著者
大木 秀一 彦 聖美
出版者
石川県公立大学法人 石川県立看護大学
雑誌
石川看護雑誌 = Ishikawa journal of nursing (ISSN:13490664)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-11, 2012

ライフコース疫学では,妊娠期から小児期,思春期,成人期にわたる人生の流れを通じて,健康や疾病の生物学的(遺伝要因を含む)・社会学的・心理学的なリスクが相互に蓄積・連鎖し,修飾されていく状態を検証する.また,リスクの世代間伝達にも関心を向ける.ライフコース疫学が固有の研究領域として確立したのは1990年代後半以降である.その背景には,成人期以降の慢性疾患に対して,成人期のリスク因子を個別に同定し,個人レベルでライフスタイルに介入する現在主流のアプローチに限界が見られてきたことがあげられる.また,胎内環境・発達起源仮説,エピジェネティクス,社会疫学,行動遺伝学など近接領域の研究が大きく進展したことも大きい.ライフコースを重視した健康格差の是正は,ライフステージで区分けされた従来の予防対策とは異なり,より包括的・長期的な視野のもとで健康課題に挑むものであり,新たな健康政策への提言に結びつく.(著者抄録)
著者
金子 紀子 石垣 和子 阿川 啓子
出版者
石川県公立大学法人 石川県立看護大学
雑誌
石川看護雑誌 = Ishikawa journal of nursing (ISSN:13490664)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.85-94, 2016

本研究の目的は,農村地域で子育て中の母親が感じる母親自身の幼少期と現在における地域のつながりを明らかにすることである.農村地域で乳幼児を子育て中の母親8 名に実施したグループインタビューの内容を質的に分析した.母親自身の幼少期における地域のつながりは,【祖母や母に連れられ大人に混じった】,【子どもだけで自由に遊びまわる世界があった】,【大人は子どもを温かく見守っていた】,【顔見知りの関係で安心感があった】であった.現在の地域のつながりは,【近所付き合いの程度には差がある】,【小学校区内での人付き合いは分からない】,【近所にはない子ども同士のふれあい方がある】,【地縁組織の一員になる】,【不審者等犯罪から子どもを守る】であった.幼少期は総体として肯定的に捉えられ,現在においては希薄化している現状と,農村地域におけるソーシャルキャピタルの正と負の両面を捉えていたと示唆された.
著者
宮田 愛実 今井 美和
出版者
石川県公立大学法人 石川県立看護大学
雑誌
石川看護雑誌 = Ishikawa Journal of Nursing (ISSN:13490664)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.41-50, 2014-03

本研究の目的は,日本人女性の公費助成対象外HPV(human papilloma virus)ワクチン接種許容に関連する要因を抽出し,今後の対策と研究の方向性を考察することである.2006年1月から2013年6月までに公表された原著論文を医療文献データベース(医学中央雑誌,MEDLINE)で検索し,15件の量的研究を分析した.HPV/HPV関連事項の認識状況,HPVワクチン接種の認識状況/許容状況は,日本国内で多様であった.接種啓蒙活動において「女性間でHPV関連知識の程度に相違がある」「HPVが自分に関連すると認識していない」「HPVワクチンの有効性と安全性に懸念を抱いている」に対応し,活動標的を女性の周囲の人たちにも拡大する必要がある.さらに「自己負担の減額」「接種実施方法・場所の明示」「接種しやすい施設環境の整備」「多様な広報媒体の利用」が必要である.HPVワクチンの安全性の確保は当然のこととして,今後の研究は信頼性・妥当性のさらに高い調査が実施される必要がある.(著者抄録)
著者
宮田 愛実 今井 美和
出版者
石川県公立大学法人 石川県立看護大学
雑誌
石川看護雑誌 = Ishikawa journal of nursing (ISSN:13490664)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.41-50, 2014

本研究の目的は,日本人女性の公費助成対象外HPV(human papilloma virus)ワクチン接種許容に関連する要因を抽出し,今後の対策と研究の方向性を考察することである.2006年1月から2013年6月までに公表された原著論文を医療文献データベース(医学中央雑誌,MEDLINE)で検索し,15件の量的研究を分析した.HPV/HPV関連事項の認識状況,HPVワクチン接種の認識状況/許容状況は,日本国内で多様であった.接種啓蒙活動において「女性間でHPV関連知識の程度に相違がある」「HPVが自分に関連すると認識していない」「HPVワクチンの有効性と安全性に懸念を抱いている」に対応し,活動標的を女性の周囲の人たちにも拡大する必要がある.さらに「自己負担の減額」「接種実施方法・場所の明示」「接種しやすい施設環境の整備」「多様な広報媒体の利用」が必要である.HPVワクチンの安全性の確保は当然のこととして,今後の研究は信頼性・妥当性のさらに高い調査が実施される必要がある.(著者抄録)
著者
金川 克子 山岸 映子 田村 須賀子 西村 真実子 大木 秀一 杵淵 恵美子 伴 真由美 浅見 洋 曽根 志穂 梅山 直子 高窪 美智子 杉原 敏雄 田中 理 吉村 香代子
出版者
石川県公立大学法人 石川県立看護大学
雑誌
石川看護雑誌 (ISSN:13490664)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-9, 2007

石川県立看護大学はJICAの依頼のもとに,タジキスタン共和国の母子保健の向上に資する目的で,2005年から概ね3年間の予定で「母と子の健やか支援プロジェクト」の企画,運営を通して,支援活動に加わることになった.その一環として2005年10月から12月まで,タジキスタンより研修員6人を受け入れ,県内の他機関との協力のもとで,研修を実施した.本旨は研修プログラムの企画,内容,評価等の実施状況と,研修のありかたについての考察についての報告である.研修の目的はわが国における母子保健や公衆衛生活動の現状を理解するのみでなく,研修員がこれらの成果を生かして,自国での母子保健の改善や新しいプログラム開発に向けてのアクションプランを作成し,実践することが課せられている.われわれもその目的に向けての研修のあり方の工夫が必要である.(著者抄録)