著者
曽根 敏雄 高橋 伸幸
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.654-663, 1986
被引用文献数
5

Large scale frost-fissure polygons are spread at Hokkai-daira plateau, Daisetu volcanic massif, central Hokkaido. In order to ascertain actual frost cracking in the frost-fissures, the authors measured seasonal changes of the width of frost-fissures, ground temperatures and snow cover from September 1984 to September 1985. Main results obtained are as follows;<br> 1. As snow tends to be almost completely blown away by strong wind, snow cover affects the ground temperature only slightly.<br> 2. The annual ground temperature alternations at 1m-depth ranged at least from +0.0_??_1.2&deg;C to -13.6_??_14.8&deg;C, suggesting the existence of permafrost underneath.<br> 3. Horizontal distance changes between the two stakes across frost-fissures from fall 1984 to winter 1985 indicate that the width of frost-fissures increased in winter by 1cm. And frost cracks, about 1cm wide at the surface, occurred by mid-Februauy on the surface of snow and ice which covered or filled in frost-fissures. Therefore, frost-fissure polygons at this site are most likely active.<br> 4. Considering the present climatic conditions of this area, the cross sections of frostfissure and above-mentioned results, we suggest that the frost-fissure polygons at this area are soil-wedge polygons.
著者
曽根 敏雄
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100298, 2016 (Released:2016-04-08)

大雪山の永久凍土分布の下限高度付近の風衝砂礫において、2013年秋から地表面温度および気温を1年間以上測定し永久凍土の存在の可能性を推定した。その結果1755m地点以上の標高の風衝砂礫地では永久凍土が分布する可能性があることが判った。1655m地点と1710m地点では地表面温度の年平均値が0℃を越えており、永久凍土が存在する可能性は低い。
著者
曽根 敏雄
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.227-233, 2004-03-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
19
被引用文献数
1

北海道置戸町,鹿ノ子ダム左岸の風穴が分布する斜面において地温観測を行なった.ここには永久凍土が存在していたが,1979年の人工改変により斜面の状況が変化し,1990年までには永久凍土は消滅したと考えられている.しかし寒冷であった2001年に地下2m深で越年性凍土が形成された.年平均気温が約4℃以下の寒冷な年が継続すれば,再び永久凍土が形成される可能性が高い.
著者
曽根 敏雄
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

北海道、大雪山の風衝砂礫地における山岳永久凍土分布の下限高度を気温と地表面温度の通年観測および電気探査から推定した。この永久凍土の分布下限付近で10mより深いボーリングを行い、地温観測装置を設置した。ここは永久凍土分布下限付近の地温モニタリングサイトとして期待される。また泥炭地にある永久凍土丘の衰退過程における地温の変化が捉えられた。小径の掘削孔においても深度の異なる多点での温度の観測が可能な温度記録計を開発した。
著者
曽根 敏雄
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.293-302, 1996-10-31 (Released:2010-04-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1

永久凍土は, 普通年平均気温が0~-2℃以下の地域に分布するが, プラス数℃の地点でも点在的に存在することがある。北海道置戸町では, 1979年に道路工事の際に地下氷が発見された。著者はこの地点で, 1987年以降地温観測を行なってきた。地温が気温の季節変化に応じて地下10m深まで変動し, 永久凍土の下限は融解期に上昇し, 凍結期に下降した。1989年までは規模を縮小しつつも永久凍土は残存していたが, 1990年の秋には融解した。ここには風穴が存在し, 地中で熱の移流があり, 永久凍土の保存に有利になっていたと考えられた。
著者
福田 正己 高橋 修平 曽根 敏雄 石崎 武志 成田 英器 高橋 伸幸
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

1.地下氷の存在が確認されている置戸町鹿の子ダムサイト斜面で、凍土の水平的な分布を確認するために、電気比抵抗探査を実施した。その結果、表層部で高い比抵抗値を示しており、同時に行った1m深さの地中温度の水平分布で示された低温地域と一致した。 2.かつて地下氷の存在が確認されていた地点に10m深さの検層孔を設け、3年間にわたって50cm毎の垂直地中温度分布の経時変化をモニタ-した。その結果、1988ー1989年までは表層から1m〜5mまでは、年間を通じて凍結状態にあり永久凍土の存在が確認できた。しかし、1989年の冬季が暖冬であり、引き続く1990年夏が暑かったため、1990年夏季に一旦凍土層が消滅した。 その後、冬季の寒気によって再び凍土層が再生しつつある。 3.低山地に形成分布している置戸町の永久凍土と比較するため、大雪山の永久凍土の分布と構造を明らかにするための現地調査を実施した。まず電気抵抗探査により、大雪山平ガ岳村付近のパルサ分布地域で、永久凍土の水平及び垂直探査を行った。同一地点で、凍土のボ-リング探査を行い、凍土の垂直分布が電気探査結果と一致するのを確認した。さらに、得られた凍土コア-サンプルを用いて、花粉分析とAMS^<14>C年代測定を行い、古環境の復元を行った。 4.花粉分析の結果、3mー5m深さでは、コナラ層とハンノキ層の花粉の出現頻度が高く、かつての温暖期に対応するものと推定される。1mー3mでは貧〜無花粉層となり、寒冷期に対応する。1m以浅では、エゾマツとアカエゾマツが多くなり、次第に温暖化してきたことを示唆してる。80cm深さから得られた腐食物の^<14>C年代は7060±200BPYとなった。これは後氷期の温暖期に一致しており、花粉結果に対応付けることができた。
著者
曽根 敏雄 原田 鉱一郎 岩花 剛 森 淳子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

パルサは永久凍土の丘状の地形で、日本では大雪山だけにその存在が知られている。これまで大雪山のパルサには変化が生じていると考えられてきたが、基本的な情報が不足していた。そこでパルサの分布状態を記載し、地温観測、電気探査法による永久凍土核の推定を行った。その結果、2010年に生じた急激なパルサの分布面積の減少を捉えることができた。また永久凍土の温度が高いことが判った。大雪山の高山帯の気温変化を復元した結果、現在パルサの大部分が残存しているものであると考えられた。