著者
上田 亜樹 奥村 沙緒里 工藤 佳苗 田辺 亜梨沙 永井 沙織 吉田 訓子 三田村 理恵子 Aki UEDA OKUMURA Saori KUDO Kanae TANABE Arisa NAGAI Saori YOSHIDA Kuniko MITAMURA Rieko 藤女子大学大学院人間生活学研究科食物栄養学専攻 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科・藤女子大学大学院人間生活学研究科食物栄養学専攻) Division of Food Science and Human Nutrition Graduate School of Human Life Science Fuji Women's University Department of Food Science and Human Nutrition Faculty of Human Life Sciences Fuji Women's University Department of Food Science and Human Nutrition Faculty of Human Life Sciences Fuji Women's University Department of Food Science and Human Nutrition Faculty of Human Life Sciences Fuji Women's University Department of Food Science and Human Nutrition Faculty of Human Life Sciences Fuji Women's University Department of Food Science and Human Nutrition Faculty of Human Life Sciences Fuji Women's University Department of Food Science and Human Nutrition Faculty of Human Life Sciences and Division of Food Science and Human Nutrition Graduate School of Human Life Science Fuji Women's University
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.53-57, 2014-03-31

現代社会における食生活の変化、特に動物性脂肪摂取量の増加は、メタボリックシンドロームをはじめとする、脂質異常症の一要因になっていると思われる。そこで本研究では、植物性脂肪である大豆油を対照として、カカオ豆の脂肪分であるが、飽和脂肪酸を多く含み常温では固体であるカカオバターと、豚の脂肪組織から精製される食用油脂ラードを用いて高脂肪食を作製し、ラットにおける高脂肪食の摂取が、脂質代謝に及ぼす影響を検討した。3週齢SD系雄性ラットを精製飼料であるAIN-93M で予備飼育後、1群6匹になるようControl群、Cacao群、Lard群の3群に分け28日間試験飼育を行った。Cacao群とLard群は20%の高脂肪食になるよう、カカオバターとラードをそれぞれの精製飼料に添加した。試験期間中26-28日目に採糞を行った。解剖後、肝臓重量、腹部大動脈血中総コレステロールおよびトリグリセリドを測定した。またFolchらの方法に従い肝臓と糞から総脂質を抽出し、肝総コレステロールおよびトリグリセリドを測定した。飼育期間全般で体重に有意差は認められなかった。しかしながら、Lard群ではControl群と比較して肝臓中の総脂質含量、総コレステロールおよびトリグリセリドが有意に増加した。同じ高脂肪食のCacao群では、これらの増加は認められなかった。糞中総脂質含量は、Cacao群が他の2群に比べ最も多かった。以上の結果より、カカオバターは高脂肪食ラットの、肝臓中総脂質含量や、総コレステロールおよびトリグリセリドの増加を、抑制する可能性が示された。Cacao群では糞中総脂質含量が増加することから、カカオバターは吸収されにくい脂質であることが示唆される。
著者
三田村 理恵子 小山田 正人 河内 智子 小幡 明雄 Rieko MITAMURA OYAMADA Masahito KOUCHI Tomoko OBATA Akio 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科・藤女子大学大学院人間生活学研究科食物栄養学専攻 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科・藤女子大学大学院人間生活学研究科食物栄養学専攻 キッコーマン株式会社研究開発本部 キッコーマン株式会社研究開発本部 Department of Food Science and Human Nutrition Faculty of Human Life Sciences and Division of Food Science and Human Nutrition Graduate School of Human Life Science Fuji Women's University Department of Food Science and Human Nutrition Faculty of Human Life Sciences and Division of Food Science and Human Nutrition Graduate School of Human Life Science Fuji Women's University Research and Development Division Kikkoman Corporation Research and Development Division Kikkoman Corporation
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.27-34, 2014-03-31

