著者
林 和弘 太田 暉人 小川 桂一郎
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.145-149, 2005
参考文献数
18
被引用文献数
2

日本化学会は1989年から英文論文誌の電子化に着手し, 試行錯誤の末, J-STAGEを効果的に利用した日本独自の電子ジャーナルを構築した。その結果は多くのアクセスによる読者数の増大と高い海外比率として現れ, 投稿数の増大につながっている。また, Chemistry Letters誌は一般化学雑誌としては, 受け付けてから公開まで世界最速の雑誌であることがわかった。本稿では日本化学会での英文誌電子ジャーナルの現状と, 有料公開に向けた取り組みについて紹介し, 日本発の学術情報流通発展させるための課題と考察について述べる。
著者
呑海 沙織
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.484-494, 2001-09-01
被引用文献数
1

高等教育における変革期の中, 英国では増えつづける電子的情報をより多く効率的に高等教育機関に提供するために, さまざまな情報提供システムが画策されている。これらのシステムの基盤になっているのが, 高等教育機関における図書館や情報提供センターについて, 財政審議会及び高等教育機関への勧告をまとめた「フォレット報告書」や高等教育機関における情報提供サービスの中心的存在である「JISC(情報システム合同委員会)」である。JISCの助成によるデータベース等契約交渉機関CHEST, 全国の高等教育機関のためにデータベースの提供・管理を行うナショナル・データセンター(BIDS・MIMAS・EDINA), 全国認証システムATHENS等からなる英国の学術情報提供システムについて, 高等教育の変化を背景に考察する。
著者
大川 丈男 松尾 浩一 細野 光治
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.188-191, 2007-04-01

1980年代から始まった図書館をシステム化するという波は,大型汎用コンピュータによる一極集中処理の形態から,データベース機能,業務処理機能,検索機能(OPAC)等を機能分けしたクライアント・サーバーシステムに移り,現在ではインターネット上にOPACを公開し, Webを通じていつでもどこからでも図書館が持つ情報にアクセスできる状況に至っている。これらの流れの中でコンピュータ技術者として実際に図書館システムの日本語化に携わった側面から,グローバル・スタンダードの大切さ特に文字コードの標準化や,またWebが主流となった情報検索の世界で図書館が果かす役割などを昔の苦労を振り返りつつ述べる。
著者
鈴木 宏子 スズキ ヒロコ 米田 奈穂 ヨネダ ナホ 岩井 愛子 イワイ アイコ 中村 澄子 ナカムラ スミコ 斎藤 友理 サイトウ ユリ
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.34-40, 2009-01

ポッドキャストは,Web上で音声や画像を配信する仕組みとして企業や教育分野で注目を集めており,携帯音声端末の普及とも併せて今後の伸展が期待されている。千葉大学附属図書館では,このポッドキャストを利用して図書館セルフガイド等のコンテンツの発信を開始した。このことについて企画製作の経験,ブログサイトの構築,コンテンツの製作,その利用の状況について報告する。
著者
半田 正夫
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.254-259, 1995-06-01
被引用文献数
3

マルチメディアと著作権の関連を検討するにあたっては,(1)マルチメディア・ソフトを製作する際に素材として利用する既存の著作物の権利処理の問題と,(2)製作されたマルチメディア・ソフトを利用する際における著作権法との関わりの問題との2つに分けることが必要である。前者については,膨大な素材情報を的確に把握し権利処理を容易にするため,権利の集中処理権構の設立が急務であるし,後者については,ソフトの特質である編集・加工との関連で同一性保持権との抵触をどうするかの解決が必要であると同時に,来るべきマルチメディア時代に対応するため,アナログ方式の機器を前提として作られている現行の著作権法の大幅な手直しが必要となろう。
著者
竹内 比呂也
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.418-422, 2007-09-01
被引用文献数
2

インターネット上で利用可能なデジタルコンテンツが増加し,伝統的な意味での図書館の資料蓄積・提供機能の重要性が相対的に弱体化している環境下において,これからの図書館のあり方について考察する。図書館を構成する基本要素である,図書館という場所,資料,図書館員について,「利用者の期待」「付加価値」「インタラクティブな関係性」という観点から考察し,これらの図書館に求められる場所としての図書館の特性,インターネット空間上での図書館のプレゼンスの強化,機関リポジトリの推進,図書館員の新たな役割について論じる。
著者
鹿島 みづき 山口 純代
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.526-537, 2002-10-01
参考文献数
57

図書館パスファインダーは北米において40年以上にわたり,レファレンスサービスの重要な役割を担ってきた。しかし日本の図書館においては確立したサービスとして提供されてきていない。インターネットを含む新しい技術の出現により電子パスファインダーに進歩することで,図書館パスファインダーは利用の可能性が開けてくると考えられる。図書館パスファインダーとは何であるかを紹介し,発達の歴史をたどりながら,OCLC Connexion Pathfinder(旧CORC Pathfinder)作成経験を通して予想される「図書館ポータル」の機能要素としてのその将来像を示した。厳しい現実に直面する私立大学函書館において,これからの新しいサービスになり得るかは国レベルでの環境整備やサポートが不可欠である。
著者
石井 啓豊
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.378-386, 1999-08-01
被引用文献数
1

