著者
時実 象一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.2-10, 2007 (Released:2007-04-01)
参考文献数
11
被引用文献数
3 3

中国における電子ジャーナル・サービスの現状について調査した。中国では清華同方知網(北京)技術有限公司の中国知識基礎設施工程(China National Knowledge Infrastructure: CNKI),万方数据の万方数据資源系統(Wanfang Data),維普資訊社の維普資訊網(VIP Information)の3つもの電子ジャーナル・サービスが競合しており,それぞれ5,000-9,000タイトルの雑誌,1,200-1,800万件の記事がオンラインで提供されている。数量的には西欧のすべての電子ジャーナル記事の合計を上回る勢いである。過去分の電子化も進んでおり,またCNKIやWanfang Dataからは引用文献データベースのサービスも開始されている。またWanfang DataやVIPの電子ジャーナルはGoogle Scholarにも索引されており,簡単に雑誌記事全文にアクセスできる環境が整っている。
著者
島田 貴史
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.316-324, 2011 (Released:2011-09-01)
被引用文献数
3 1

慶應義塾大学で平成22年度から行われている電子学術書利用実験プロジェクトに関する,図書館の実務担当者による私的な中間報告。同実験は,学術出版社や協力企業と共同で,電子化した学術書(和書)を学内に提供する実証実験を行い,大学図書館に対して学術書を中心とする電子書籍を提供するモデルの可能性についての検討を行っている。同実験プロジェクトの意義や目的,特徴などについて,実験を通してわかってきたことを報告する。特に,学生モニターに対するアンケート調査から見えてきた学生が感じる電子化された学術書のイメージ,大学図書館が電子化を進める必要のある書籍,実験システムを動かしてみてわかった日本語における電子書籍に関する技術的な現状と課題の3点が中心となる。
著者
川添 隆公
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.200-210, 1979-06-01 (Released:2016-03-16)

郵政省における為替貯金業務のオンライン化についてその経緯と現状を紹介するとともに,システムの概要を解説した。本システムは,全国約2万の郵便局と計算センタ(9か所)を特定通信回線でオンライン・ネットワークを構成する一方,各計算センタ相互のセンタ間処理を可能とするために,東京計算センタ内に交換設備を設置し,交換機能を持たせた,他に類例のない大規模なオンライン・バンキングシステムである。また,後方処理として地方貯金局に事務センタを設置し,オフ扱処理,計数確査,事故処理等の関連事務処理を行っている。
著者
時実 象一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.571-579, 2008 (Released:2008-11-01)
参考文献数
18
被引用文献数
5 6

各種雑誌リストを用いて日本で発行されている科学技術医学系雑誌の数を調査したところ,論文誌2,899誌,大学等論文誌603誌,大学紀要2,886誌であった。うち英文誌はそれぞれ416誌,83誌,33誌であった。論文誌のうち2005年に実際に発行されていたもの2,655誌のうち949誌(35.7%)が何らかの形でオンライン化されていた。またそのうちの英文誌は351誌で,うち267誌(76.1%)がオンライン化されていた。主な電子ジャーナルサイトNII-ELS,J-STAGE,メディカルオンラインの収録誌を比較した。
著者
長神 風二
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.321-333, 2008 (Released:2008-08-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2 1 3

サイエンスコミュニケーションの重要性は2000年頃から日本で盛んに叫ばれ始め,関連人材養成のための大型プロジェクトが開始され,多くの取り組みが各地でなされるなど,急速な進展を見せている。図書館は,古くから,人々に学術情報を提供してきた場であり,サイエンスコミュニケーション活動とは無縁ではないが,近年の動きの中で大きな位置を占めてきたとは言い難い。本稿では,これまでに各地の図書館が行ってきたサイエンスコミュニケーション活動を,具体例を取り上げながら概観する。その上で,場としての図書館がサイエンスコミュニケーションにおいて果たしえる役割を議論し,科学技術の側から見た図書館の有用性を論じる。また,人々の科学技術に対する要望や要求を形にして学術の側に伝え,学術の側が伝えたいことを市民に伝える,双方向性をもった場として図書館が機能しえることを論じる。
著者
井上 孝 長田 孝治 石崎 俊
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.666-672, 2015-12-01 (Released:2015-12-01)
参考文献数
4

