著者
新野 宏
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.1001-1023, 1982 (Released:2007-10-19)
参考文献数
39
被引用文献数
12 11

密度一様の回転流体中の非発散の水平シア流の安定性を弱非線形理論によって調べた。考えたシア流はyを流れる横切る方向の座標とするとき,U(y)=tank y と U(y)=sech2y の2通りである。コリオリ係数の緯度変化の効果(ベータ効果)及び底面でのエクスマン摩擦の効果を考慮してある。不安定波の振幅の時間及び空間変調を記述する一般化されたランダウ方程式の係数を様々なβ(≅dy/dy)の値に対して求めた。この論文で考えた範囲のβの値に対しては,どちらのシア流の不安定も超臨界型であることがわかった。従って,臨界値より大きなレイノルズ数に対しては,有限振幅の不安定波が変形された基本流との間に平衡状態を形成することが予測される。有限振幅の定常波の side-band 波に対する安定性も調べた。超臨界のレイノルズ数に対して,波数κ0の有限振幅波は,もしκ0がS(κ1-κc)<κ0-κc<S(κ2-κc)をみたすならば安定である。ここで,kcは臨界波数,k1とk2(k<k2)はそのレイノルズ数に対する2つの中立波の波数であり,Sは定数である。U(y)=tanh y に対しては,β=0のときSは1/√3に等しい。Sはβの絶対値が増すと共に減少する。従って,有限振幅波が安定な波数領域はβの絶対値が大きくなるにつれて減少する。U(y)=sech2 yに対しては,βの絶対値が小さいときには(無次元のβでβ=-1.9~0.5)Sの値は0に等しく,有限振幅波は不安定である。βがこの範囲外のときには,Sはβの絶対値が増すと共に大きくなるが,1/√3より大きくなることはない。
著者
Karumuri ASHOK Zhaoyong GUAN Toshio YAMAGATA
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.41-56, 2003 (Released:2003-03-18)
参考文献数
31
被引用文献数
187 214

Using observed sea surface temperature data from 1871-1998, and observed wind data from 1958-1998, it is confirmed that the recently discovered Indian Ocean Dipole (IOD) is a physical entity. Many IOD events are shown to occur independently of the El Niño. By estimating the contribution from an appropriate El Niño index based on sea surface temperature anomaly in the eastern Pacific, it is shown that the major fraction of the IOD Mode Index is due to the regional processes within the Indian Ocean. Our circulation analysis shows that the Walker circulation during the pure IOD events over the Indian/ Pacific Ocean is distinctly different from that during the El Niño events. Our power spectrum analysis, and wavelet power spectrum analysis show that the periodicities of El Niño and IOD events are different. The results from the wavelet coherence analysis show that, during the periods when strong and frequent IOD events occurred, the Indian Ocean Dipole Mode Index is significantly coherent with the equatorial zonal winds in the central Indian Ocean, suggesting that these events are well coupled. During the periods when there seems to be some relationship between the equatorial zonal winds in the central Indian Ocean and ENSO index, no significant coherence is seen between the Indian Ocean Dipole Mode Index and the equatorial zonal winds in the central Indian Ocean, except after 1995, suggesting that most of the IOD events are not related to ENSO.
著者
竹村 和人 向川 均
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.5-19, 2023 (Released:2023-02-07)
参考文献数
45

