著者
岡崎 昭子
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
no.32, pp.p215-221, 1992-07

イギリスの児童文学者でstory tellerとしても有名なEileen Colwellは,ストーリー・テリソグの準備には4つの段階があるといっている。第1段階-作品の選択 第2段階-アダプテーショソ(短縮や変更) 第3段階-作品の暗記 第4段階-語りのテクニックの修得 このほかに,プログラムの組み方や,会場の雰囲気づくりのための音楽効果や照明,語り手の衣裳などの問題もあるが,本稿は最終回なので,重要なものからとり上げることにする。
著者
桑野 和民 関山 教子 永井 恵美子 津久井 亜紀夫 三田村 敏男
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.69-74, 1978-05-01

オキアミ生凍結ブロックを原料とした,たんぱく質濃縮物(KPC)の製造法を改良することを目的として,甲殻除去法の簡易化,たんぱく質回収法の検討を行ない,以下の結果を得た。1.遠心分離の温度を室温で行なうことにより,1回の遠心分離で,甲殻を含まない濃厚なペーストを,たんぱく質収率71.9%で得ることができた。2.ペーストからのたんぱく質濃縮物の製造は,イソプロピルアルコール法(IPA法),等電点沈でん法(IP法),加熱凝固法(HD法),で行なった。IPA法以外での沈でんの脱脂ほ,比較のために,同じ溶媒で行なった。3.IPA法,IP法,HD法によるKPCの収率は,重量で,それぞれ7.34%,6.04%,5.96%,たんぱく質で49.0%,40.6%,35.8%であった。4.たんぱく質回収後の残液について,Sephadex G-25によるゲルろ過を行なったところ,パターンの差から,IPA法の回収率が他法より良いことが確認された。5.外観,化学成分,ペプシン消化率を比較したところ,KPCとして不都合な値は認められなかった。以上の結果,KPCを製造するには,たんばく質の収量から見ればIPA法が最も良い結果となった。今後,甲殻の利用,たんばく質回収後の残液の利用等を含め,総合的に,良否を見きわめねばならない。
著者
永沢 幸七 川端 さと子
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.91-105, 1981-10-01

(1)実験1の縦,横の比に関しての美意識の順位は,理科専攻生については1:1.2, 1:1.3,1:1.4の順になり,音楽科専攻生については1:1.4, 1:1.5,の順になり,美術科専攻生については1:1.3, 1:1.1, 1:1.6の比になりZeisingの黄金分割の比には音楽科専攻生が比較的近似していることが示唆された。男女の比較については女子学生は男子学生に比較して黄金分割に近接の値が美的感情として選ばれている。材料(2)を用い高さを連続的に少し宛変化させ,被験者の感情を記述し,美的感情を抱いた縦,横の比を調べると1:1.43, 1:1.67, 1:2.2の順位となる。Zeisingは外国人であるため,もしかしたら日本人の黄金分割は1:1.45附近で比が日本人の美的感覚の中に浸透したとも考えられる。(2)女子大生89名のA-Tまでの図形に対する美意識順位を要約すると,正三角形のM図形,次は三角形のK図形,第3位は正四方形のA図形,第4位は矩形のD図形,第5位はB図形などで一番選択されない順位の図形は各組ともT形,S形のよぅな湾曲図形である。(3)EPPS検査の親愛の項目における美感の順位の比較においては上位群は下位群と比較して著しく差のみられたのは,R図形で縦の三角形の底辺に安定感を感じ,同じように人間関係に安定感を求めるようになる。下位群は逆立つ図形に対して比較的美意識を持っている。またG図形,H図形に対して,下位群が上位群よりも美的感覚を感じている。また同じように人間関係に安定感を求めるようになる。下位群は逆立ち図形に対して比較的美感を感じている。またG図形,H図形に対して下位群が上位群よりも美的感覚を感じている。(4)専攻別学生及男子女子の比較 M図形(図6参照)に対しては美術科・音楽科生の方が理科生よりも著しく美意識を感じる傾向がある。(図2参照)S,T図形に対しては音楽科生,美術科生より理科専攻生がより美意識を感じている。G図形に対しては同じように理科生の美意識が比較的上位である。男女の比較においては,美術科専攻学生を検討するとM,N図形に対しては女子が男子に比較して美意識を持っている。K図形に対しては男子が女子より美意識が高い。斜方向直線は,一般に不快感を与えるといわれているが,垂直線や水平直線に比較すると不安定性を感ぜられるからと推量される。しかし斜方向直線を含む図形(例えば平行四辺形や正三角形など)であっても正しい位置におかれている場合は,それほど不安定性を感じられない傾向がみられた。血液型A, B, AB, O組の血液型による相関関係はBとO,AとBの相関が高くAとABの相関はすこぶる低くみられる。実験Iにおける最も美しい矩形の幅と長さの割合はZeisingの黄金分割の法則と一致する傾向がみられる。全体の順位と矩形のみの順位がほとんど変わらないことから矩形は,その他の図形より,美感を生じることがわかる。これは矩形の対応する2辺の長さが等しく,内角がすべて等しいため,他の図形より均衡がとれているためではないかと考えられる。実験IIの結果から,他の図形について考えてみると,同様に対応する辺や角が等しいほど,美感を生ずることがわかる。つまり図形K, Lよりは図形P, Q,図形P, Qよりは図形M, N, Oのほうが美感を生じる。また同じ図形の中では,より安定を感じるものの方が美感を生じることがわかる。つまり図形Lよりは図形K,図形Pよりは図形Q,図形Oよりは図形N,図形Nよりは図形Mの方が美感を生じる。直角と丸い角,直線と丸い線の比較では,直角,直線で構成された図形の方が美感を生じることがわかる。つまり図形S,Tよりは,その他の図形の方が美感を生じる。以上のようなことから,一般に美感を生じる図形とは直角と直線で構成された均衡のとれている簡単な図形,つまり矩形ということになり,その中でも,幅と長さの割合が黄金分割の法則に一致することに近いということが考えられる。付記 昭和56年後期東京学芸大学における「教育心理学特講」の講義の際の実験であることを明記し,学生各位及本学々生に対しご協力を謝す。
著者
田中 ミチコ 森 宏枝 石澤 敬子
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.49-53, 1982-12-20
被引用文献数
2