国際標準化機構(ISO)では用語や言語資源の標準化を担当するTC 37において翻訳・通訳関連規格の制定作業を行っており,その一環として翻訳サービスの品質保証に関するISO 17100規格が最近制定された。この規格は翻訳サービスの品質を確保するために翻訳サービス提供者が満たすべき要件を規定するもので,翻訳案件を1つのプロジェクトと見なし,仕様書に従って適切なプロジェクト管理のもとで遂行することを基本としている。本稿では同規格の内容を紹介するとともに,規格制定を主導したヨーロッパと日本との事情の相違など,今後の普及・発展に必要と考えられる問題点についても触れる。
著者
吉田 耕一郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.113-122, 2016-05-01 (Released:2016-05-01)

朝日新聞フォトアーカイブは2010年に発足した。朝日新聞社が所蔵する明治時代以降の歴史的な写真(ネガ,紙焼き,ガラス乾板など)約2,000万枚をデジタル化する作業を進め,最新のデジタル写真と合わせて約240万枚をWeb上で公開している。デジタル化に当たっては,写真の裏面のメモなどを頼りに書誌を確認するのが難題で,手間と時間がかかる。写真の書誌情報(見出し,写真説明,撮影場所,撮影日)に補助キーワードなどを加えることで,利用者の写真検索を容易にしている。Webサイトは2014年に大幅改修し,検索のためのオプションや提示型の特集機能の充実を図った。朝日新聞フォトアーカイブに登録されている写真は,教科書・教材やテレビ番組,書籍・雑誌,企業の社史などに多方面で利用されている。動画の取り組みも強化している。著作権の保護期間が満了した写真の扱いは大きな課題だ。朝日新聞フォトアーカイブでは,古い写真を死蔵することなく広く活用してもらうために,積極的に公開している。その際,データ提供料として適正な利用料金を頂く方針で,利用規約を整備した。近現代史を生き生きと伝える貴重な歴史写真を多くの人に見てもらうことは,新聞社の役割の一つだと考えている。
著者
田中 博
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.521-532, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
4
被引用文献数
3 2 3

「国民一人ひとりの生涯にわたる健康医療電子記録」であるElectronic Health Record(EHR)のわが国での実現形態,すなわち「日本版EHR」の実現をめぐって現状,諸課題,将来の方向を述べた。まず欧米での各国独自なEHR構築状況を紹介した後,わが国における現在の問題として「地域医療の崩壊」状況を示し,再生すべき医療の基本方向を論じた。さらに現在の国の取り組みの現状や,地域医療の再生を担う地域EHRの実現を通して日本版EHRを達成する長期的戦略について述べ,そのための具体的方針を提示した。
著者
永野 博
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.147-155, 2016-06-01 (Released:2016-06-01)
参考文献数
4

インダストリー4.0は,急激に発展してきた情報通信技術が製造技術と融合して起こる第4次産業革命に積極的に対応していくための政策である。ドイツはこの政策により,ソフトウェア分野に強い米国に負けることなく,自国製造業の世界での持続的発展の実現に狙いを定めている。ビッグデータを取り扱う技術の進展は単なる産業の革命ではなく,あらゆる社会システムの変革を迫るものであり,インダストリー4.0は社会のシステムをすべて変革する導火線となろう。しかし,どのような世界に直面するのかは想像しにくい。インダストリー4.0は国民に次の世界は何かを考えさせ,それに対応するのではなく,それを作る過程に参画し,そこから率先して裨益することを目的とした政策といえる。
著者
和田 恵美子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.499-508, 2006 (Released:2006-12-01)
参考文献数
6
被引用文献数
1

健康情報棚プロジェクトは,患者・市民にわかりやすい健康・医療情報を提供することを目的とした民間研究グループである。これまで統一された分類がなくわかりづらかった闘病記に着目し,入手可能な約1,800冊を集め疾患別に分類した。リスト作成および収集,データベース化を行うとともに,モデルケース「闘病記文庫」の設置は公共図書館,患者図書館,医学図書館など全国10か所に及んだ。「闘病記文庫」は,同じ疾患に悩む患者やそれを支える家族,市民に活用され,患者中心医療の具現化として,ひとつの社会提言となった。
著者
佐藤 勉 林 賢紀
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.338-347, 2004 (Released:2004-08-01)
参考文献数
4
被引用文献数
2 1

農林水産研究情報センターにおいては,年々増加するWeb上の農林水産関連の情報資源に対し効率的なアクセスを可能とするため,また農林水産省試験研究機関等で発信する研究成果などの情報について,誰でも容易にアクセスできるよう,農林水産研究情報に特化した検索システムや,これらの情報を整理したディレクトリシステムを開発し,運用している。また,消失しやすいWeb上の情報を保存することで,永続的なアクセスを確保し価値の高いデータや研究成果を安定して提供するため,Webアーカイブの構築を行っている。