尹 聖喆 曽和 英子 Fumihiko IMAMURA Kohei SUGIURA Takahito SAIKI Mihoko MATSUMOTO Makoto YAMANOUCHI Kuo-pin HUANG Hana SAKUMA Seongcheol YUN Eiko SOWA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2014
巻号頁・発行日
2014-11-25

本報告は、アジアンデザイン研究所の活動としてアジアの山車文化についてデザイン的視点から調査、研究を進めるものである。研究所では開設以来、アジア各地域でみられる祭礼の多様な山車の造形的特徴、象徴性、世界観、その仕組みと社会や環境との関係性などについて、継続的に取り組んできた。2013年度は第2 回国際シンポジウムを開催した。アジア各地に分布する舟形の山車とそこにみられる蛇や鳥のモチーフやデザインの象徴性、神話性をめぐって、ミャンマー、タイ、日本からの報告を中心に活発で意欲的な議論を重ね、アジアの山車の構成原理についての興味深い知見を得ることができた。さらに山車イメージと密接に関連する山や木の造形を巧みに表現しているインドネシアの影絵ワヤン・クリに用いられるグヌンガンについて、現地で調査を実施し、その造形的特徴、使用法や構成原理等が明らかになった。また日本で活躍するバリ島の人形遣い(ダラン)を招き、バリ島のワヤン・クリについての研究会および上演会を開催した。これらの一連の活動により、アジアの山車と山、木などとの関連性について把握し、アジアのデザイン語法を解明する手がかりを得ることができた。
著者
今村 文彦 杉浦 康平 齊木 崇人 大田 尚作 松本 美保子 山之内 誠 黄 國賓 佐久間 華 曽和 英子 Fumihiko IMAMURA Kohei SUGIURA Takahito SAIKI Syosaku OTA Mihoko MATSUMOTO Makoto YAMANOUCHI Kuo-pin HUANG Hana SAKUMA Eiko SOWA
雑誌
芸術工学2013
巻号頁・発行日
2013-11-25

本報告は、アジアンデザイン研究所の活動としてアジアの山車文化についてデザイン的視点から調査、研究を進めるものである。研究所では開設以来、アジア各地域でみられる祭礼の多様な山車の造形的特徴、象徴性、世界観、その仕組みと社会や環境との関係性などについて、継続的に取り組んできた。本年度は、開催を予定していた国際シンポジウムを都合でとりやめ、そのための準備などを中心に活動を行なった。アジアの舟形の山車についてその造形的な特徴として鳥や龍(蛇)などが多用されるが、そのための研究会を開催した。またタイ南部のチャプクラ祭の現地調査を実施し、ナーガ(蛇)のモチーフで飾られた舟形山車、ミャンマーのインレー湖でのパウンドーウー祭にでる伝説の鳥「カラウェイ」を模した鳥形の黄金船など現地での取材も実施した。また、国内の太鼓台調査(岡山県倉敷市乙島の千歳楽)、中国浙江省前童鎮の鼓亭調査も継続して行ない、さらに理解を深めた。これらの一連の活動により、アジアのデザインについていくつかの重要な知見を得ることができた。これらの成果をもとにさらに継続的な調査を続け、社会構造、空間構造とも関連づけて、総体的に祭礼の仕組みと山車の造形を把握していく予定である。This report deals with the main research theme of Research Institute of Asian Design (RIAD), focusing the cultures of mountain floats in Asia from design-centered approach. We want to make clear design technique (language) of mountain floats from their wide variety of forms, symbolic meanings, cosmology and their relationship of society and natural environments.We made some preparations for 2nd international symposium, because the symposium was postponed next year. We could find frequently characteristic motifs of sacred bird and dragon (or snake) in mountain floats of Asia. So, overseas researches are made at southern region of Thailand and central district of Myanmar in order to certificate the symbolic meanings and structures of float.We had also investigations of new year festival in Qiantong, Ninbo city, China and Senzairaku in Okayama Prefecture, which is another type of mountain floats in Japan.
著者
長野 真紀 齊木 崇人
出版者
Architectural Institute of Japan
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.75, no.650, pp.829-835, 2010

The purpose of this study is to redefine Hakka village in the whole land of Taiwan by using the Taiwan Bao-tu in which the spread of residential area and their spatial compositions of each ethnic groups can be recognized, and to clarify the characteristics of the locations and the forms of village. Moreover, I intend to grasp systematically the viewpoint of environment to Hakka, beyond the countries and districts, through the shares of the research of Hakka in Taiwan and the communications with local researchers. The results of this study are as follows. The Hakka village is classified into 4 types by village form and the characteristic of location space : these are 1)Independent Defense Type and 2)Scattered Adaptation Type and 3)Scattered Stably Type and 4)Scattered Cooperation Type.
著者
齊木 崇人 小玉 祐一郎 宮代 隆司 土肥 博至 杉本 正美 上原 三知 佐藤 滋 土肥 博至 杉本 正美 上原 三知 佐藤 滋 中井 検裕 鎌田 誠史 橋本 大樹 長野 真紀
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

新しい住宅地開発プロジェクト、神戸・ガーデンシティ舞多聞の実践と、本研究の指針とした、E・ハワードの田園都市思想とガーデンシティ、それらの系譜にみるコミュニティのフィールドワークを同時進行的に行うことにより、将来の持続可能なコミュニティの創出・再生を目指す居住環境計画に対する、「特有価値を持つ空間デザインを生み出す手法」「コミュニティ形成を促す方策」「空間とコミュニティを持続・向上させるエリアマネジメントの仕組み」の指針を導き出した。