海藻は一般に消化吸収が悪いとされているが,溶媒の種類によるアミノ酸,糖質,カルシウムの溶出状態,また,タンパク質分解酵素を作用させた時のアミノ酸,及び二次的に遊離される糖質,カルシウムがどの程度利用されるか実験を行った。1 カルシウムの溶出率が高く,7〜100%を示し,酸性溶媒によく溶出し,食酢ではアサクサノリ100%,マコンブ,トサカノリ,ワカメ,ヒジキは約30%であった。アミノ酸は3〜10%の溶出率で,溶媒の違いによる差はほとんどなかった糖質はマコンブの食酢による溶出のみ3.7%で,他は1%以下とわずかな溶出率であった。2 pepsin消化では,アサクサノリが7.6%の消化率であったが,他の試料は1%以下であった。pancreatin消化では,ワカメ44%,トサカノリ,アサクサノリ26%,マコンブ,ヒジキが2〜3%の消化率であった。3 タンパク質分解酵素作用にともない二次的に遊離した糖質,カルシウムは,pepsinよりもpancreatin作用により多く遊離したが,いずれも低い遊離率であった。4 pepsin pancreatin作用によるアミノ酸,糖質,カルシウムの利用率は,それぞれ14〜55%,約1%(トサカノリのみ9%),23〜68%であった。全試料中,アサクサノリは高い利用率を示し,これに対し,ヒジキは低い利用率を示した。
著者
桑野 和民 永井 恵美子 秋田 昌子 津久井 亜紀夫 三田村 敏男
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.121-126, 1980-05-01