本研究は健常な女子大学生を対象とし、乳酸発酵野菜入り野菜・果実混合飲料の摂取による排便と皮膚水分への影響を明らかにすることを目的とした。インフォームドコンセントの得られた健常な女子大学生53名(19~22歳)を対象とし、非摂取期間2週間(観察期)、試験飲料(1缶190g/日)摂取期間2週間(飲用期)の合計4週間、排便状況、食事内容、排便に影響を及ぼす可能性がある特記事項について毎日記録を行った。Corneometreによる皮膚水分量の測定と食物摂取頻度調査を観察期、飲用期にそれぞれ1回ずつ行った。飲用期終了後には事後アンケート調査を行い、自覚症状を評価した。被験者53名のうち2名を解析除外者とし、51名を解析した結果、飲用期では観察期と比較して、排便回数(13.5±4.5から14.4±5.0)と排便量(15.7±6.9から17.3±8.0)が有意に増加した。また、本飲料摂取後では「排便後に爽快感が得られる」との回答が増加し、「形の良い便が毎日出るようになった」、「便が柔らかくなったのが実感できた」などの便通改善効果が得られた。皮膚水分量(49.0±9.67から56.6±9.73)も有意に増加した。食事調査では、観察期、飲用期で試験食品摂取分を除いた場合では栄養価等に差が見られなかった。以上の結果より、乳酸発酵野菜入り野菜・果実混合飲料の摂取が、排便や皮膚水分の改善に役立つことが示された。
著者
杉浦 篤子 Atsuko SUGIURA 藤女子大学人間生活学部保育学科 Department of Erarly Childhood Care and Education Faculty of Human Life Sciences Fuji Women's University
巻号頁・発行日
vol.52, pp.113-120, 2015-03-31

Numerous art-related publications are provided in the form of children's picture books. The Art play Book (various authors) published by the Centre Pompidou in Paris is a well-known example of this. In Japan, a variety of art books and art picture books have also been published in the form of children's illustrated works, some of whose high sensibilities have earned them the label of modern art. Modern and other forms of art are often seen as difficult to grasp; in this context,the present study involved investigation of the potential to enjoy art through children's picture books and discussion of their role as media for modern art.
著者
三田村 理恵子 Rieko MITAMURA 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科・藤女子大学大学院人間生活学研究科食物栄養学専攻 Department of Food Science and Human Nutrition Faculty of Human Life Science and Division of Food Science and Human Nutrition Graduate School of Human Life Science Fuji Women's University
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.31-35, 2011-03-01

ヘルスツーリズムとは、医科学的な根拠に基づく健康回復・維持・増進につながる観光である。本研究では、思春期の女性を対象としたヘルスツーリズムを企画し、その中で望ましい食生活を実践できるよう食育を行った。ツアー前に実施した食事調査の結果、脂質の摂取量が目標値である総エネルギーに占める割合30%未満を超えていた。食品群別摂取量では、野菜の摂取量が160gと目標値である350gに達していなかった。また菓子類の摂取量が過剰であった。そこで食事バランスや野菜摂取の重要性を伝える講義を行い、バランスのよい食事をツアーで提供したところ、一食で235gの野菜を使用した料理にもかかわらず、71%の参加者が「野菜の量は気にならず食べることができた」と回答した。ツアー後に行った食事調査の結果、脂質の摂取量は有意に低下し目標値に近づいた。また菓子類の摂取量が少なくなったことから、ヘルスツーリズムでの食育は、食生活改善のための意識を高め、望ましい食生活への実践につながったと思われる。
著者
水上 香苗 高橋 さおり 楠木 伊津美 高瀬 淳 Kanae MIZUKAMI TAKAHASHI Saori KUSUNOKI Itsumi TAKASE Atsushi 藤女子大学非常勤講師 北海道大学大学院文学研究科・大学院生 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科 岡山大学大学院教育学研究科 Part-time Lecturer Fuji Women's University Graduate Student Hokkaido University Fuji Women's University Okayama University
出版者
藤女子大学QOL研究所
雑誌
藤女子大学QOL研究所紀要 (ISSN:18816274)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.35-42, 2010-03