電子文献の増加と図書館経営におけるアクセス・ポリシーの採用等によって, 資源共有活動は大きく変化した。近年の資源共有の諸活動は, 伝統的資料とともに電子文献も含めた幅広いものを意図している。ILL/DDサービス開発の多くのプロジェクトも進行中である。新しいILL/DDサービスは利用者による直接依頼と利用者への文献直送という特徴を持つ。図書館経営においてILL/DDサービスの重要性が増大しつつあること, ILLサービスの合理性, 及びILLネットワークの一貫性について論じた。この議論とILLサービスの機能分析に基づき, わが国の状況を取り上げてサービス開発の方向性について検討し, ILLサービスに関する全国的な戦略的計画の重要性を指摘した。
著者
川崎 和男
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.118-123, 2000-03-01

米国から提唱されたユニバーサルデザインの来歴について, 私が体験してきたことの詳細報告から, グッドデザイン商品選定でのユニバーサルデザイン賞設定理由の紹介。さらにデザインコンセプトとしての七原則を日本的に再吟味することで, ユニバーサルデザインを新しい言葉で読み替えていくことができるのではないだろうか。こうした考察を通して日本独自のユニバーサルデザインの新しい定義性を見つけだしていきたい。日本独自のユニバーサルデザインの具現化, それは本当に豊かな生活のために, 生と死を直視していく厳しさの中に, 豊潤さを実現していく人間のやさしさがあると考えている。
著者
嶋田 晋
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.226-231, 2008-05-01

フリーソフトの中から,主に業務に有用と思われるもの3点を,実際の使用例とともに紹介する。「ハイパーテキストスクリーンセーバー」はHTMLファイルをスクリーンセーバーとして表示させる機能を持ち,広報や掲示用途でも有用である。「Schedule Board」はグループウェアとして,組織内のスケジュール管理機能を簡易に実現する。「BunBackup]はバックアップを簡単かつ高速に実行できる機能を持ち,高度な設定も可能である。いずれのソフトも非常に高い実用性を無償で提供しており,業務やそれ以外の場面でも大いに活用することができると思われる。
著者
渡邊 隆弘
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.430-435, 2008-09-01
被引用文献数
3

この数年,図書館目録について,危機意識を背景とした将来論議が活発に行われている。本稿では,米国議会図書館(LC)「書誌コントロールの将来ワーキンググループ」の報告書(2008年1月)を材料として,外部データの活用による効率化,目録作業に関する協働の推進,典拠コントロールの重視,ユニーク資料の組織化,OPACの機能改善,目録規則とLCSHの変革,等の論点を整理する。あわせて,わが国での将来検討について,米国の議論との比較のもとに考察する。効率化のための方策,書誌データの在り方に関する意識では,両国の議論に相違点が見られる。
著者
神嶌 敏弘
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.452-457, 2006-10-01
被引用文献数
4

情報過多とは,自身が望む情報があっても,あまりに多くの情報の中に埋もれてしまい,それを見つけることができなくなっている現在の状況のことである。推薦システムは,この情報過多を克服するため,利用者が望む情報を見つけることを補助するものである。本稿ではこの推薦システムの動作原理を中心に述べる。
著者
光富 健一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.613-618, 1996-11-01
被引用文献数
1

ネットワーク時代の到来によって, 主題分析を指向した情報組織化の必要性が軽んじられてきている。統制されない自然言語によるインデクシングは, 本当に利用者に役立ちうるか。フーグマンが提出した「概念の三角形」と「情報提供とインデクシングの5命題」を手がかりとして, 統制索引言語の必要性を強調する。また統制索引言語構築の方向性を, BC2のファセット構造を手がかりとして提出する。
著者
細川 聖二 平田 義郎 齊藤 泰雄 内藤 裕美子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.442-447, 2008-09-01

国立情報学研究所では,目録所在情報サービス(NACSIS-CAT/ILL)の今後の在り方について,中長期的な視点で検討することを使命として,「学術コンテンツ運営・連携本部図書館連携作業部会」の下に「次世代目録ワーキンググループ」を設置した。ワーキンググループでの検討結果を「次世代目録所在情報サービスの在り方について(中間報告)」として取りまとめ,2008年3月末に公開した。本稿では,「中間報告」に至る検討の経緯および「中間報告」についてその概要を紹介する。
著者
佐藤 高廣
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.466-471, 2002-09-01

インターネット上の情報資源へアクセスするため,ポータルサイトが活用される。最近では,図書館Webページのポータル化も顕著である。紀伊國屋書店では1999年10月より,学術情報に特化したポータルサイトK-Portを運営している。K-Portは,利用機関別にカスタマイズが可能なポータルサイトであり,自館専用のデータべースリストや電子ジャーナルのリンクリストを構築することができる。図書館では自舘のWebページの代替的サイトとして,K-Portを活用することができるだろう。本稿は,ポータルサイトの一般的動向を踏まえたうえで,K-Portの基本的特徴や電子ジャーナルへのアクセス支援機能について,解説するものである。
著者
ナイジェル オクスブロウ
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.383-387, 2002-07-01

米国の図書館情報学教育の多くが,時代の変化とともに急速で革新的な発展を遂げたのと対照的に,イギリスをはじめとしたヨーロッパ諸国の教育現場では,どちらかといえば変革は隠微な形でしか進まなかった。それは同時に,実業としての図書館情報学が,時代やビジネスの現場におけるニーズとの乖離を深めていくことを意味していた。その溝を埋めるために産まれ,そして驚くべき成功を遂げたのが,ここで紹介するTFPLというイギリスの会社である。彼らはどのようにして時代の変化を読み取り,インフォプロたちを支援し,かつ養成する一大組織へと転身していったのか。代表・ナイジェル・オクスブロウ氏に,その歴史と活動を語ってもらい,成功の秘訣を探った。