著者
藤井 理行 川田 邦夫
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.255-290, 1999-07

第37次南極地域観測隊越冬隊は40名で構成され, 昭和基地とドームふじ観測拠点で越冬した。昭和基地では, 31名が1996年2月1日から1997年1月31日まで, 基地の運営・維持管理にあたるとともに, 定常観測と研究観測を実施し, ほぼ所期の目的通りの成果を得た。越冬中の6月, 倉庫棟の設備工事が終了し運用を始めた。10月には, 積雪による電源ケーブルたわみに起因する小火やピラタス機の雪面接触事故が起きたが, 幸い人身事故には至らなかった。ドームふじ観測拠点では, 9名が1996年1月23日から1997年1月25日まで越冬をし, 越冬隊の主要な観測課題であった氷床深層掘削を行い, 12月に所期の目標を超える2503mの深度に達した。基地の運営や維持管理, 気象や雪氷, 医学の研究観測も行われ成果を得た。
著者
林 幹治 小口 高 国分 征 鶴田 浩一郎 渡辺 富也 HORITA R. E.
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.127-133, 1979-02

カナタ,マニトハ州において,IMS観測の一環として実施した,極光帯からプラスマポーズにかけての地磁気脈動の観測結果から,次の事柄が知られた.昼間帯の地磁気脈動は,がいして広範囲にわたってよい相関を示し,磁気圏におけるHM波の効果と見なしてよいが,明け方の地磁気脈動は相関距離が短く,脈動型オーロラに伴う電離層電流のゆらぎによるものと考えられる.また,夕方側によく見られるPc1型脈動は,その波源は小さな領域に限られており,広範囲の拡がりは主として上部電離層のダクト伝搬によるものと思われる.
著者
清野 善兵衛
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.801-808, 1961-01

第3次越冬期間中(1959年2月-1960年1月)に約100回のラジオゾンデ観測を行い,一応各高度気温の年変化を観測することが出来た.夏の状態曲線は300mb附近に極めてシャープなトロポポーズが現れ,成層圏では高度と共に気温は上昇する.トロポポーズの気温は比較的高温で-50℃に達しない時もある.一方冬の状態曲線は一般に地上附近に顕著な気温逆転が現われ,トロポポーズはあまり明瞭でなくなり,成層圏でも高度と共に気温は下降を続ける.気温の年変化は300mb以下では地上のKernlose型の変化と似た変化を示すが(振幅は少ない)300mb以上では単純な年変化となり,振幅も高度が高い程大きくなる.トロポポーズの平均高度は冬に高くなり,夏よりも2000m以上も高い.850〜700mb附近に第2の逆転層が見られ,この層は強固なものでブリザードがあっても却々解消せず,時間と共に次第に高い方に移動して行くことが認められた.