著者
金子 康樹
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.79-82, 1999-02-01

大学図書館が新たなサービスを展開する上での計画について, マーケティング理論を応用することを考察する。大学図書館を取り巻く情報環境の変化に注目した上で, 大学図書館における新たなサービスにはどのようなものがあるか, またそれを評価するための理論基盤としての, マーケティングミクスにおける製品ミクス, 製品アイテム, 製品の付随機能の面からの検討を行った。
著者
山名 早人
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.84-89, 2004-02-01
被引用文献数
1

今や検索エンジンは,インターネットを利用する上でなくてはならない存在となっている。しかし,そのアーキテクチャは明らかにされていない部分が多い。本稿では,世界最大の検索エンジンであるGoogleを例にとり,検索エンジンのアーキテクチャについて, Web情報の収集,インデックス化,検索の3つに焦点をあてて紹介する。また,大量の検索クエリーをどのように処理するかや,運用にはどの程度のコストがかかるのかなどの運用に関わる問題についても取り上げる。
著者
妹尾 大
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.521-529, 2004-10-01

情報は管理できるが,知識は管理できない。この考え方が,知識経営の基本的スタンスである。なぜならば,情報と違って知識には個人の価値観が含まれているからである。知識経営とは,知識を管理するのではなく,リーダーシップと場づくりによって知識創造プロセスを促進することである。本稿は,NTTドコモのオフィス改革の取り組みを事例として取り上げ,知識創造プロセスを促進する場がどのようにして創設・活性化されるかについて検討した。具体的には,「オフィスレイアウトの変更」を物理的環境の変更・整備,「イントラネットの構築」を仮想的環境の変更・整備と捉え,これらが場の創設・活性化にどのような影響を与えうるのかについて考察を加えた。
著者
伊藤 真理
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.66-71, 2012-02-01

音楽分野では,グレイリソースとしてエフェメラの収集や管理について検討されている。本稿では,音楽分野のエフェメラとして,楽譜の種類の1つであるsheet musicと,演奏会プログラムをとりあげた。また,録音資料については,流通と媒体の一過性に着目して検討した。デジタルアーカイブズの構築に伴って,エフェメラに関するメタデータの検討も重要となっている。楽譜に関しては,アメリカ音楽図書館協会によるガイドラインが策定されており,演奏会プログラムについては,国際音楽資料情報協会のワーキンググループによって検討が進められている。様々なグレイリソースへの効率的なアクセスについて,さらに検討が必要であろう。
著者
橋元 良明
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.8-14, 2011-01-01

インターネット利用をめぐる信頼と不安といった場合,インターネットの情報内容やメディアイメージをめぐる信頼・不安と,インターネット利用に際し,トラブルや被害に巻き込まれる不安が考えられる。筆者が中心となって実施してきた『日本人の情報行動』調査からは,インターネットの情報内容に対する信頼度は,この10年で着実に漸増してきているものの,まだまだ新聞やテレビに及ばないことが明らかになっている。また,ネット利用の際の不安に関し,筆者らが実施した10ヵ国比較調査によれば,日本人は概して,被害経験が少ないにもかかわらず他の国と比較しても不安度が高い。その背景に,トラブルや事故をめぐる報道への高い接触率があげられる。しかし,報道への接触と不安との関連は,すべての国で共通のものではない。
著者
長澤 雅男
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.204-210, 1994

一次情報の記録物としての一次資料の意義を規定し,その特性と対比して,二次資料の特性を明らかにしたうえで,事実解説的な二次資料と案内指示的な二次資料とに大別して,その種類について説明した。次いで,二次資料を収録対象とするレファレンス資料の解題書誌,主題別リスト,書誌の書誌などの三次資料がその探索トゥールとして利用できることを述べ,それらの三次資料の具体例として,日本語,英語の主要なタイトルを選び,内容解説を加えながら紹介した。合わせて,電子メディアとしての二次資料の探索トゥールとして,幾つかのディレクトリにも言及した。
著者
矢田 俊文 庄 ゆかり 野原 ゆかり
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.501-506, 2011-12-01

デジタルネイティブ世代が増加している現在,外国語文献データベースと文献管理ソフトについて,伝統的訪問講習会への参加者は減少傾向にある。しかし,講習会参加者に対するアンケート結果には,依然として講習会が有意義であることが示されている。ウェブで開催するセミナーであるウェビナーを使って,大学に潜在的に存在する多くの利用者が参加できる新しい講習会のスタイルとして,広島大学の「図書館を活用した音声対話式ウェビナーの事例」と九州大学の「分野ごとに的を絞った内容をシリーズで提供した事例」を報告する。
著者
畠山 珠美
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.483-488, 2011-12-01

国際基督教大学図書館では,ラーニングコモンズにおける新しいサービスとしてライティングサポートデスクをスタートさせた。ライティングサポートデスクはライティング・センターのパイロット版という位置づけで,学生のニーズの把握,運営方法とチューターの研修制度の確立を目的としている。開設してまだ日は浅いが,利用は少しずつ高まっており,利用者の満足度も大変高い。将来的には,ライティング・センターをラーニングコモンズの機能の1つとして定着させ,大学の情報基盤というだけでなく,教育支援機関として活動していくことが図書館の発展につながっていくと考える。
著者
山内 祐平
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.478-482, 2011-12-01
被引用文献数
2

本稿では,米国の大学図書館における学習支援の系譜と大学の学習支援組織をレビューした上で,日米の大学における学習支援の位置づけの違いを明らかにし,その差がラーニングコモンズの展開に与えている影響について考察を行う。結果として,大学進学率と中退率の差,大学に設置されている学習支援組織の差,学習支援組織を支える仕組みの差,インフォメーションコモンズの不在という4つの相違点が明らかになり,相違を前提とした日本型ラーニングコモンズの学習支援について提案する。
著者
寺岡 岳夫
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.465-469, 2011-11-01