当研究室で各種分析に用いている高速液体クロマトグラフィーを利用して,アミノ酸自動分析計を組立てることを目的として実験を行ない,以下の様な結果が得られた。1.分析条件, i カラム ; (a)ステンレスカラム,4φ×250m。(b)樹脂,三菱化成製,陽イオン交換樹脂,ダイヤイオンC K10U。 ii カラム温度 ; 60℃。 iii 溶離液 ; B-1(10%エタノールを含む0.2N-クエン酸ナトリウム緩衝液, pH3.2). B-2(0.2N-同緩衝液,pH4.3). B-3 (1.2N-同緩衝液, pH4.9)。iv 再生液 ; R. (0.2N-NaOH), v 流速, 0.5m〓/min, vi 離溶液切換時間 ; B-1→B-2=16分, B-2→B-3=28分,B-3→R=54分。vii 分析時間 ; 64分。 viii アミノ酸の検出 ; ο-フタルアルデヒドを用いたけい光検出。2.定量性は,各アミノ酸2.5nMolについて10回のくり返し分析の結果,±3.3%以内であった。また,定量範囲は,けい光検出器のレンジX1〜X32で,5×10^<-8>〜5×10^<-11>Molであった。最少検出感度は,3×10^<-12>Mol(アスパラギン酸,S/N=3以上)であった。3.オキアミのアミノ酸組成を分析した結果,文献値とよく一致していた。以上のことから,組立てたアミノ酸自動分析計は,実用上十分使用できることがわかった。
著者
浅沼 アサ子
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.13-22, 1982-12-20

昭和16年から終戦までの女子中等教育制度の大改革は昭和18年1月の「中等学校令」によるもので,性別と普通教育,実業教育を問わず皇道の道による国民精神の養成と,国民としての中等教育による錬成の二つの柱に統一されたのである。このことは女子中等教育にとって「婦徳の涵養」に優先して男女共通の教育目標が定められたことであり,また従来の実業教育にとっても,産業重視の施策によって教育目的の上で同格となったのである。このうち高等女学校の教科は国民科,理数科,家政科,体練科,芸能科の基本教科と修練とし,増課教科を加えた。家政科は従来の「家事」を家政,育児,保健と分化し,「裁縫」を被服として衣生活を総合的に扱い,すべて戦力増強につなげたところにこの改革の特色がみられる。次に実業教育では,昭和18年1月の「実業学校規定」で教育を産業の実際に適合させ,女子には婦徳の涵養も付加された。教科は国民科,実業科,理数科,体練科芸能科及び女子に家政科を加え,修練との二つの柱によって構成された。このような改革の中で農村及び家庭生活の向上に直接関係ある家政科が重視され,教育課程が地域の実状によって弾力的に運営された。また商業教育はその目的を転換して軍需生産経営従事者を養成し,女子は男子に代われる職業人と皇国女性育成のため,女子商業教育は奨励された。次に学校教育における戦時非常措置については,戦時体制下の要員の補給を急ぐため,昭和18年4月から中等学校の修業年限5年が4年に短縮され,同20年度からは学校の授業は停止された。また学徒の勤労動員等については18年6月「学徒戦時動員体制確立要綱」が発せられ,女子では食糧増産,幼稚園保育所,共同炊事場の設置,保育に従事し,報国団を結成,通達により育児,保健,理数科,実業科が重視された。同19年3月「決戦非常措置要綱」が発せられ,食糧増産,工業作業,学校の工場化により作業場は「行学一体」の道場と化した。学校工場に関する当時の記録によれば1か月の勤労日数は27日〜29日で報償金は月額25円〜40円であった。同20年3月「決戦教育措置要綱」が発せられ,初等科を除き4月1日から1か年学校の授業は停止することになった。同5月「戦時教育令」が公布され,学徒隊,連合隊を組織し,戦時即応態勢を取ることになった。看護教育に関する非常措置については,同18年12月「女子中等教育卒業者ニ対スル看護免許ニ関スル件」の通達が発せられ,同19年1月「女子中等学校ニ於ケル看護ニ関スル件」通達で女子の特性により戦時救護に従事させるため,既設施設を活用し,修練の時間に看護手技等を習熟させ,看護婦の免許が付与されることになった。昭和13年3月「国民総動員法」が制定されて以来7年5か月の間に,生徒の勤労は「行体一致」の精神のもとに人的資源として戦力の重要な一部分となったが,このような環境の中で,国家に対する滅私奉公と勤勉,忍耐力は培われていったが,それが自発性によるものではなく超国家主義体制の中での押しつけの教育であったところに,人間形成上きわめて重大な問題を残したと思われるのである。このようにして学校教育における戦時非常措置は,男女生徒を皇国民として人的資源の立場から平等にしたが,その施策にあたっては時局の要請に対して男女の特性に応じた勤労を推進したのである。そして昭和期終戦までり女学校教育は,学校工場における軍服縫製の例にもみられるように,15歳の女学生においてすでに女子の特性となり得るだけの家政的な面での技術的能力を発揮した。ここにこの時代の女子教育の特色を見出すことができると思われるのである。