著者
戸倉 剛
出版者
THE SOCIETY OF PHOTOGRAPHY AND IMAGING OF JAPAN
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.265-269, 2004

デジタルー眼レフカメラのより低価格機種への期待が高まる中,「高画質」「小型軽量・低価格」「簡単操作」「基本機能充実」をコンセプトにEOS Kiss Digitalを開発した. 同時に専用レンズEFLS18-55mmも開発しカメラ本体とのトータルで小型軽量・低価格であることの魅力を強めた. 2003年9月の世界同時発売後, マーケティング戦略にも支えられ市場で広く受け入れられている. 本稿では開発の背景とコンセプト実現の技術要素について解説し, 市場で大きな反響を得るに至った戦略と市場に与えた影響についての考察を報告する.
著者
岩田 藤郎
出版者
THE SOCIETY OF PHOTOGRAPHY AND IMAGING OF JAPAN
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.33-39, 2002

ホログラム及びそれに準ずる偽造防止素子について解説.ホログラムによる偽造防止について, 当初は非常に効果が有ったが, 現在ではその効果は失われつつある.そこで, 新たに登場したグレーティングイメージが現在では多く用いられ, 多くの発展型が存在する.今後は画像作成により高度な方法の開発, 更に, ホログラムとは異なる技術の組み合わせによる方法の開発が行われている.
著者
三浦 和己
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.23-28, 2016

<p>近年,映画の製作・流通がアナログ(フィルム)からデジタルへと急速に移行している.この移行は映画の可能性を大きく広げる一方で,生成されたデジタルデータを長期間保存するという面においては,保存媒体やフォーマットがすぐに陳腐化するなど課題も多い.この課題についての調査を進めるため,東京国立近代美術館フィルムセンターでは,文化庁による 「美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業」 の補助を受け,『映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究事業』 を実施している. 本稿ではこの調査事業の一環として実施した,4K 映像の長期保存に向けた取り組みについて紹介し,その中から顕在化 した課題について考察する.さらに今後の保存システム構築における重要な要素として,特定技術への依存を回避するための技術動向について触れる.</p>
著者
高田 浩祐
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.142-146, 2015 (Released:2016-10-15)

一般的な 「ミラーレス(ノンレフレックス)カメラ」 の電子ビューファインダーは,ホワイトバランスや露出などの撮影設定が常に反映された映像を見ながら撮影できる,という利点がある.一方で,光学ファインダーに比べ表示タイムラグが大きく,速い動きの被写体のシャッターチャンスを逃すという課題があった.これに対し,「X-T1」 は,新開発の 「リアルタイム・ビューファインダー」 により,光学ファインダーに迫る0.005秒という非常に短い表示タイムラグと,デジタルカメラで世界最大の表示倍率を実現.これまでの電子ビューファインダーでは体験することのできなかった,快適な撮影を可能にした.本記事ではこのファインダーの開発を中心にX-T1に搭載した技術ついて紹介する.
著者
奥野 丈晴 山田 雅之
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.302-307, 2011 (Released:2012-12-19)
参考文献数
8

キヤノンはサブ波長構造を用いた高性能反射防止膜“SWC”を開発し,2008年12月,同膜を搭載したカメラ用交換レンズEF24mm F1.4L II USMを発売した.サブ波長構造体はアルミナ微結晶膜からなり,ゾル-ゲルプロセスによって形成されるため大面積・曲面への形成も容易である.さらに,レンズとアルミナ微結晶膜との間に中間の屈折率を有する薄膜層を挿入することで,様々な屈折率のレンズに対して優れた反射防止性能を実現可能である.
著者
Klaus B. Hendriks 河野 純一
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.117-126, 1989-04-28 (Released:2011-08-11)
被引用文献数
1