利用している商用データベースに収録されていない国の特許を調べるときは,各国特許庁サイトなどを使うことになる。しかし,使ったことのないウェブサイトや,非英語圏の国だったりすると,検索の方法や,どのような情報が収録されているのかもわからないことが多いと思う。本稿では,非英語圏でもあるブラジル特許庁のウェブサイトを取り上げ,特許情報へのアクセス手順や検索項目,検索方法を紹介する。ブラジル特許庁ウェブサイトは,ポルトガル語による表記であるため,図による説明を多くしている。
著者
尾城 孝一 杉田 茂樹 阿蘓品 治夫 加藤 晃一 阿蘓品 治夫 アソシナ ハルオ 加藤 晃一 カトウ コウイチ
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.475-482, 2004-09-01
被引用文献数
2

近年,海外の大学図書館を中心として学術機関リポジトリと呼ばれる,インターネット上の電子公開書庫の設置が相次いでいる。学術機関リポジトリは,学術コミュニケーションをめぐる危機的な状況と大学からの情報発信強化という2つの問題に対する解決策として注目されている。本稿では,まず学術機関リポジトリの誕生の背景と問題の所在について概観し,その定義および成立要件について述べる。続いて,海外の代表的な事例を紹介し,さらに国内の状況について,千葉大学附属図書館と国立情報学研究所におけるプロジェクトを取り上げる。最後に,学術機関リポジトリの普及に向けた協調的活動の重要性について触れたい。
著者
柳沢 芳夫
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.1152-1162, 1992-12-01
被引用文献数
1

清水建設が,シミズ情報資料センター(SIRC)という新組織をつくり,多角化する企業の中で貴重な資料,重複する資料のうち,共有化できる資料を集約管理するという集中分散方式の情報管理を行っている。情報創造の効率を上げようとする試みについて,発足以来一年と数ヵ月経過した時点で当初のもくろみとその経過を,設定された機能ごとにたどって見た。こうした企業ライブラリーの働きについて,そこのスタッフのあるべき資質にもふれながら,これからの情報収集支援組織の,企業内での一事例として紹介したものである。
著者
相田 満
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.460-464, 2011-11-01

多くの古典籍を擁する国文学研究資料館において,分類・主題検索の実現は,長い間の課題となっている。特に,極めて早い時期にコンピュータを実現した当館において,汎用機時代から取り組まれてきたユニオンカタログとも称するべき『日本古典籍総合目録』データベースの存在は,分類に対する関心を,常に喚起する存在でもあった。その分類・主題検索を実現する道のりは遠いが,その実現のためのインフラと取り組みは少しずつ進んではいる。本稿では,どのような取り組みが行われているか,その一端を紹介する。
著者
蔵川 圭
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.447-452, 2011
参考文献数
46
被引用文献数
1

様々な学術情報がWeb上に展開されるようになって以来,著者に対する典拠の重要性は,昨今増しているように思われる。少なくとも著者や機関の識別子が重要視され,様々なデータベースを背景としたそれら識別子がWeb上に展開されるようになってきている。本稿では,こういった著者のデータベースと識別子に焦点を当て,どのようなデータベースと識別子がWeb上に公開されているのかを整理して概観する。まず,著者データベースの類型について述べる。そして,それらのデータベースからWeb上に著者識別子が公開され,Web上の著者識別子のリンケージをとり,コミュニティ形成によってリンケージ精度を向上していく展開となることを述べる。さらに,様々な人名検索サービスを眺めながら,著者データベースの位置づけを明確化する。最後に学術情報基盤としての重要性を指摘する。
著者
神崎 正英 佐藤 良
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.453-459, 2011-11-01

国立国会図書館(NDL)は,書誌データの開放性・利用可能性を向上させる取り組みの1つとして,書誌データ提供におけるセマンティックウェブ技術への対応を進めている。この一環として,2010年6月には「ウェブ版国立国会図書館件名標目表(Web NDLSH)」,2011年7月には提供範囲を全典拠レコードに拡大し,システムの機能を拡張した「国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス(Web NDL Authorities)」の開発版をリリースした。「国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス(Web NDL Authorities)」の開発版では,典拠データをRDFモデルにより表現し,Linked Dataのスキームに準拠する等,セマンティックウェブ技術に対応した形式により提供している。本稿では,当サービスの概要,提供する典拠データの内容,RDFモデルの設計等について紹介をする。
著者
武田 英明
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.441-446, 2011-11-01
被引用文献数
1

インターネット時代において情報の同定のために識別子や典拠といったメタデータが重要になっている。本稿ではWebにおける情報の識別,構造化という問題を概観する。まず情報の識別にはWebで利用できる識別子が必要である。Webでの識別子はURIを持ち,関連情報を提供する仕組みが必要である。既存の識別子ではISBNはWeb上の識別子にならないが,DOIは該当する。情報の構造化には,キーワード・用語,統制語彙・典拠,タキソノミー,シソーラス,オントロジーと構造化の程度の違う仕組み(概念のシステム)が現在用いられている。統制語彙・典拠のレベルでは図書館からの件名標目や典拠の公開が盛んになっている。タキソノミーの例としては生物分類を挙げ,Webに適応する部分としない部分があることを指摘した。オントロジーとしては汎用な上位オントロジーや分子生物学で用いられるGene Ontologyなどを挙げた。全体的にはより構造化を強める方法へ進んでいる。今後は,識別子も概念のシステムもよりいっそう進み,競争が激しくなるであろう。