著者
谷 聖一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.606-615, 2015-11-01 (Released:2015-11-01)
参考文献数
16

中等教育課程にある生徒を対象とした国際科学オリンピックの1つである国際情報オリンピックが,2018年に日本で開催されることが決まった。日本国内では,情報オリンピック日本委員会が国内大会の運営や日本代表選手選抜などを行っている。情報オリンピックの概要および情報オリンピック日本委員会の活動を紹介する。
著者
岩田 修一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.543-551, 2012-11-01 (Released:2012-11-01)
参考文献数
10
被引用文献数
4

多様な品質のデータが構造化されないまま大量に流通する時代である。そうしたビッグデータの時代における学術データの流通の新たな様相と課題を説明した。多様なデータを時間,空間,意味から整理した例として,ビッグヒストリー,ビッグマップ,データサイエンスの事例を紹介し,ビッグデータの整理法について論述した。特に3.11東日本大震災以降,明らかになった重要なデータに関する課題は,結果が示された後の事後的な説明ではなく,利用可能なデータを活用した先見的な予測と対策,危機管理である。この小稿の結論としてデータの意味を基にした数理とデータ科学の根本的な課題を列挙し,今後の本格的な課題解決のための準備とした。
著者
MEDDINGS Kirsty
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.140-144, 2010

剽窃は学術出版においては目新しい問題ではないが,インターネットとデジタル出版の時代を迎え,ますます大きな問題となりつつある。こうした時代では,発表論文が単に増加したというだけでなく,オンライン・データベースや出版社のWebサイト,機関リポジトリからの文献の情報検索がかつてないほど容易になった。しかし,コンテンツの数とその利用可能性が増大するにつれ,査読者は,専門分野の全資料を読むことが難しくなり,オリジナルでないコンテンツの検出が一段と困難になっている。この問題に対応するため,CrossRefは学術出版社向けの剽窃検知サ―ビスCrossCheck(http://www.crossref.org/crosscheck.html)の提供を開始した。
著者
久保田 壮一 荒川 紀子 和田 光俊 近藤 裕治 小久保 浩 山崎 匠
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.69-76, 2006 (Released:2006-05-01)
参考文献数
9
被引用文献数
5 5

JSTが運営する電子ジャーナルサイトJ-STAGEのリンク機能を担うJSTリンクセンターが関係する新機能を2つ紹介する。1つはJ-STAGE上の論文本文を検索エンジンGoogleやGoogle Scholarで検索できるようにクロールさせる機能,もう1つは論文間の被引用関係表示を行う機能である。これまでJ-STAGE記事内同士の被引用関係は実現されていたが,2005年5月からCrossRefのForward Linking機能を利用して,J-STAGE外の記事からの引用関係を取得し,これを被引用リンクとして表示することができるようになった。
著者
日高 真子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.21-29, 2011 (Released:2011-04-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

国内の学会・機関から国内外に向けて英語で発行されている学術誌における著作権の取り扱い等について調査を行った。調査結果をもとに著作権の取り扱いに関する方向性を検討し,著作権規定のひな型を作成した。ひな型の特徴や全体像,留意事項について説明する。
著者
柏木 公一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.243-250, 2008 (Released:2008-07-01)
参考文献数
4
被引用文献数
2 1

SNOMED-CT(Systematized Nomenclature of Medicine-Clinical Terms)は,30万8,000概念,77万7,000用語から成る,医療分野において最も大きな用語集の1つである。広範囲であり,同義語,階層構造から成る多軸構造を持ち,意味リンクによって,概念同士が関連付けられている。現在は,IHTSDOという国際機関によって管理され,半年に1回,英語版とスペイン語版が更新されている。本稿では,このSNOMED-CTの概要を紹介し,このような巨大用語集ができた経緯と,日本との関係を解説する。
著者
最上谷 誠
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.243-250, 2014-07-01 (Released:2014-07-01)

リコーイメージング株式会社では,他社特許の評価を技術者と知財担当者が協力して行うのに効率的な特許評価システムの構築を行い,運用することになった。これは,特許調査ツールを利用することにより,管理も含めて互いの進捗状況が見えるシステムである。本稿では,システムの概要と運用面での注意点について報告する。併せて本システムの重要項目の1つである,独自キーワード付与からパテントマップへの応用など,データ活用事例についても報告する。
著者
高尾 幸成
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.813-821, 2013-03-01 (Released:2014-03-01)
参考文献数
1

iPS細胞は,4つの遺伝子を体細胞に導入することで製造される多能性の細胞である。この細胞を利用した医療という産業応用が見込まれることから,大学の研究成果であるにもかかわらず知的財産に対して特別な取り組みが行われている。本稿では,iPS細胞とは何かを解説し,iPS細胞研究所の知財管理室が抱えるiPS細胞ならではの特許審査にかかる問題や,それに対する取り組みを紹介する。また,知的財産を利用したiPS細胞技術の普及のあり方について考察する。
著者
太田 良隆
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.133-139, 2013-06-01 (Released:2013-06-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

日米欧中韓の五大特許庁は,特許分類に関する取り組みとして共通ハイブリッド分類(CHC)プロジェクトを実施している。本プロジェクトは,各庁の既存の内部分類(JPOのFI・Fターム,EPO・USPTOのCPC)を調和するものであり,国際特許分類(IPC)を迅速に詳細化することが期待されている。日本国特許庁はその推進のために多くの労力を費やしてきたが,その進捗は芳しいとは言えない。本稿では,このようなCHCプロジェクト等の特許分類に関する最近の動向を説明する。
著者
小野 永貴 常川 真央
出版者
科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.185-197, 2010-07
被引用文献数
1

近年,図書館関係者の間で貸出履歴データを図書館サービスに活用していく議論が活発である。議論は図書館総合展など大規模なフォーラムにおいても注目されるようになり,実際に貸出履歴を活用した図書館システムを導入する例も出始めている。しかし一方で,貸出履歴の活用によって図書館の在り方そのものにどう影響を与えるかについての議論は少ない。本稿では貸出履歴についての議論や活動を解説したうえで,近年台頭しつつある新たな図書館サービスと合わせて Web時代にあるべき図書館について検討した。その結果,筆者らは貸出履歴の活用方法の4類型を提示し,利用者コミュニティーの形成を重視した新たな図書館モデルを提示した。そのうえで,図書館の利用者コミュニティー形成を支援するために筆者らが開発したWebサービス「Shizuku2.0」について紹介し,今後の展望について記述した。
著者
酒井 由紀子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.2-10, 2008
被引用文献数
1 1

欧米と日本でのEvidence-Based Medicine(EBM)とEvidence-Based Librarianship(EBL)/Evidence-Based Library and Information Practice(EBLIP)における,医学図書館員を中心とした図書館員の活動を対比しながら概観した。欧米では,EBMにおける医療従事者の支援活動が臨床の場にまで拡大され,EBL/EBLIPにおいても調査研究を中心とした幅広い活動が積極的に行われていることがわかった。日本でもEBL/EBLIPの適用を通じて図書館の活性化が可能か,その課題と展望についても考察した。前編では,EBMにおける医学図書館員のEvidence-Based Practice (EBP) 支援活動について述べる。<br>