著者
今井 公太郎 遠藤 克彦 大井 鉄也
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
学術講演梗概集 (ISSN:18839363)
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.88-89, 2013-08-30

日本は経済成長期を経て、少子高齢化、省資源化が進んだ成熟社会に向かっている。これに呼応して都市は、スクラップ・アンド・ビルトの時代から、すでに築かれた大量の建物をどのように利用するかを考えねばならない時代に移行している。これからの時代の建築家は、古いモノを活かす文化を社会に根付かせ、<時間>をコンテクストとした建築設計の方法論を育てていく努力が必要である。本プロジェクトでは自然かつ新しい増改築の表現方法を試みている。増築を伴った改修の方法として、「古いものと新しいものの対比を際立たせ、古い部分を尊重しながら、新旧ふたつの空間をバランスさせる手法」が多くの事例でみられる。しかし、新しいものは、いずれ必ず古くなる。新旧の対比という方法には一時的な効果しか期待できない。そこで、本プロジェクトでは、最初から新しいものを古いもののようにつくり、すでにある古いものに馴染ませて空間の質をひとつにまとめる方法を試行している。