本研究では、夏季アジアジェット出口付近でロスビー波の砕波を伴うシルクロードパターンが、太平洋・日本(PJ)パターンを引き起こす割合を調査した。ここで、シルクロードパターン事例は、ユーラシア大陸上での対流圏上層の南北風の主成分分析に基づき、黄海及び日本付近が高気圧性偏差となるパターンで特徴づけられる第1、2主成分を用いて抽出した。さらに、抽出した事例を、砕波を伴う事例と伴わない事例に分類した。 砕波を伴うシルクロードパターン事例では、アジアジェット出口付近の上層での高気圧性偏差は、砕波を伴わない事例と比べて東西により広がった形状を持ち、振幅も大きい。この事例の合成図では、シルクロードパターンに伴う波列パターンがユーラシア大陸上に存在し、アジアジェット出口付近で砕波を伴っていた。砕波の発生は、砕波域でのアジアジェットの強い減速及び分流と関連する。また砕波は、上層の高渦位気塊の進入を通して、砕波域の南側で活発な対流活動を促し、PJパターンを形成する。合成図において出現する明瞭なPJパターンは、南側で低気圧性偏差、北側で高気圧性偏差を持つ双極子構造を示す。そして、砕波を伴うシルクロードパターン事例の約60~70%が、PJパターンを伴っていた。 一方、砕波を伴わないシルクロードパターン事例の合成図では、ユーラシア大陸上で波列パターンは存在するが、砕波域の南側で活発化した対流活動及びPJパターンは存在しない。そして、砕波を伴わないシルクロードパターン事例の約40~50%がPJパターンを伴っていた。したがって、砕波によって正のPJパターンの出現頻度は1.2~1.7倍に増加し、砕波はPJパターンの励起に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
著者
Brant Liebmann Harry H. Hendon John D. Glick
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.401-412, 1994-06-25 (Released:2009-09-15)
参考文献数
18
被引用文献数
372 402

当論文においては、西太平洋及びインド洋における熱帯低気圧とMadden-Julian振動(MJO)との関連を記述する。熱帯低気圧は振動の積雲対流活動活発期に生じ易いし、雲塊は下層の低気圧性渦度の周辺に存在し、発散場はMJOに伴う積雲対流活動の西方極側に現れる。熱帯低気圧や台風の絶対数は振動の積雲対流活動活発期に増大するが、弱い熱帯低気圧から転化する熱帯低気圧と台風の比率は、積雲対流活動活発期と乾燥期において同一である。積雲対流活動活発期においてより多くの熱帯低気圧や台風が存在するのは、当時期により多くの弱い熱帯低気圧が存在することによる。当研究の第三の結果は、積雲対流活動活発期の熱帯低気圧の活動度がMJOの活動度に限定されていない点である。事実、我々はMJOと独立かつ無作為に選ばれた積雲対流活動活発期において熱帯低気圧の活動度が同等に増大することを見いだした。結論として、MJOは熱帯低気圧に影響を及ぼす独自の機構を持つと言うより、むしろそれに伴う熱帯の変動度が大きな割合を占めるという点で重要である。
著者
竹村 和人 向川 均
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1, pp.115-139, 2022 (Released:2022-02-22)
参考文献数
48
被引用文献数
5

太平洋・日本(Pacific–Japan; PJ)パターンの形成に及ぼす日本の東海上で生ずるロスビー波砕波の寄与の重要性を、熱帯大気海洋変動の寄与と比較しながら定量的に調べた。まず、正及び負の位相を持つPJパターンのそれぞれの事例を、砕波が発生した事例と発生しなかった事例に分類した。その結果、砕波によって引き起こされた正位相のPJパターン事例数は、正位相全事例の約20%を占めることが分かった。また、砕波を伴う正位相のPJパターン事例数は、砕波を伴う正負両位相事例の約80%を占めていた。次に、砕波を伴う正位相のPJパターン事例について、ラグ合成図を用いたQベクトルに基づく診断を行った。その結果、日本の東海上での砕波が、北西太平洋亜熱帯域へ向かう南西方向への高渦位大気の進入と、それによって北西太平洋亜熱帯域で力学的に惹起される強い対流活動を通して、PJパターンの形成を促進することが示された。このPJパターンの形成メカニズムは先行研究で示されたものと一致する。一方、砕波を伴う負位相のPJパターン事例を対象とする合成図解析によって、砕波と関連する対流圏上層での東西方向に延伸した大気循環場偏差、及びインド洋全体での正の海面水温偏差が北西太平洋亜熱帯域での対流活動を弱化させたために、砕波の発生にも拘わらず、負位相のPJパターンが形成されたことが示された。最後に、砕波を伴わない正負両位相のPJパターン事例では、北西太平洋亜熱帯域での対流活動域が、時間とともに北西進してPJパターンの形成を促すことが合成図解析の結果より示された。砕波を伴わないPJパターンは、熱帯での海面水温偏差や北半球夏季季節内振動の位相と密接に関連し、「純粋な」熱帯の影響によって形成されることが明らかとなった。
著者
藤原 咲平 高橋 浩一郎 關口 領
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.255-264, 1937-07-05 (Released:2009-02-05)
参考文献数
6