2006年にマスコミ等で大きく取り上げられた学校給食費の未納問題は、従来から学校が潜在的に抱える問題であった。その対策として、学校給食の教育における意義、必要性等の配慮から、就学援助制度等の整備も行われてきている。しかし、その対応については、給食費の徴収・管理を始め実に様々であることがわかった。一方で、食育基本法の制定に伴い、法の制定以来改正されてこなかった学校給食法の改正が行われ、教育における学校給食の位置づけも変わることとなった。これらのことを踏まえ、今後給食費の未納問題を未然に防ぐためには、学校給食の事前説明と公会計による給食費の管理が必要といえる。
著者
楠木 伊津美 仙野 堅太 橋本 伸也 神林 勲 秋月 一城 大西 昌美 武田 秀勝 Itsumi KUSUNOKI SENNO Kenta HASHIMOTO Nobuya AKIZUKI Kazuki KANBAYASHI Isao ONISHI Masami TAKEDA Hidekatsu 藤女子大学人間生活学部 深川市立病院理学療法科 藤女子大学人間生活学部 北海道教育大学岩見沢校 松田整形外科病院口腔外科 北翔大学生涯学習システム学部 札幌医科大学保健医療学部 Fuji Women's University Fukagawa Municipal Hospital Fuji Women's University Matsuda Orthopedic Hospital Hokkaido University of Education Iwamizawa Hokusho University Sapporo Medical University
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.27-31, 2007-03-01

ヒトの生活において食事は重要な位置づけである。しかし、近年のライフスタイルの多様化に伴って食事の形態は変化し、「孤食」や栄養の偏った「偏食」がみられるようになった。そのような中で、「食育」が叫ばれてきている。食育の中でも食事の環境は大切であると考える。というのは、食事の環境は免疫機能の活性化を大きく左右し、加えて会食は、人間関係を形成するなど、社会的、精神的に良好な生活につながると考えられている。会食を行うことは、身体に必要な栄養素の摂取や心理面における満足感などの食事本来の目的のほかに、笑いや楽しみが得られ、ストレス軽減、免疫能の向上の効果があると考えられる。そこで、免疫系と内分泌系の機能検査として、末梢血中のNK細胞活性とコルチゾール値を用いて会食によるNK細胞活性、コルチゾール値の変化を検討し、会食がストレス軽減につながるかについて考察する。
著者
藤井 義博 Yoshihiro FUJII 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科・藤女子大学大学院人間生活学研究科食物栄養学専攻 Department f Food Science and Human Nutrition Faculty of Human Life Science and Division of Food Science and Human Nutrition Graduate School of Human Life Science Fuji Women's University
出版者
藤女子大学QOL研究所
雑誌
藤女子大学QOL研究所紀要 (ISSN:18816274)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.11-24, 2008-03-01

本論文では、良寛禅師の戒語を分類するに先立って2つの仮説を立てた。一つは、戒語は人々を「調え御する」大乗仏教の托鉢僧の布施行の一環として行なわれたという仮説であった。もう一つは、戒語は道元禅師の愛語の思想に基づいているという仮説であった。これらの仮説に基づいて、良寛禅師の戒語は、道元禅師の愛語を実現するために必要な「慈愛の心」すなわち「もとの心」へ人々をして立ち返えらせるための戒めであると定義した。戒語の項目の分析を行った結果、良寛禅師の一般人に与えた戒語をまず次のように3大分類した。I. 縦社会における戒語、II. 傾聴のための戒語、III. 日常の生活場面における戒語。そしてそれぞれの大分類をさらに分類した。すなわちI. 縦社会における戒語は、1. 上位者、2. 下位者、3. 同類、および4. 子どもに小分類した。II. 傾聴のための戒語は、1. 自慢、2. 情動誘発、3. 無責任、4. まね、5. おだて・おどけ、6. 言い過ぎ、7. へだて、8. とがめ、に小分類した。III. 日常の生活場面における戒語は、1. 生活の仕方、2. 人々の状態、3. その他、に小分類した。小分類の中にはさらに細分類をしたものがある。このように戒語を分類することによって、戒語は現代人にとってよりわかりやすいものになったと思われる。In the present paper, two hypotheses were made to classify Ryokan's Warnings for People about Language; One is that they would have been a part of his giving as a Mahayana mendicant monk, who intended to train and lead people. Another is that they would have been based upon Dogen's idea of kind speech. They were intended to warn people to come to their senses, which, expressed as "the original mind" and "the mind of compassion" by Ryokan and Dogen respectively, were required to realize Dogen's kind speech. The Warnings for People about Language were classified into three main groups: I. Warnings in the hierarchical society; II. Warnings to realize attentive listening; III. Warnings in aspects of the daily life. The three main groups were further divided into subgroups. Group I was subdivided into four subgroups: 1. about people in higher position, 2. about people in lower position, 3. about people in similar position, and 4. about children; Group II into eight subgroups: 1. Pride, 2. Causing negative emotions, 3. Irresponsibility, 4. Mimicry, 5. Flattery & Clowning, 6. Speaking too much, 7. Separation, and 8. Blaming; and Group III into three subgroups: 1. Way of living, 2. Aspects of people, and 3. the others. The classification of the Warnings for People about Language is suggested to have made them more comprehensive for people of today.
著者
藤井 義博 Yoshihiro FUJII 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科・藤女子大学大学院人間生活学研究科食物栄養学専攻 Department of Food Science and Human Nutrition Faculty of Human Life Science and Division of Food Science and Human Nutrition Graduate School of Human Life Science Fuji Women's University
出版者
藤女子大学QOL研究所
雑誌
藤女子大学QOL研究所紀要 (ISSN:18816274)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.35-46, 2016-03-31

