著者
和泉 薫 小林 俊一 秋田谷 英次 西村 浩一
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学. 物理篇. 資料集 = Data report low temperature science. Series A, Physical sciences (ISSN:03853683)
巻号頁・発行日
no.55, pp.27-45, 1996
被引用文献数
1

明治の後半からの北海道の雪崩情報を新聞から収集した。過去95年間の雪崩災害件数は666件,死者は722人におよんだ。雪崩災害の内容をみると,北海道の開拓の歴史を反映している。明治時代は海岸部の民家の被害が,昭和に入ると鉄道や鉱山が,戦後は森林伐採やダム工事,道路が,さらに近年は登山やスキー関連の事故が目立っている。
著者
石井 吉之 小林 大二
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学. 物理篇. 資料集 (ISSN:03853683)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.11-20, 1995-03

北海道北部の母子里試験地の山腹斜面において地温の連続観測を行なった。1991年11月から1994年8月までの期間に,南西向き及び北西向き斜面の各々4地点で50cm, 100cm, 200cm深の地温を観測した。融雪期には全ての地点で顕著な地温低下が観測されたが,温度変化は 200cm深で最も大きく,50cm深で最小であった。一方,夏の大雨時には50cm深で最大の温度上昇が起きた。こうした変化は土壌水の圧力水頭の変化傾向と一致し,水頭変化の顕著な場所で大きな地温変化が生じている。
著者
Ishikawa Masao Takatsuka Toru Daibo Takaharu Shirasawa Kunio Aota Masaaki
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学. 物理篇. 資料集 (ISSN:03853683)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.13-40, 2002-03

北海道大学流氷観測用レーダー網により北海道オホーツク海岸沖の2001年1月5日から同年4月29日までの毎日午前9時における流氷分布を観測した(第1図)。流氷分布図の作成は、レーダー画像処理装置を利用して以下の手順にしたがって行われた。(1)枝幸、紋別、網走、3局の各レーダー映像を画像処理装置のブラウン管面上で重ね合わせ、3局合成レーダー画像を作る。(2)波浪や雲からくる妨害信号を人手によって除去する。(3)氷縁や氷湖などを線でなぞり流氷域を明確にする。(4)地図画像上に重ね合わせ、流氷域に斜線を施して流氷分布図を完成させる。氷野内には大小無数の氷湖が存在する場合もあるが、作図に当たっては、氷縁と比較的巨大な氷湖に主眼をおいた。レーダー映像写真およびレーダー画像データは、流氷期間中3時間毎に保存されている。詳細な流氷分布の変化を追跡する場合には利用できる。また、1969年から2001年までに観測された流氷レーダーの範囲内の流氷量の変動を第2図に示す。毎日午前9時の流氷分布図から、レーダーの範囲(海域のみ)を100として流氷が占める割合(密接度、%)を流氷期間中積算した量をその年の「流氷量(%d)」と定義した。1989年より流氷量が顕著に減少している傾向が見られる。
著者
八久保 晶弘 海原 拓哉 伊藤 陽一
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学. 物理篇. 資料集 (ISSN:03853683)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.1-8, 1998-03
被引用文献数
2

1996-97年冬期の北海道大学低温科学研究所の裏庭でなされた積雪断面観測の結果を示した。毎月5,15,25日に積雪断面を用いた観測で, 1963-64年冬期以来続けられてる。観測項目は成層構造・雪質・密度・硬度・雪温・含水率・全水量・ラム硬度である。今冬の最大積雪深は2月22日に記録された83cmであり, 平年並みだった。その後は順調に融雪が進行し, 4月3日に消雪した。
著者
成瀬 廉二 秋田谷 英次 西村 浩一 白岩 孝行 山口 悟 須澤 啓一 天見 正和 伊藤 陽一 根本 征樹
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 物理篇 資料集 (ISSN:03853683)
巻号頁・発行日
no.55, pp.13-26, 1996
被引用文献数
1

1996年2月下旬に,北海道内広域の58地点にて積雪調査を行った。測定項目は,積雪深,積雪水量,層位・雪質・粒径,ラム硬度,雪温である。同年冬期は,札幌を中心とした日本海側では記録的な大雪であり,一方北海道東部は平年より少雪であった。全層平均密度と全層平均ラム硬度は,積雪量が多い北海道西部で高い値を,積雪量が少なく「しもざらめ雪」が顕著な東部で低い値を示した。