著者
足立 泰彦 山下 幸二 沖林 洋平 巖淵 守 上田 邦夫
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.64-69, 2008-06-01 (Released:2014-11-01)

本研究は,プログラミング用フリーソフト「Squeak Toys」によるプログラミング学習における思考過程の構造を分析することを目的としたものである。プログラミング時の思考要因を特定するため,プロトコル分析に基づき21項目の調査票を作成し,プログラミング後の高校生に調査票を回答させ因子分析を行った。その結果,プログラミング時の思考内容要因として,「評価点検」「目的遂行」「課題分解」「空間意識」の4つの因子を抽出し,思考のプロセスは次の3つの関係がみられた。(1)「目的遂行」と「課題分解」はお互いに影響しあっている。(2)「目的遂行」と「評価点検」はお互いに影響しあっている。(3)「空間意識」は「目的遂行」と「評価点検」に補完的に作用している。さらに,性格との関連性を調査したところ,「知性」「勤勉性」「外向性」の3特性は思考要因との相関がみられ,そのうち「知性」因子は「課題分解」要因に,「勤勉性」因子は「空間意識」要因に影響を及ぼすことがわかった。
著者
筒井 洋一 宮田 悦次 中嶋 昌克
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.103-110, 1997

爆発的な勢いで普及するインターネットは、NPO/NGOセクターにおいても、急速に導入されている。そして、NPO/NGOとインターネットの発展は、歴史的にも相互の関連性が強く、両者には、自発性、グローバル性、横の連携といった共通点がある。しかし多くの団体では、インターネットを導入したものの、その特性を十分に生かしきれず、今後に課題を残す形となっている。NPOの一分野として、国際協力活動に従事する国際NGOにおいても同様の傾向が見られる。本稿では、国際NGOに対する当プロジェクトの諸調査とこれまでの研究動向を踏まえて、国際NGOにおけるインターネット利用の現状とその意義について明らかにする。結論として、インターネットは、情報の発信・公開を円滑かつ効率的におこなう情報通信メディアであるだけでなく、社会改革メディアともなりうる可能性について述べる。
著者
皆川 雅章
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.26-31, 2016-06-01 (Released:2016-12-01)

ICTを用いた聴覚障がい学生の情報保障の取組みについて記す。札幌学院大学では1999年から学生と教職員が協働し,障がいをもつ学生を支援する活動を行い,組織づくりを行ってきた。ICTを用いた情報保障の実践事例として,(1)ビデオ教材の字幕入れサービス,(2)パソコンを用いた講義情報の筆記(パソコンテイク),(3)講義中の発話を音声認識を用いて文字化する取組みを紹介する。現行のテイク活動における問題点,将来に向けた改善の方向性を記す。
著者
包 胡日査 中田 充 葛 崎偉
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.56-61, 2014-06-01 (Released:2014-12-01)

本研究は構文木の類似度を測ることによってC言語プログラムの類似性を評価することを目的とし,本論文ではC言語プログラムを構文木で表現する方法を提案する。まずは,C言語の変数宣言文,代入文,制御文,関数呼出文,関数展開等を構文木表現に変換するための構文木部品を設計する。次に,構文木部品を用いてC言語プログラムを一つの木グラフに変換し,XMLによる構文木の表現法を提案する。最後に,提案手法に基づいてC言語プログラムをXML形式で表現する構文木に変換するプログラムについて説明する。
著者
山川 修
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.55-61, 2015

Learning Analytics(LA)は,現在,教室サイズのデータを対象に実施されている。これらのデータを,組織を超えて統合して教育ビッグデータとすることは可能であろうか。これが本稿の基本的な問いである。この問いに答える上で学習者の学習行動をミクロに可視化するLAだけでなく,学習者全体の学習行動をマクロにとらえる教学IRも同時に検討すべきと考えている。本稿では,教学IRを,組織を越えて実施している福井県の高等教育機関の連携プロジェクト(Fレックス)を例に取りながら,LAと教学IRに於いて,組織を越えるデータの収集や分析は,何が可能で,何が難しいかを解説する。さらに,将来に向けて,組織を越えたLAにつながる,可視化した仮説を統一的に説明するモデル構築の方法論を提案する。
著者
湯瀬 裕昭
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.9-14, 1996-11-25 (Released:2015-02-03)