障害をうけたり, 変色してしまった, ネガやポジプリントなどの写真画像は, 種々の方法で修復することができる。これのら方法のうちで最も一般的なのは, ポジプリントのコピーあるいは透過材料のデュープを作ることである。コピーを取る前か後にレタッチすることも有効である。版画や絵画の保存の分野で開発された伝統的な手法も写真の修復に序々に応用されつつある。また, とくに写真画像に対して開発された数々の技術も知られている。こうした例としては, 割れたガラスプレートネガを修復したり, 画像を担持しているゼラチン層を劣化した支持体から新しい安定な支持体へ移すことが挙げられる。さらには, 黄変したり, 変色した白黒写真を化学薬品の溶液で処理することもできる。本論文ではここ2-3年の間にカナダ国立公文書館で実際に行なわれた, 変退色した写真プリントの復元に関する実験研究について述べることにする。画像形成している銀粒子の劣化機構についても調べた。修復の過程で, 写真を構成する各種素材に対する種々の化合物の効果を注意深く調べる実験について, 特に詳しく述べた。処理浴の最終段にセレン調色浴を施すことによって, 修復された写真プリントの保存安定性はさらに向上する。本論文で述べる方法は全ての印画紙プリントに適用できるという訳ではないので, その制約については良く理解しておいて頂きたい。
著者
片桐 護八
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.328-331, 1998-12-25 (Released:2011-08-11)

カメラの動力伝達手段として通常使用される平ギヤにかわり, ネジギヤと長軸シャフトによるシャフト・ドライブ機構を新開発し, 新製品のフィルム給送機構に採用した。小型で汎用性のある動力伝達機構を実現し, カメラの小型化を達成した。
著者
脇本 善司
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-7, 1966-05-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9

Photographic lenses have been manufactured for more than 100 years, and theoretical studies have also been continued throughout. Therefore, the progress was rather steady than striking. In recent years, however, some new types of the lenses have been developed, owing mainly to the use of new optical glasses and the introduction of an electronic computer to the lens design. Attempts have also been made to design lenses favorable for given camera mechanisms or properly corrected for newly developed emulsions. These trends will be discussed from the lens designer's viewpoint.
著者
田中 啓治
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.246-248, 1994-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7
著者
大石 恭史
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日写誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.349-367, 2008

40, 50年代にKodak社はカップラー内蔵型感材の色再現の改良に強力に取り組んだ. 新しい現像薬とカップラー等が, 基礎研究の基盤の上に開発された. 特に大きな効果を挙げたものとしては, 3-acylamino-5-pyrazoloneマゼンタ, pivaloylacetanilideイエローのカップラーがA. Weissbeger, PVittumらによって, カラード・カップラー型マスキングがWHanson, Jrらによって夫々見出され実用に供された. 生産面ではTRussellらによって発明された同時多層塗布法が感材の品質と生産性を飛躍的に向上させたばかりでなく, 感材設計に発展性をもたらした. 1960年頃Kodakの感材技術は第1次の完成期に達し, 業界他社に向かうべき方向を示していた.
著者
薮下 彰啓 川崎 昌博
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.320-325, 2003-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
52

氷は地球表面上では雪として, 地球大気中では夜光雲と呼ばれる氷の微粒子として, 宇宙では星間塵として存在している. その表面や内部には様々な分子が吸着しているため光が照射されると光化学反応が起こる. このことは, 直接的に大気環境化学, 宇宙化学に関連している. 北極南極圏の大気汚染, 地球高層大気中のオゾン濃度減少, 地球の生命の発生などにおいては, 氷や雪が関与する光化学反応が重要な役割を果たしている. このような現象を引き起こす新しいタイプの不均一光化学反応の最近の話題について述べる.
著者
小岩井 保 穐田 英則
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.56-62, 2011 (Released:2012-05-25)
被引用文献数
1

マイクロフォーサーズ規格の「マイクロ一眼オリンパスペン」は,2010年にカメラグランプリのダブルタイトルを受賞した.オリンパスペンシリーズの特徴は,上質で小型軽量,従来の一眼レフに比べて負担感がなく,静止画も動画も簡単に一眼画質で撮れることにある.特に「小型軽量」に関しては,カメラボディにとどまらず,交換レンズを含むシステム全てにおいてその思想を徹底している.交換レンズでは,マイクロフォーサーズ規格の小型化対応メリットを活かすと共に,光学設計や鏡枠(鏡筒)設計においても究極の小型化を目指して進化させてきた.交換レンズの小型軽量化を実現するためには,開発課程において沈胴機構による薄型化,鏡枠の高精度化,特殊レンズの活用,軽量化徹底,及びAF高速静音化等の技術課題を克服する必要があった.ここでは,それらの小型化技術について解説する.
著者
中西 秀彦
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.29-34, 2004-02-25
参考文献数
7

