著者
谷本 千恵
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.5_61-5_70, 2007

本研究の目的は保健師の当事者グループに対する認識と関わりの実態を明らかにし,セルフヘルプ・グループとしての機能を発揮するための支援方法の基礎資料を得ることである。A県内の保健師348名全員を調査対象者とし自己記入式調査票を郵送した。149名を有効回答とし分析対象とした(有効回答率42.8%)。保健師はサポートグループを立ち上げセルフヘルプ・グループを目指して支援していた。サポートグループとセルフヘルプ・グループに共通の援助機能を認識していたがセルフヘルプ・グループ独自の援助機能についての認識は低いことが示唆された。当事者グループへの支援は当事者の主体性を重視しつつも場合によっては専門職のリーダーシップやサポートが必要と考えていた。9割が当事者グループへの関与は自身にプラスになると認識していた。当事者グループの発達段階に応じた支援方法を検討していくためにも当事者グループの呼称統一の必要性が示唆された。
著者
出羽 恵子 叶谷 由佳 佐藤 千史
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.4_101-4_107, 2004

病院の言葉遣いに対する指導内容と実際の看護職の言葉遣いに対する患者満足度の関連を明確にするために,東京23区・大阪市・島根県・鳥取県で一般病床数100床以上の全病院の看護管理者を対象とし,看護職の「様」呼称・敬語使用の統一状況と,それらのうち,敬語使用統一病院の入院患者(以下,統一群)と不統一病院の入院患者(以下,不統一群)に対し,看護職の実際の言葉遣いと患者満足度を調査した。 「様」呼称統一の割合は入院において低く,敬語使用統一の割合は外来,入院とも高かった。「統一群」の患者は看護職からより丁寧な言葉で話されていることが有意に多かった。「統一群」の患者はより丁寧な言葉遣いを希望することが有意に多く,「統一群」・「不統一群」間で病院や看護職への患者満足度に有意差はなかった。看護職の言葉遣いがより丁寧であるほど,病院や看護職への患者満足度が有意に高かった。
著者
長瀬 睦美 澤田 愛子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.4_17-4_28, 2009

本研究の目的は,喉頭全摘出術を受けて失声した患者が代替コミュニケーション手段を獲得する過程を,彼らの体験や思いに焦点をあてて明らかにし,彼らへの看護的支援の示唆をえることを目的とした。データの収集は半構成的インタビューで行った。研究対象は喉頭ガン・下咽頭ガン等の治療のために喉頭全摘出術を受けて失声した在宅療養中の6名であった。データは質的研究手法により分析した。結果,3つのメインカテゴリーと9つのカテゴリー,31のサブカテゴリーを抽出した。喉頭摘出者は,失声によって様々な体験や思いを余儀なくされているが,彼らを取り巻くサポートは十分であるとはいえないのが現状である。今後は,発声会の役割を充実させ,家族,そして医療関係者との連携を強化し,社会的なサポートシステムを確立していくことが重要であり,看護師等の医療関係者の一層の介入が望まれる。