著者
佐藤 和代
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.11-16, 2010-01-01

企業におけるライブラリーサービスは,電子ジャーナルに代表されるインターネットを通じた情報流通の拡大に伴い変化し,従来の資料の保管・管理から情報の流通をマネジメントする機能へと変化している。このライブラリー部門にもとめられる機能の変化について,アサヒビール(株)研究開発センターにおける運営の事例とともに,2008年に実施したライブラリー設計のコンセプトを紹介する。新ライブラリーは建物の吹き抜け部分への移動であったため,書架の配置などデザイン的に制約が多かったが,「オープンな図書室」をコンセプトに,調査研究とコミュニケーションを両立できるスペースを提案した。また,これからのライブラリー機能に必要とされる機能について,現在進行形の取り組みについても述べる。
著者
左田野 渉
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.218-221, 2000-04-01

出版大手取次である日販は積年に渡って書籍注文品の流通改善に, 流通面から取り組んできた。しかし, 商品寿命の短サイクル化による「品切」の増大だけは, 卸機能の中では改善にも限界があった。このような中, デジタル印刷機の登場により, 小ロットの重版が経済的・技術的に可能となった。一冊からでも, 受注生産を可能とするオンデマンド出版である。日販は有志出版社29社と, 昨秋, (株)ブッキングを設立して, オンデマンド出版による書籍の流通改革に第一歩を踏み出した。一方で, WEBに存在するコンテンツや, 可変印刷の技術などを, オンデマンド出版のニューウェイブとして育くむことを新しい可能性として見出している。
著者
佐々木 克彦
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.238-244, 1997-05-01

企業図書館のアウトソーシングは本当に可能なのだろうか. アウトソーシングの導入を難しくしている原因を探り, 新しい方向性として, 書店をパートナーとしたマルチソーシングの提案を行う.
著者
檜山 正幸
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.206-211, 2000-04-01

この記事では, マークアップ技術の観点から電子出版の現状と今後について述べる。マークアップ技術の一般論を解説し, いくつかの応用例を紹介する。さらに, 電子出版への実際の応用としてOpen eBook, JapaXの活動を紹介し, 最後にXHTMLにも触れる。
著者
仲嶋 伸明
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.579-583, 2006-12-01
参考文献数
6

情報漏洩事故の裁判における損害賠償額の判例を紹介して情報漏洩対策の必要性を喚起することと,日本国内のセキュリティ対策の現状,電子情報技術産業協会が発表したパソコン消去のガイドライン,アメリカ国防総省のハードディスクのデータ消去,総務省のガイドライン,金融庁が施行を検討の金融商品取引法の内部統制など日本のセキュリティに関する動向を紹介して,電子記録媒体を記録方式別に,磁気記録,光ディスク,半導体メモリーにそれぞれ分けて,ソフトによる上書き消去,磁気消去,物理破壊,光ディスクの破壊,シュレッダーによる破壊について解説を行い,あわせて情報消去後のリサイクルに関しても言及する。
著者
山地 康志 北島 由紀子 重田 有美
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.177-181, 2002-03-01

21世紀とともに始まったこの連載も,とうとう最終回になりました。かつての新人さんも「すでに優秀なINFOPROに成長したわ!」と自負している人も多いのではないでしょうか?しかし何か忘れていませんか?そうです,法律や制度です。企業図書館は公共図書館と異なり,あまり法制度についてうるさくいわれませんが,知らないうちに法律をおかしていたのでは,優秀なINFOPROとは言えません。最後に図書館にまつわる法制度について学び,胸を張ってINFOPROへ「JUMP!」しましょう。
著者
山本 順一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.9-14, 2001-01-01

本稿は, Eコマースのなかでも, とくにB to C(企業と消費者との間)のEコマースを対象として考察を加えた。このB to CのEコマースの多くは, インターネット利用の"通信販売"の姿をとっているところから, 通信販売を規律する訪問販売法の適用対象とされている。しかし, ネットショップは"出店""閉店"が容易でトラブル発生も多くなっており, 安全な取引の確保に向けていくつかの新たな試みがなされている。インターネット上のB to CのEコマース成約への手続きは, ビジネスモデル特許の対象ともなりうる。また, Eコマースの対象商品がソフトウェア, データベース, デジタルコンテンツ等の場合は著作権法や不正競争防止法でも保護され得る。最近, アメリカでは, このようなデジタル情報商品を提供する契約を規律する州法の制定を促す"統一コンピュータ情報取引法"(UCITA)が作成された。その問題点についても論じた。
著者
豊田 雄司
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.336-343, 1998-06-01

学協会が行う学術的会議の開催にともなって発行される会議予稿集(以下, 予稿集と表記)は, 灰色文献の一つとされる会議資料のなかでも, 特に入手の難しい資料である。この種の資料は一般に査読がなされないにも関わらず, 雑誌論文と並び頻繁に参考文献として掲げられることが多い。本稿では, 理工系大学職員を対象としたアンケートの結果, 特に工学分野において, 予稿集の利用が顕著である結果を紹介し, 国内主要情報機関での同資料の収集や, データベースの現状にも触れている。さらに, 国内における予稿集の流通経路確立の可能性をも模索している。
著者
肥田 康
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.467-474, 2004-09-01

写真を専門に処理するプロフェッショナル・ラボとしては,業界で初めて,1999年にデジタルアーカイブの専門部署を創設した。次世代に継承すべき歴史的な資料や文化財を恒久的に記録・保存・運用するために,これまで様々な機関のデジタルアーカイブ構築に携わってきた。本稿ではこれまでの経験をもとに,デジタルアーカイブで制作された電子画像情報の保存について考える。さらに,画像情報のより積極的な利用のために開発した研究支援ソフトウェア「iPalletnexus^<TM>(イパレットネクサス^<TM>)」について解説し,画像情報の「利用」と「保存」の相対的な関係についても考察する。
著者
河村 宏
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.421-424, 2004-08-01

情報技術の進化は,それ自体が障害者へのより良いサービスを保証するものではなく,常にアクセシビリティーに留意した技術の開発が必要である。障害者の権利としての情報アクセスを保証するための留意点と,分かりやすさにまで踏みこんでアクセシビリティーの充実をはかる切り札とも言えるSMILの可能性について概説する。
著者
黒田 康裕
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.196-199, 1995-05-01

新しい企業経営とそれを支えるITの進展によって,従来型の企業情報システム(MIS・SIS)とは異なった新しい情報システムの利用が可能になってきている。特に企業のエグゼクティブにとっては,円高・価格破壊・リエンジニアリングといった今まで以上にITを駆使した経営スタイルが必要とされている。今回はエグゼクティブにとっての情報とそれを支えるITについて述べる。
著者
林 和弘 太田 暉人 小川 桂一郎
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.145-149, 2005-03-01
被引用文献数
2

日本化学会は1989年から英文論文誌の電子化に着手し, 試行錯誤の末, J-STAGEを効果的に利用した日本独自の電子ジャーナルを構築した。その結果は多くのアクセスによる読者数の増大と高い海外比率として現れ, 投稿数の増大につながっている。また, Chemistry Letters誌は一般化学雑誌としては, 受け付けてから公開まで世界最速の雑誌であることがわかった。本稿では日本化学会での英文誌電子ジャーナルの現状と, 有料公開に向けた取り組みについて紹介し, 日本発の学術情報流通発展させるための課題と考察について述べる。