オンデマンド印刷は, 一般的には少部数・短納期のコンピュータを駆使した印刷技術と捉えることができる.ただし, 組版を印刷会社でおこなうことはコスト上問題があり, 多くの場合顧客データをそのまま印刷している.これは顧客と印刷会社間でのソフトウエアの共通認識がなければ困難でもある.機械のマニュアル類をデータベースに蓄積しておき, 必要があり次第印刷するといった本来の意味でのオンデマンド印刷は, それだけで会社が成り立つほど, 多くの需要がある.<BR>出版に目を向けると, 絶版本をスキャニングして蓄積するといった当初の試みは成功しなかったが, インターネット受注による個別の全集製作, 本屋の店頭でのオンデマンド印刷といった試みがなされている. しかし, まだ, 品質的, 価格的には実験段階であり, 商業ベースとして成功しているとは言い難い. 今後, 価格面での競争力向上が鍵だろう.<BR>オンデマンド印刷はコンピュータと密接な関係があり, 印刷機というより情報処理端末である. オンデマンド印刷の前提にはプリプレスのフルデジタル化があり, 今まではこのデータ生成そのものに苦労してきた. CTPの普及とともにフルデジタル化は達成されつつあり, これからオンデマンド印刷の新時代がはじまる. そして最終的にはオフセット印刷の代替品としてではなく, One to Oneマーケティングや弱視者のための大活字本といったオンデマンドでなければならない商品を生みだすことで, 新たな印刷技術として定着するだろう.
著者
菊池 真一 小口 正信 宮川 俊夫 田部 洋 安田 正博 原 重夫
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.163-168, 1980-06-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
2

The authors investigated on determining sensitivity of phototypesetting films and papers, based on the exposure condition which the line-width of character could be correctly reproduced under.The line-width is faithfully reproduced under the following conditions;Film: The exposure to cause 2.0+ΔD density units.Paper: Three times exposure to cause 0.7+ΔD density units.(ΔD is fog-plus-base density)Finally, the authors propose to determine the sensitivity as follows;Film: Sf=100/E (E: lux·Esec at D=2.0+ΔD)Paper: Sp=100/3E (E: lux·Esec at D=0.7+ΔD)
著者
宮川 俊夫 白井 靖男 森田 一朗 森田 峰子 北村 二朗 遠藤 正治
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.219-225, 1990-06-28 (Released:2011-08-11)
参考文献数
38

In the former paper, Miyagawa et al. reported on Kohsai Udagawa's writing on albumen-on-glass photography, entitled “Potokarahii”. Yokusai Ihnuma who lived in Mino was Kohsai Udagawa's real father, and was one of famous scientists in 19th Century. He and his followers tried photography. Among them, his nephew, Ryuh-a Kojima was a tallent photographic technician. He opened a photographic studio in Gifu-ken, which was the first one in this prefecture. In 1873, he made an interesting collage picture composed of his familie's and his own portraits. It could be the oldest one of such kind of pictures in Japan. Yoshihiro Kuze studied photography with Yokusai Ihnuma in the Chemical Institute of the Ohgaki Clan. Reiji Esaki opened his photographic studio in Tokyo. He studied, at first, wet-collodion process, subsequently, he tried to use imported dry plate to take picture of rapid moving objects. In addition to them, he developed collage picture making. He made a surprising one composed of 1700 babies' photographic portraits which were taken with dry plate, in 1893.
著者
野田 篤広
出版者
THE SOCIETY OF PHOTOGRAPHY AND IMAGING OF JAPAN
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.520-523, 2002

中判フィルム対応フィルムスキャナのユーザ調査から, 高画質はもちろんのこと使いやすさが求められていることを我々は知った.解像度, 速度, ダイナミックレンジなど基本スペックで最高を目指すべく各ブロックでハードウェア, ソフトウェア技術を融合させるとともに, 使い勝手を高めるための小さな改善を多く積み上げることでユーザ満足度の高い中判フィルム対応フィルムスキャナを開発することができた.
著者
若代 滋
出版者
THE SOCIETY OF PHOTOGRAPHY AND IMAGING OF JAPAN
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.272-274, 2012

PENTAX Qは,レンズ交換が可能なデジタルカメラとしては驚くほどに小さいながらも,本格的なデジタル一眼カメラの性能に加え,様々な特徴を盛り込んだカメラである.ここでは,如何にして従来の固定概念を払拭して顧客の潜在ニーズを満足するカメラの開発を行ったかを解説する.<br>