If δQ1 is the total energy consumed or accumulated in unit volume of the lower atmosphere per unit time and δQ2 is that which enters in or comes out of this space per unit time δQ1 should be equal to δQ2. δQ1 and δQ2 are calculated by the following equations, We calculated numerically these equations of the atmosphere using the data obtained at Tokyo observatory. We made sure that the 1st law of thermodynamics holds satisfactorily good in the atmosphere.
著者
藤原 咲平 關口 領
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.587-591, 1936 (Released:2009-02-05)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

As an example of application of Takahasi's method of the determination of period and damping ratio of the irregular motion of an oscillating body, we made some investigations on the periodicity of the dates of freezing of Lake Suwa.In the first place the method was applied to each of four sections into which the whole period of records was divided and next to the whole interval.As we can thought that the curve which was obtaind by the method expresses free oscillation of the system, so that we calculated the period and the damping ratio from that curve. Besides this, other methods, such as partial means and the normal statistical method, namely the method of correlation, have also been tried, We obtained, as a conclusion of these analysis, that there exist 3 years and 33 years periodicity in the dates of freezing of Lake Suwa.
著者
竹村 和人 向川 均
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.169-187, 2020 (Released:2020-03-26)
参考文献数
43
被引用文献数
16 22

盛夏期におけるアジアジェットに沿う準定常ロスビー波束の伝播と、太平洋・日本(Pacific-Japan:PJ)パターンが、アジアジェット出口付近におけるロスビー波の砕波を通して結合する可能性、及びそのメカニズムについて、長期再解析データを用いて調べた。まず、日本の東海上において発生した計44のロスビー波の砕波事例に基づくラグ合成図解析を行った。その結果、アジアジェットに沿う波束伝播が、日本の東海上において高気圧偏差の増幅を引き起こし、逆“S”字型の砕波に伴って、高渦位大気が北西太平洋亜熱帯域に向かって南西方向に侵入することがわかった。次に、Q ベクトルを用いた診断や渦度収支解析より、対流圏上層における砕波に伴う強い正渦度移流が、北西太平洋亜熱帯域における力学的上昇流を励起することにより、積雲対流活動の活発化、及びそれに伴うPJパターンの発現に重要な役割を果たすことが明らかになった。また、より強い砕波が生じた事例ほど、それに先行するアジアジェットに沿う波束伝播や、砕波後に生じるPJパターンが、より強くなる傾向となることが示された。さらに、偏相関分析より、北西太平洋亜熱帯域における活発な積雲対流活動やPJパターンの強化には、その周辺における海面水温偏差と比べて、対流圏上層における砕波に伴う強い正渦度移流が、より大きく寄与することが定量的に示された。これらの結果は、アジアジェットに沿う波束伝播が、日本の東海上における砕波、及びそれに伴う北西太平洋亜熱帯域への高渦位大気の侵入を通して、PJパターンを励起し得ることを示している。
著者
竹村 和人 向川 均
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.98, no.6, pp.1183-1206, 2020 (Released:2020-12-12)
参考文献数
43
被引用文献数
3 5

