著者
佐谷 修 水越 正人 羽野 卓三 有田 幹雄 上野 雄二 西尾 一郎
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.110-113, 1997-02-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
20

永久ペースメーカーを植え込んだ連続297例について, 高齢者と非高齢者における臨床的特徴とペースメーカー管理上の問題点を検討した. 平均年齢は67±13歳で75歳以上が30.9%を占めていた.原因疾患は洞機能不全症候群36.7%, 房室ブロック58.9%, 徐脈性心房細動4.4%であった. 植え込み時の電圧閾値, 心内R波と年齢には明らかな相関を認めなかった. ペースメーカージェネレーター交換時には非高齢者において初回に比べ電圧閾値の上昇, リード抵抗値の低下を認めたが両者ともに心内R波には明らかな変動は認められなかった. 術後の長期経過中にはテレメトリーを行い慎重な対応が必要ではあるが, 高齢者においても永久ペースメーカーは安全に管理できると考えられた.
著者
小池 有美 羽野 卓三 川邊 哲也 上西 啓裕 花井 麻美 坂口 侑花里 橋﨑 孝賢 森木 貴司 田島 文博
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.AbPI1055, 2011

【目的】自律神経機能については様々な測定方法があるが,近年簡易で無侵襲な電子瞳孔計での検査が自律神経機能検査として用いられつつある.我々が日常的に行う重い荷物を持ち続けたり,ひっぱる動作は息をこらえて行うことが多く,バルサルバ効果を伴い血圧上昇が懸念される.また,心を落ち着かせるためによく行われる深い呼吸は,迷走神経を経由して呼吸中枢に伝えられ,自律神経の影響を受けることが知られている.今回,電子瞳孔計を用いて息こらえ時および深い呼吸を継続した時の血圧,脈拍,瞳孔機能の状態を測定し,それぞれ安静時の状態と比較検討した.【対象】健常成人14名(男性7名,女性7名)で平均年齢は23~49歳(平均31.2歳±5.8).全員高血圧と診断されたことがなく,降圧薬の服用経験もない.【方法】測定は椅座位で十分に安静をとった後,机上で血圧と脈拍を測定した.瞳孔機能については電子瞳孔計(イリスコーダーデュアルC10641; 浜松ホトニクス)を用いて瞳孔径と縮瞳速度,散瞳速度を測定した.息こらえについては5分間の安静椅座位の後,1分以上出来るだけ長く息をこらえ,自己申告で限界10秒前を知らせ,各項目を測定した.深い呼吸については5分間の安静椅座位の後,過換気とならないようにゆっくり深く溜息をつくように閉眼で2分間呼吸するよう指示した.測定は1分を経過した時点で行った.統計学的検定方法についてはstudent-t-testを用いて,p<0.05を有意差ありと判定した.【説明と同意】対象者には事前に十分に説明し同意を得た.尚,本検討は和歌山県立医科大学倫理審査会により承認されている研究の一環として行った.【結果】収縮期血圧の平均値は安静時105±4.62mmHg,息こらえ時129±7.45 mmHg,深い呼吸時105±3.63 mmHgであった。安静時との比較ではそれぞれに差はみられなかった.拡張期血圧は安静時70.2±4.68mmHg,息こらえ時83.1±8.73 mmHg,深い呼吸時64.7±3.73 mmHgで,安静時と比較し息こらえ時は有意に上昇し深い呼吸時は有意に低下を認めた.脈拍は安静時73.4±4.17bpmだった.息こらえ時は73.4±7.45bpm,深い呼吸時は68.7±3.07bpmで安静時と比較し差はみられなかった.初期瞳孔径は安静時6.16±0.64mmであった.息こらえ時は6.41±1.01mm,深い呼吸時は6.30±0.66mmであり、安静時と比較し息こらえ時で有意に拡大していた.最小瞳孔径は安静時3.82±0.83mmであった.息こらえ時は4.19±0.81mm,深い呼吸時は3.71±0.92で安静時と比較し息こらえ時で有意に拡大していた.縮瞳速度は安静時4.68±0.57mm/sであった.息こらえ時は4.96±1.51mm/s,深い呼吸時は6.1±3.11mm/sで安静時と比較し差はみられなかった.散瞳速度は安静時2.26±0.56mm/sであった.息こらえ時は2.94±1.92mm/s,深い呼吸時は3.1±0.91mm/sで,安静時と比較し深い呼吸時は有意に早くなっていた.【考察】息む動作では血圧上昇を伴うことが多く,高血圧患者や未破裂動脈瘤保持者において禁忌とされる.今回,電子瞳孔計を用いた検査で息こらえは安静時に比較し,拡張期血圧上昇や初期瞳孔径および最小瞳孔径の増大を認めた.これらはバルサルバ効果による交感神経の刺激により血圧上昇と,瞳孔径が増大したためと考える.また,今回行った深い呼吸では安静時と比較し拡張期血圧は低下し,散瞳速度は有意に亢進した.深呼吸などの深い呼吸では,肺が拡張し伸展受容器が刺激され,迷走神経を介して吸気中枢に伝わりその働きが抑制される.今回の検査では迷走神経の影響を受けて血圧低下が起こり,その間縮瞳していた瞳孔が光刺激により散瞳したためと考える.【理学療法学研究としての意義】電子瞳孔計を用いた瞳孔機能測定は、急激な血圧上昇が禁忌とされる疾患を持つ患者へのADL指導や運動療法発展に有用であると考える.<BR><BR>
著者
前田 正信 羽野 卓三
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.71-76, 2013-04-25 (Released:2015-07-06)
参考文献数
11
被引用文献数
2

背景 : 本研究の目的は,医学部学生の生理学筆記試験の成績がどのように変化しているかを調べ,試験の成績が入学定員増とどのような関係であるか明らかにし,入学定員増後の医学部学生の試験の成績よりみた学力低下が実際に生じている根拠を与えることである.方法 : 医学部の入学定員増以前の学年,定員増以後の学年の生理学筆記試験の成績の平均値,標準偏差,平均値+標準偏差,平均値–標準偏差,学生数,不合格者数,学生数に対する不合格者の割合を調べた.結果 : 医学部学生の試験の成績は入学定員増以後に有意に低下していることが明らかとなった.考察 : 医学部学生の試験の成績よりみた学力低下は入学定員増が関与していると考えられる.
著者
石川 和信 首藤 太一 小松 弘幸 諸井 陽子 阿部 恵子 吉田 素文 藤崎 和彦 羽野 卓三 廣橋 一裕
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.259-271, 2015-06-25 (Released:2017-03-03)
参考文献数
5

シミュレーション教育への理解と普及をはかり, 医学生の臨床能力の客観的評価システムを全国の医学部教員が連携して確立することを目的として, 第46回日本医学教育学会大会の開催翌日に, 医学生イベントとして, シムリンピック2014を開催した. 全国公募した12チーム36名の医学部5, 6年生が参加し, シミュレータや模擬患者を活用した6つのステーション課題に挑戦した. 各課題の構成, 難易度, 妥当性を臨床研修医の協力で検証し, 実行委員会でブラッシュアップした. 企画の構想, 実行委員会組織, 開催準備, 当日の概要, 参加者アンケート結果に考察を加えて報告する.