日本の大学のコンピュータ教育を考えるため、イギリスにおけるコンピュータ教育の現状について報告する。イギリスの初等・中等教育の一例としてStantonbury Campusを、高等教育の一例としてThe Open Universityを取り上げる。特に初等・中等教育では、日本とイギリスのコンピュータ教育をカリキュラムの面から比較考察する。両国とも、情報活用能力の育成を目指しているという点では共通している。今後の大学におけるコンピュータ教育は、その内容を、コンピュータリテラシからコンピュータ・コミュニケーションおよび教育メディアとしてのコンピュータ利用へ移行する必要がある。
著者
長瀧 寛之
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.16-21, 2011-12-01 (Released:2014-09-01)

著者は2010年度から岡山大学において,教養教育科目「テレビゲームからみる情報科学概論」を開講している。これは様々なコンピュータゲームの具体例を題材として,それらの特徴を情報科学の視点から概観しようとする点が特徴である。本稿では,特に教養としての情報教育の教材としてゲームを用いるに至った経緯と,2010年度と2011年度に実践した授業の概要を紹介し,本科目が学習者に情報科学への興味を引き出す効果があったことを確認する。
著者
田島 貴裕
出版者
CIEC コンピュータ利用教育学会
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.62-67, 2015

本研究では,教員個人が無料で利用でき,スマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイスをリモコンとして使用するクラウド型クリッカーを導入した講義事例を報告し,特に運用上の課題について検証することを目的としている。学生への調査の結果,(1)クラウド型クリッカー「Clica」を大学の講義で使用することに関しては肯定的である,(2)個人所有のスマートフォンの使用には反対も少なくない,(3)個人所有のスマートフォンを使用する際の一番の懸念はバッテリー(充電)に関すること,といった点が明らかとなった。
著者
田島 貴裕
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.62-67, 2015

本研究では,教員個人が無料で利用でき,スマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイスをリモコンとして使用するクラウド型クリッカーを導入した講義事例を報告し,特に運用上の課題について検証することを目的としている。学生への調査の結果,(1)クラウド型クリッカー「Clica」を大学の講義で使用することに関しては肯定的である,(2)個人所有のスマートフォンの使用には反対も少なくない,(3)個人所有のスマートフォンを使用する際の一番の懸念はバッテリー(充電)に関すること,といった点が明らかとなった。
著者
渡邉 大輔
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.12-17, 2013-06-01 (Released:2014-09-01)

本稿の目的は,数学を苦手とする学生を対象とした社会統計教育の問題とその解決について議論することにある。社会調査士資格の導入によって社会統計教育を受ける文系学生が増えている。そこで,平易な数学と統計ソフトを用いることで,数学が苦手な学生に統計分析手法を教える教育が行われているが,実際には手法を学ぶことまでで講義が終わることが多い。本稿では,社会統計教育の目標が社会調査データを用いて社会を理解する試みであるという基本に立ち返り,解釈中心の統計教育の重要性について論じる。
著者
橘 孝博 吉田 賢史
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.35-40, 2012

ICT(Information and Communication Technology)教育のこれまでの10年を振りかえり,その展開を概観する。はじめに,高等学校での情報科に関して,歴史や教育目標などを確認する。その上で,現在のICT教育の取り組みにおける問題点や課題を考察し,最近よく耳にするようになったデジタルネイティヴたちにどのように対応できるのかも考えてみたい。さらに,高度情報通信社会に積極的に参画するために必要な,情報モラルについても議論する。最後に教育現場におけるこれからの情報化について,いくつかの観点から話題を提供する。
著者
佐藤 和彦 倉重 健太郎 岡田 吉史 佐賀 聡人
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.94-99, 2011

問題解決型のソフトウェア開発演習は,与えられた課題に対するゴールまでの道筋を学生自身が探し出し,解決を目指すグループ演習である。グループごとに開発の進め方や解決方法が異なるため活動状況が見えにくく,グループの能力差によって指導方法も大きく異なる。本研究では,「活動状況」「グループ特性」「課題」の3つの見える化を演習に取り入れることでそれらの問題を解決し,学生のやる気を引き出す「見える」ソフトウェア開発演習を実現する。本稿では演習に取り入れた見える化の工夫について述べるとともに,平成18年度と平成22年度に難易度を変えて同じ課題を実施した演習結果について評価を行う。