アジアジェットに沿った準定常ロスビー波束の伝播に伴う、日本の東海上におけるロスビー波の砕波及び太平洋・日本(Pacific-Japan:PJ)パターンの持続メカニズムを明らかにするため、長期再解析データを用いて、日本の東海上で発生した計44の砕波事例を対象として解析を行った。砕波及びPJパターンの持続日数に基づき分類した、持続事例及び非持続事例(それぞれ7事例ずつ)の合成図を比較した結果、持続事例におけるアジアジェット沿いの波束伝播は、より強くかつ持続することがわかった。また、持続事例における、より強い砕波は、北西太平洋亜熱帯域への高渦位大気の強い侵入を通して、より強いPJパターンの発現をもたらす傾向が示された。さらに、持続事例における日本の東海上の高気圧偏差は鉛直方向に北傾する構造を維持し、対流圏下・中層では、PJパターンに対応して強く張り出す太平洋高気圧の周縁に沿って、暖気移流偏差の強化がみられた。Qベクトルを用いた診断や偏相関解析より、対流圏中層における強い暖気移流は、日本~その東海上における断熱過程に伴う力学的上昇流の誘起と密接に関連することが示された。一方、北西太平洋亜熱帯域より太平洋高気圧の周縁に沿って流入する水蒸気は、日本~その東海上における水蒸気フラックスの収束偏差を強化し、非断熱過程に伴う上昇流偏差をもたらすことがわかった。相関解析より、これらの断熱及び非断熱過程と上昇流偏差との関連性は、ほぼ同程度と見積もられた。持続事例における強い上昇流偏差は、対流圏上層における渦管収縮に伴う負の渦度変化傾向を通して、砕波及びそれに関連したPJパターンの強化及び持続に寄与するとみられる。
著者
渡部 文雄 内野 修 城尾 泰彦 青野 正道 東島 圭志郎 平野 礼朗 坪井 一寛 須田 一人
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.673-682, 2000-10-25 (Released:2009-09-15)
参考文献数
22
被引用文献数
33 36

気象庁では1987年1月から綾里、1993年3月から南鳥島、1997年1月からは与那国島において、非分散型赤外線分析計を用い、大気中の二酸化炭素濃度を連続的に測定している。最も観測データが蓄積されている綾里では、エルニーニョ現象やピナトゥボ火山噴火に伴う二酸化炭素濃度増加率の大きな年々変動が見られ、全球的な気候変化と炭素循環の変動が密接に関係していることが示唆される。また、1998年には前年の年平均濃度と比べた年増加量が、綾里では3.0ppm、南鳥島では2.8ppm、与那国島では3.1ppmで、綾里と南鳥島では観測開始以来最大の大きさであった。この大きな年増加量は1997/1998年の大規模なエルニーニョ現象が引き起こしたと考えられる。
著者
Erma YULIHASTIN Tri Wahyu HADI Muhammad Rais ABDILLAH Irineu Rakhmah FAUZIAH Nining Sari NINGSIH
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1, pp.99-113, 2022 (Released:2022-02-22)
参考文献数
32
被引用文献数
1 7

Early morning precipitation (EMP) events occur most frequently during January and February over the northern coast of West Java and are characterized by propagating systems originating from both inland and offshore. The timing of EMP is determined by the initial location, direction, and speed of the propagating precipitating system. This study explores processes that characterize such propagating precipitation systems by performing composite analysis and real-case numerical simulations of selected events using the Weather and Research Forecasting (WRF) model with a cloud-permitting horizontal resolution of 3 km. In the composite analysis, EMP events are classified according to the strength of the northerly background wind (VBG), defined as the 925 hPa meridional wind averaged over an area covering western Java and the adjacent sea. We find that under both strong northerly (SN) and weak northerly (WN) wind conditions, EMP is mainly induced by a precipitation system that propagates from sea to land. For WN cases, however, precipitating systems that propagate from inland areas to the sea also play a role. The WRF simulations suggest that mechanisms akin to cold pool propagation and advection by prevailing winds are responsible for the propagating convection that induces EMP, which also explains the dependence of EMP frequency on the strength of VBG. On the basis of the WRF simulations, we also discuss the roles of sea breeze and gravity waves in the initiation of convection.
著者
KURAMOCHI Masaya UEDA Hiroaki
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
pp.2023-002, (Released:2022-10-07)
被引用文献数
1

