著者
川村 直子 北村 達也 Naoko KAWAMURA Tatsuya KITAMURA
出版者
甲南大学
雑誌
甲南大学紀要. 知能情報学編 = Memoirs of Konan University. Intelligence & Informatics Series (ISSN:18830161)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.111-122, 2021-02-10

音声障害のリハビリテーション(音声リハビリ)で行う音声訓練において,発声時の顔面の皮膚振動感覚は効率の良い発声状態を表すとして重視されている.しかしながら,顔面の皮膚振動感覚はあくまで患者の主観に基づいた感覚であり,指導する言語聴覚士が患者の顔面の皮膚振動を把握することは現状では難しい.さらに,音声訓練中の顔面の皮膚振動について検証した報告は今のところ見受けられない.そこで,本研究では,音声リハビリ経験のある言語聴覚士を対象に,顔面の振動感覚を重視する3つの音声訓練法を用いて,スキャニング型レーザドップラ振動計により発声時の顔面の皮膚振動速度パターンを計測したので報告する.
著者
藤本 雅子 北村 達也 船津 誠也 Masako FUJIMOTO Tatsuya KITAMURA Seiya FUNATSU
出版者
甲南大学
雑誌
甲南大学紀要. 知能情報学編 = Memoirs of Konan University. Intelligence & Informatics Series (ISSN:18830161)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.103-113, 2022-02-01

標準語話者の有声,無声の破裂音/g/,/k/の調音と音声の特徴を/agise/,/akise/の検査語を用いて検討した.音声では閉鎖区間,formant onset time (FOT),子音区間は/k/が/g/より長く,先行母音と後続母音は/g/に隣接する場合に/k/に隣接する場合より長かった.先に報告した同じ話者の調音上の特徴に,閉鎖区間が/k/が/g/より長いこと,閉鎖のタイミングが/k/が/g/より早いことがあった.これらはそれぞれ音声上の閉鎖区間が/k/が/g/より長かったこと,/g/に先行する母音が/k/に先行する場合より長かったことに対応する.MRIの/g/,/k/の最大閉鎖フレームのトレース画を用いた計測では,/k/は/g/に比べ正中面上の閉鎖の範囲が長い傾向が見られたが,咽頭面積は個人差が大きく/g/と/k/で一定の傾向が確認できなかった.
著者
淺井 優介 北村 達也 川村 よし子 Yusuke ASAI Tatsuya Kitamura Yoshiko KAWAMURA
出版者
甲南大学知能情報学部
雑誌
甲南大学紀要.知能情報学編 = Memoirs of Konan University. Intelligence & Informatics Series (ISSN:18830161)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.67-75, 2020

日本語教育が必要な児童向けの教材作成の基礎データを提供するために,NHK Eテレの小学生向け教育番組の音声を書き起こし,語彙表を試作した.低学年向け17番組計510分,高学年向け19番組計570分を音声認識を利用して書き起こし,その中に現れた単語を有用度指標にもとづいて降順に並べ,語彙表を作成した.得られた語彙表は,先行研究にて作成された書き言葉コーパスに基づく語彙表よりも易しい単語が抽出されており,本研究の方法論の有効性が示された.
著者
北村 達也 川村 よし子 Tatsuya Kitamura Yoshiko Kawamura
出版者
甲南大学
雑誌
甲南大学紀要. 知能情報学編 = Memoirs of Konan University. 甲南大学 編 (ISSN:18830161)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.25-33, 2017

日本語学習者を対象とした慣用表現の効率的な教育(学習)を実現するため,朝日新聞,毎日新聞,読売新聞の2014 年の記事データベースを対象にして出現頻度の高い慣用表現のリストを作成した.まず,宮地(1982)『慣用句の意味と用法』,森田(2010)『日本語の慣用表現』に掲載された慣用表現に異表記を追加し,6,378 個の慣用表現を得た.次に,3 紙の合計で約490 万文を対象として,慣用表現の出現頻度を計数した.そして,各紙における出現頻度上位100 位のうち,3紙すべてに共通して現れる慣用表現を求めた.これによって,新聞による偏りを排除し,使用頻度が高く学習者に有用な慣用表現リストが得られた.
著者
北村 達也 Tatsuya Kitamura
出版者
甲南大学知能情報学部
雑誌
甲南大学紀要. 知能情報学編 = Memoirs of Konan University. Intelligence & Informatics Series (ISSN:18830161)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.209-215, 2019-02-28

日本語教育用の教科書に含まれる単語がその教科書において初めて現れる課(初出課)を自動的に判定するシステムを開発し,その利用状況を調査した.その結果,2018年4月1日から7月31日までの四半期に10,000回を超えるアクセスがあり,そのうちの約9割は日本国内からのアクセスであった.また,利用者100名を対象としたアンケート調査の結果,利用者の約6割が日本語教師を職業としている人であった.そして,利用者の約8割がこのようなシステムの有無が教科書の選定に影響すると回答した.
著者
北村 達也 永田 亮 船越 孝太郎 Tatsuya Kitamura Ryo Nagata Kotaro Funakoshi
出版者
甲南大学知能情報学部
雑誌
甲南大学紀要. 知能情報学編 = Memoirs of Konan University. Intelligence & Informatics Series (ISSN:18830161)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-17, 2018-07-31

This study proposed and evaluated an audio-visual teaching aid for teaching rhythm of spoken English. The teaching aid instructs stress timing of English by movements of a circle marker on PC screen. Native Japanese participants exercised English sentences with and without the teaching aid and their speech sounds were recorded before and after the exercise. The results of analyses of the speech sounds showed that the teaching aid could improve in learning the English stress timing.
著者
中田 圭祐 菊地 智也 樋口 拓海 清瀬 大貴 梅谷 智弘 北村 達也 Tomohiro Umetani Tatsuya Kitamura
出版者
甲南大学
雑誌
甲南大学紀要. 知能情報学編 = Memoirs of Konan University. Intelligence & Informatics Series (ISSN:18830161)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.125-132, 2018-02-28

本稿では,コンポーネント駆動型の小型移動ロボット環境を用いた,デモンストレーションなど実演を行うためのシステム群の開発について述べる.ロボットの実演システムを構築する際には,長時間の習熟を必要とせずに多くの実演者にシステムを利用させることが望ましい.また,実演を行う際には,ロボットシステム単体だけでなく,ロボットを運用するためのサブシステムの構築,運用が重要になる.本稿では, RaspberryPiを搭載し,外部のキーボードやディスプレイなしで運用できる2種類の小型移動ロボットシステム,および, Arduinoを用いた周辺システムによる実演システムを構築する.ソフトウェア,ハードウェアの開発および公開,実システムを用いた実浪を通して,可能性,有用性を示す.