著者
堤 幹宏 黒田 尚宏 山下 和夫 大家 英治 中新 茂 堀 有行
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 = Japan journal of medical informatics (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.11-14, 2004-04-01
参考文献数
3
被引用文献数
2

<p> 金沢医科大学病院では,2000年から電子カルテシステムを用いて診療を行ってきており,この3年間で15万人のすべての医療情報がデジタル化され,蓄積された.そこで,これらの患者の医療情報を地域の各医療機関に還元するためのネットワークシステム(KORMIN: Kanazawa Medical University Oriented Regional Medical Information Network System)を独自に開発した.KORMINの構築に際しては,セキュリティとプライバシーに重点をおいたが,その特徴は,患者の基本情報を置換したことと医療情報の公開期限を制限したことにある.基幹病院で得られた豊富な医療情報を地域医療機関に積極的に提供することが地域医療の質の向上に繋がると考えられるが,そのためにもKORMINはきわめて有用であると考えられた.</p>
著者
安田 幸雄 黒田 尚宏 堀 有行 相野田 紀子 大原 義朗 鈴木 孝治
出版者
金沢医科大学
雑誌
金沢医科大学雑誌 (ISSN:03855759)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.408-412, 2005-12
被引用文献数
1

医学教育評価には客観試験が多用されている。中でも多肢選択問題(MCQ)は単位時間当たり多くの問題を出題できるため,信頼性が高い。また事前に合格ラインを決定できること,事後に問題の良否を検討できることも優れた特徴である。しかし,臨床能力の評価法としての妥当性はやや劣る。医師国家試験(国試)にはMCQが使用されており,信頼性の高さは認められている。また近年の出題基準の改訂により妥当性も向上していると考えられる。国試にはAタイプ,Kタイプ,Xタイプの3種類が使用されているが,Aタイプが最も知識レベルを正しく反映し,Kタイプが多くなるほど正答率は上がり,Xタイプが多くなるほど正答率は大きく下がると推測される。共用試験のコンピュータ試験(CBT)トライアルにはMCQのうち,AタイプとRタイプが使用されている。Rタイプは臨床問題解決能力を評価するのにより適した方法と考えられている。CBTはいつでもどこでもテストが受けられることを目指している。この条件を満たすためには,膨大な数の問題をプールしておくだけでなく,異なる問題セットで受験者を適正に評価する方法論が必要となる。項目反応理論(IRT)はこの目的で開発された新しいテスト理論で,受験者の絶対評価を目指している。このテストが実施されるようになると,医学教育は変貌を余儀なくされるものと予想される。
著者
黒田 尚宏
出版者
金沢医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成19年度は,平成18年度に作成した携帯電話のメール機能を利用したメーリングリストのシステムを利用し,学生の協力を得て更なる試験を実施した.学生の反応は即時応答性が高いことが実証され,またテュートリアル形式の授業の評価コメントを送ったり,授業の宿題など重要なお知らせを通知したりといった使用法については,学生へのアンケートの結果,学生にとっては有用性が高いことが判明した.携帯電話のメール機能を学生への連絡や呼び出しに使うという方法について,学生側の通信費の負担感について調査を行った結果,データ(パケット)量の多いWeb形式よりはメールの方が負担感は少ないものの,ある程度考慮して欲しいという意見が大勢であった.ただし,自分にとって有用な情報は紙の掲示だけでなく携帯メールにも送って欲しいという意見も多く,通信費の問題はあるものの,一方で学生の欲しがる情報を与えていれば,他方で教育目的の活用も受け入れられるであろうという示唆を得た.本学では学生個人のノートパソコンを必携化しているため,通信費の負担が理由で携帯電話のメール機能を利用したくない学生は,本学より付与されるパソコンの電子メールアドレスを利用すればよく,メール機能を教育目的に利用する基盤は整っていると考えられた.平成19年度は更に,簡易なMCQなどの小テストをメールとして発信し,その返信を自動収集・集計する機能を新たに追加して,学生に対してその使い勝手や有用性について検証を行った.検証の結果,Questionメールに対するAnswerメールの対応付けに大きな問題があることが判明した.例えば,複数の教員から同学年の学生に同時期にQuestionメールが発信された場合に,学生がそれぞれに回答した時,どのメールがどのQuestionに対応しているかの判断をどのように解決するか,という問題である.この問題に対し,本文の先頭にQuestionを一意にする番号(制御コード)を付加し,返信時にもそれをそのまま付けた形で返す方式を採用したが,学生側がこれをよく理解していないため,この制御コードを返信時に削除してしまう事態が多発してしまった.他の方式も検討したが,いずれも学生に周知しておかなければならない何らかのルールを設定する必要があり,メールのみでは最良の解決策は考えられなかった.したがって,小テストについてはメール内にWebページへのリンクを掲載し,Web側で回答させるのがよりよい解決方法ではないかという結論に至った.
著者
米田 祐司 永瀬 宏 千石 靖 堀 有行 黒田 尚宏 川上 雄貴 小清水 佑樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.433, pp.59-64, 2008-01-18

患者が受付をしてからお金を支払うまでの一連のステップをUMLを用いて記述し,医療機関内での患者の動きに合わせてアクセス権の変更を動的に行うシステムを提案する.電子カルテの処理ステートをチェックし,その状態と一般的な処理手順の順序情報を元に電子カルテの閲覧や書き込みのアクセス権の設定変更を行うことにより,その患者に関係しない医療従事者に対して,適切に個人情報を保護することができる.