The turnabout of air temperature anomalies over East Asia between the first and second halves of winter 2020/21 was examined from a teleconnection perspective with regionally different convective heating anomalies over the Indo-western Pacific sector. In the first half of winter 2020/21, the air temperature over East Asia was lower than normal, accompanied by a pair of anticyclonic and cyclonic anomalies in the upper troposphere southeast of the Tibetan Plateau and north of Japan, respectively. This dipole pattern is newly referred to as Southeast Asia–Japan (SAJ) pattern in this study, indicating the propagation of Rossby waves caused by enhanced tropical convection over the eastern Indian Ocean toward the South China Sea. In the second half of winter 2020/21, the enhanced convection shifted eastward to the Philippine Sea. The subsequent anticyclonic anomaly changed its position to the south of Japan, which was similar to the western Pacific (WP)-like teleconnection pattern, causing warmer conditions over East Asia. The composite analysis indicated that the anomalous anticyclone over the southeastern Tibetan Plateau corresponding to the SAJ pattern emerged simultaneously with intensification of convection over the South China Sea. Half of the cases of the WP-like pattern have been accompanied by enhanced convection over the Philippine Sea. The different circulation patterns were reproduced by prescribing the heat source over the South China Sea and Philippine Sea to the linear baroclinic model. Moreover, the vorticity budget analysis suggested that the presence of upper-tropospheric convergence of winds to the southeast of the Tibetan Plateau seen in the climatology is conceivable for the in situ localized anomalous circulation constituting the SAJ pattern due to vortex stretching effects.
著者
MASUNAGA Ryusuke MIYAKAWA Tomoki KAWASAKI Takao YASHIRO Hisashi
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
pp.2023-010, (Released:2023-02-07)

High-resolution atmosphere–ocean coupled models are the primary tool for sub-seasonal to seasonal-scale (S2S) prediction. Seasonal-scale sea surface temperature (SST) drift is, however, inevitable because of the imbalance between the model components, which may deteriorate the prediction skill. Here, we examine the performance of a simple flux adjustment method specifically designed to suppress seasonal-scale SST drift through case studies. The Nonhydrostatic Icosahedral Atmospheric Model (NICAM)–Center for Climate System Research Ocean Component Model (COCO) coupled weather/climate model, named as NICOCO, was employed for wintertime 40-day integrations with a horizontal resolution of 14 km for the atmosphere and 0.25° for the ocean components. The coupled model with no flux adjustment suffers SST drift of typically -1.5–2°C in 40 days over the tropical, subtropical, and Antarctic regions. It is found that simple flux adjustment sufficiently suppressed the SST drift. Nevertheless, the lead-lag correlation analysis suggests that air–sea interactions are likely to be appropriately represented under flux adjustment. Thus, high-resolution coupled models with flux adjustment can substantially improve S2S prediction.
著者
桑形 恒男 住岡 昌俊 益子 直文 近藤 純正
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.625-638, 1990 (Released:2007-10-19)
参考文献数
24
被引用文献数
23 25

ルーチン観測データから複雑地形上における大気一地表面問の熱収支を見積る新しい解析方法を開発した。この解析手法を用いて、春期の弱風晴天日の中部日本域(東北•関東•中部地方)の気象官署55地点における日中の大気境界層(下層大気)の熱収支を評価した。弱風晴天条件においては、中部日本全域で熱的な局地風が発達し、下層大気の熱収支はそれら局地風系によって支配される。地形的な特徴に応じて各気象官署を岬、浩岸平野(海岸から20km以内)、内陸平野、内陸盆地(盆底)、山岳の5つのカテゴリーに分類し、地形別に下層大気の昇温がどのように異なるかを調べた。その結果、内陸盆地と内陸平野で下層大気の昇温量が大きく、岬と沿岸平野および山岳で昇温量が小さいという結果が得られた。内陸盆地や内陸平野で昇温量が大きくなるのは、局地的な沈降流による断熱昇温が原因である。この沈降流は、側斜面で発生した斜面上昇風(谷風)による大気流出の補償流として生じたものである。逆に、山岳では顕熱によって暖められた空気が谷風によって流出し、昇温量が小さくなる。一方、岬や浩岸平野などでは海風によって海上の寒冷気塊が侵入し、昇温量が抑えられる。この効果は海岸に近い地点ほど顕著である。このように日中の下層大気の昇温量は、局地循環による局所的な移流によって大きく左右される。そして、この昇温量に比例して地上気圧の低下がひきおこされ、昇温量が大きな内陸部を中心として日中に熱的な低気圧が形成されることになる。
著者
永田 雅
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.43-57, 1993-02-25 (Released:2008-01-31)
参考文献数
42
被引用文献数
43 42

