- 著者
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彦 聖美
大木 秀一
- 出版者
- 石川県公立大学法人 石川県立看護大学
- 雑誌
- 石川看護雑誌 = Ishikawa journal of nursing (ISSN:13490664)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, pp.1-10, 2016
男性介護者は女性介護者と比較して,介護生活が破綻しやすいハイリスク集団である.増加する男性介護者が性別特徴による課題を有する集団として注目されたのは最近のことである.男性介護者の健康支援を考える場合には,社会学等で先行する多くの知見を加味する必要がある.男性介護者の健康は,個人レベルでは,性差,婚姻,経済状況,就業,生活習慣,心理状態,社会的サポート,社会的ネットワークなど,集団レベルでは,ジェンダー,性別役割,家族形態の変化,ワーク・ライフ・バランス,介護保険制度,ソーシャル・キャピタル,地域差などの様々な社会的要因が関与する.今回,これらの要因について現在までに得られている知見をまとめた.男性介護者に対する個人レベル・集団レベルでの包括的な健康支援は,介護者全体を取り巻くより本質的な問題の解決につながり,その結果,性別を問わず,介護者全体が健康に暮らせるような社会につながる可能性が期待できる.