著者
五十嵐 泉
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.253-259, 2015

我が国の建築物の敷地は,コンクリートブロック造による塀(以下,ブロック塀という)等で囲うことが多い。全国に現存するブロック塀は,建設時に確認申請がなされていないものがほとんどで,その構造は関連法令や日本建築学会のブロック塀設計規準に適合していないものが数多くみられる。既存ブロック塀は,大地震の発生のたびに多数倒壊して時には死傷者を出し,市街地の通行人が潜在的危険にさらされているといえる。また,道路側に倒壊したブロック塀は,地震災害時の緊急車両等の通行を阻害することが危惧されている。これらのこと等を踏まえ,日本建築学会の「既存メーソンリー構造耐震診断・改修検討小委員会」に「ブロック塀等の耐震診断・改修指針編集ワーキンググループ」(2010~2012年)を編成し,ここでの検討を基に,2014年3月に,「既存コンクリートブロック塀の耐震診断指針(案)・同解説」が刊行された。本稿ではその概要を紹介する。
著者
寺西 浩司 丸山 一平 齊藤 和秀 平岩 陸 森 堅太郎
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.11_8-11_16, 2011 (Released:2012-11-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

NPO法人コンクリート技術支援機構(ASCoT)に組織された「コンクリートの収縮ひび割れ研究委員会」は,コンクリートの乾燥収縮ひずみの推定方法の提案と,収縮ひび割れ対策の整理の2つの課題に取り組んだ。1つ目の課題に関しては,委員会で共通実験を行ったうえで,骨材の影響の考慮に主眼を置いた推定方法を提案した。この方法は,骨材の気乾含水率,比表面積,または粗骨材からの乾燥収縮ひずみの直接的な測定値から骨材の乾燥収縮ひずみを推定し,その値を基に,複合理論によりコンクリートの乾燥収縮ひずみを計算するものである。また,2つ目の課題に関しては,各種ひび割れ対策の有効性を,効果,コストメリットおよび汎用性の面から評価した。
著者
加藤 昌二
出版者
Japan Concrete Institute
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.571-577, 2013-07-01

晴海二丁目マンションC1街区新築工事は,湾岸エリアに建つ超高層免震マンションで,C2街区と合わせたツインタワーマンションの第1期として計画されたものである(図-1)。今回の超高層免震マンションの施工は,建物を構成する要素それぞれが,「日本一」であったり「日本初」であったりと,その計画と施工は大変に難易度の高い工事であった。我々が模索した,この工事における「最適化施工」の内容を,躯体を中心に述べる。
著者
岩田 道敏 渡邊 誠司 永田 敏秋 盛田 行彦
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.55-62, 2007

東海道線新橋・浜松町間環状2号線交差部工事では, 営業線供用下での橋梁の架替え工事を効率的に実施する方法として, 仮設材である工事桁を埋設型枠で囲み, 内部を高流動コンクリートで充てんすることによって本設桁として利用する工法を初めて採用し, 実施工に供した。本稿では, この工法の概要にっいて施工状況と併せて述べるとともに, 夜間線路閉鎖.工事における高流動コンクリートの打設状況およびコンクリート打設後のH形鋼とコンクリートの一体性に関する検証結果にっいて報告する。
著者
石川 靖晃 伊藤 睦 荒畑 智志 河合 真樹 原 健悟
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.172-180, 2015
被引用文献数
1

打込み直後から補修・補強を含めた供用期間終了までのコンクリート構造物の保有耐荷性能を合理的にシミュレート可能な「コンクリート構造物建設工程シミュレータ」の開発が,LECOM研究会で10年間にわたって行われてきた。本稿では,本シミュレータの開発過程で得られた主な成果を紹介する。本シミュレータでは,従来別々であった初期損傷と保有耐荷力を計算するための解析コードを合理的に融合することに成功している。また,総エネルギー一定則の概念を導入することにより,化学変化による体積変化現象について従来の解析コードよりも汎用的にシミュレート可能である。加えて,パイプクーリング解析機能も従来のものに比べ,より強化されている。
著者
柳田 淳一 大沼 薫春 山口 勝 山田 雅裕
出版者
Japan Concrete Institute
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.163-170, 2012-02-01
参考文献数
6
被引用文献数
1

プレキャストコンクリート部材は,認定を受けたプレキャストコンクリート製造工場で製造されることから,一般に高い水準で品質が安定している。本報では,品質確保のためのプレキャストコンクリート製造工場の認定制度の概要と最近の品質管理方法の一例を示した。また,今後の建築の現場打ちRC構造物では,コンクリートのかぶり厚さの検査を電磁誘導法で測定する機会が増えることから,プレキャストコンクリート部材のかぶり厚さ検査における電磁誘導法の適用性について検討した結果を報告する。