高解像度3重ネスティングの静力学近似数値モデルによって、日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)に沿って発達するメソβスケールの渦列がうまくシミュレートされた。再現された重要な特徴には、直径数1Okmの「目」に似た構造と、それを取り巻くスパイラル状の上昇流の帯が含まれている。再現された渦列は最初、JPCZに沿う1O-3s-1のオーダーの正の渦度が集中した帯の折れ曲がりとして現れる。その折れ曲がりが次第に鋭くなっていき、4-8時間のうちに、ついにはその渦度の帯の谷が巻き込んで、乾いた目とスパイラル状の上昇流の帯を伴った、気圧偏差2-4hPaのメソβスケールの低気圧を形成する。この目および近接した湿った上昇流域は暖気核で特徴づけられる。シミュレートされた渦の、空間スケールと発達の時間スケールの理論との一致、及び、エネルギー論による解析は、渦の主要な発達機構としてバロトロピックシアー不安定を示している。
著者
藤井 盛澄
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.147-159, 1976 (Released:2007-10-19)
参考文献数
21

1958年12月には,亜熱帯ジェット流は,始め北アメリカで,次いで月末には,西ヨーロッパで大規模に中高緯度へ侵入した。この大規模変位と,それに関連した熱帯ジェットの振舞いが,大気大循環との関係に留意して述べられる。大規模変位をもたらすきっかけは,ヨーロッパと北アメリカとで異なるが,何れの場合も,中高緯度大気が低緯度大気に及ぼす作用が重要である。中緯度へ侵入した亜熱帯ジェットの尾根の前面では寒気が大規模に流出し,変位した部分はここで切断される。切断されて中緯度に残された部分は,侵入した亜熱帯高気圧の衰退と共に消失する。亜熱帯ジェットの大規模変位により,中高緯度大気と低緯度大気との間で大規模な相互干渉が行われ,特に,中高緯度の大気大循環は大きい影響を受ける。キューバ附近,日本附近及びアフリカ北部では,通常の位置にある亜熱帯ジェットの低緯度側に,冬季,時として別の強風核が観測されるが,これは比較暖い海面上で,低緯度深く達する強い寒気流出と関係がある。
著者
Yosuke KOSAKA Yoshihisa MATSUDA
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.481-498, 2005 (Released:2005-10-07)
参考文献数
12
被引用文献数
2 3

In order to resolve the contradiction between the theories proposed by Rodwell and Hoskins (1996) and Chen et al. (2001), a linear response of global/hemispherical atmosphere to a subtropical heat source is studied, using two different numerical models. The first model treats the response as a linear combination of wave components (Hough functions), which are eigenmodes of the homogeneous equations. The second model is based on quasi-geostrophic approximation.First, the response to zonally uniform heat source is investigated. In the case of the heat source centered at the equator, geopotential and zonal wind perturbation fields are expressed by Rossby and Kelvin modes, while vertical and meridional flows are represented by gravity modes. On the other hand, the case of the heat source centered off the equator reveals that the cell reaching winter hemisphere is dominant due to mixed Rossby-gravity mode.Second, the response to zonally localized heat source centered at 25°N is investigated. The validity of quasi-geostrophic approximation in the subtropics is verified. It is found that the geopotential and horizontal wind perturbation fields can be expressed only by Rossby modes, while the contribution of gravity modes is stronger for the vertical flow. On the basis of these results we calculate the response in the observed basic wind, but the wavetrain shown in Chen et al. (2001) cannot be reproduced. On the other hand, the descent west or northwest of the heat source, which is examined in Rodwell Hoskins (1996), appears in the resting basic field as well as in the basic zonal flow. The mechanism producing this descent is discussed in detail.
著者
楠 健志 上野 健一
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.913-926, 2022 (Released:2022-11-30)
参考文献数
59
被引用文献数
3