本研究は、西洋近代医学の草創期に活躍したドイツの医師クリストフ・ヴィルヘルム・フーフェラント(1762-1836)の長生法におけるcultureの特徴を明らかにする試みであった。人間中心の近代社会の発展過程においてフーフェラントは、古代ギリシアのヒポクラテス派の医師による生活法の原則であった母なる自然(Nature)を生命力(the vital power)と等価とみなし、近代的な人間中心の思念であるcultureすなわち人為的働きかけによって生命力を可能な限り完全な発展を獲得することを目指す長生法(Makrobiotik、マクロビオティク)を樹立した。生命力は、動物機械と結合することにより中庸状態が必須の有機生命体すなわち身体を構築するものであった。cultureの欠如と同様にその過剰は、身体に対して有害であるため、長生法は中庸のcultureによって生命体である人間の完成を目指すものであり、その実現には理性力、結婚および子どもと若者のモラル教育による支援を得るものであった。理性は、この世とは別の世界に由来する存在であり、人間の中枢神経系によって受容されて啓示ないしはインスピレーションとして働くことで中庸のcultureを指南するものであり、また中庸のcultureによりその働きが実現されるものであった。結婚は、人間の最も本質的な運命の部分をなすものであり、完成に向かう人間がその利己性を脱するように働くものであった。モラル教育は、成人では中庸のcultureの諸原則により獲得される向上精神がしなやかな子どもと若者においては信念として生得になることを目的とするものであった。最先端の生物医学をもってしても対処しきれない諸病が蔓延する現代のストレス社会は、18世紀末にフーフェラントが指摘した近代社会に特徴的な社会現象の延長線上にあることから、現代の健康長寿を目指す健康教育の課題は、中庸のcultureの集成よりなる長生法を適用することにある。なぜならヒポクラテスの生活法の意義を示すプルタルコスの言葉「健康であるならば、多くの人間愛的行為に身を捧げるのにまさることはない」に示されている人間の完成の理念は、現代においてもその意義を失っていないからである。自己の健康長寿の達成だけでなく、どのように健康長寿を通じて多くの人間愛的行為に身を捧げることができるかを真剣に問うならば、現代の生物医学や健康教育に欠如する部分を中庸のcultureの集成である長生法の諸原則によって補うことは子どもや若者による主体的な健康教育を実現するための喫緊の課題である。

1 0 0 0 IR あい風の正体

著者
前野 紀一 Norikazu MAENO 北海道大学名誉教授・藤女子大学非常勤講師 Professor Emeritus Hokkaido University and part-time lecturer Fuji Women's University
出版者
藤女子大学QOL研究所
雑誌
藤女子大学QOL研究所紀要 (ISSN:18816274)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.5-16, 2011-03

あい風という風が、日本海沿岸の各地で知られている。あい風はそれぞれの地の地形や気象で決まる局地的な風であり、風向も同じではない。しかし、各地のあい風には、A)海から幸せを運ぶ好ましい風、および、B)北前船のノボリの順風、という二つの共通な特徴がある。あい風の風向が、北海道から、東北、北陸、山陰と南下するにつれて、北寄りから東寄りの風にかわる事実は、特徴AとBによって説明される。あい風の典型例として、石狩のあい風が調べられた。石狩のあい風は、江戸時代初期、おそらく300年以上前から始まった物資の輸送や人々の交流、移住の歴史の中で、特徴AとBに沿うように生まれ、育まれてきた。石狩のあい風は、春、夏、秋に吹くさわやかな北寄りの風であるが、気象学的には、典型的な海風であることが、気象データの解析とドップラーライダーの観測から明らかにされた。