夜間の気温逆転(NTI)は山岳域の局地気候を特徴づける重要な因子である。中部日本におけるほとんどの山岳斜面は森林で覆われているが、森林の開葉・落葉が盆地内のNTIに及ぼす影響は解明されていない。長野県菅平高原の標高1320mに位置する混交林で、3年間にわたり葉面積指数(LAI)を観測したところ、盆地内のNTIは開葉に伴い弱化し、落葉に伴い強化する事が明らかとなった。数値標高・土地利用データを用いて、夜間冷気流が生じる流域内の落葉・混交林の分布を特定した。有効積算気温に基づき推定した流域スケールでの開葉・落葉時期は、NTI変化とほぼ一致した。微気象観測によると、林床でのNTIと近隣草原での斜面下降風は放射冷却が卓越した落葉期夜間に強化した。春季落葉期間と夏季開葉期間で夜間静穏晴天日をそれぞれ22日、30日分抽出した。冷気湖の発達に必要となる損失熱量を推定し、森林域での貯熱フラックスに変換した。貯熱フラックスは落葉期に比べて開葉期が3.8W m -2増加し、従来の研究で推定されている森林の貯熱量(数10W m -2)より少量となった。これは、開葉に伴う森林の貯熱量増加が夜間の放射冷却量を相殺し林床での重力流を弱めている事を示唆している。
著者
Seiji YUKIMOTO Hideaki KAWAI Tsuyoshi KOSHIRO Naga OSHIMA Kohei YOSHIDA Shogo URAKAWA Hiroyuki TSUJINO Makoto DEUSHI Taichu TANAKA Masahiro HOSAKA Shokichi YABU Hiromasa YOSHIMURA Eiki SHINDO Ryo MIZUTA Atsushi OBATA Yukimasa ADACHI Masayoshi ISHII
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.931-965, 2019 (Released:2019-09-19)
参考文献数
135
被引用文献数
212 441

The new Meteorological Research Institute Earth System Model version 2.0 (MRI-ESM2.0) has been developed based on previous models, MRI-CGCM3 and MRI-ESM1, which participated in the fifth phase of the Coupled Model Intercomparison Project (CMIP5). These models underwent numerous improvements meant for highly accurate climate reproducibility. This paper describes model formulation updates and evaluates basic performance of its physical components. The new model has nominal horizontal resolutions of 100 km for atmosphere and ocean components, similar to the previous models. The atmospheric vertical resolution is 80 layers, which is enhanced from the 48 layers of its predecessor. Accumulation of various improvements concerning clouds, such as a new stratocumulus cloud scheme, led to remarkable reduction in errors in shortwave, longwave, and net radiation at the top of the atmosphere. The resulting errors are sufficiently small compared with those in the CMIP5 models. The improved radiation distribution brings the accurate meridional heat transport required for the ocean and contributes to a reduced surface air temperature (SAT) bias. MRI-ESM2.0 displays realistic reproduction of both mean climate and interannual variability. For instance, the stratospheric quasi-biennial oscillation can now be realistically expressed through the enhanced vertical resolution and introduction of non-orographic gravity wave drag parameterization. For the historical experiment, MRI-ESM2.0 reasonably reproduces global SAT change for recent decades; however, cooling in the 1950s through the 1960s and warming afterward are overestimated compared with observations. MRI-ESM2.0 has been improved in many aspects over the previous models, MRI-CGCM3 and MRI-ESM1, and is expected to demonstrate superior performance in many experiments planned for CMIP6.