著者
藤野 成美 脇﨑 裕子 岡村 仁
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.2_87-2_95, 2007-06-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
40

本研究の目的は,精神科における長期入院患者の苦悩の訴えの構造を明らかにし,その概念分析を行うことである。対象は,精神病院に5年以上入院中であり,本研究に同意の得られた男性26名,女性8名である。参加観察及び半構成的面接を行い質的記述的研究を行った。その結果,精神科における長期入院患者が経験する苦悩として,【孤独感への脅威】【精神疾患を抱えて生活する苦悩】【社会適応能力の低下から生じる生活の困難性】【実存性が脅かされることへの不安】【自己受容性の低下に伴う苦悩】が抽出された。苦悩とは生きる過程におけるその人の信念や価値態度,患者の認知的な要素と深く関連している。そのため,患者の苦悩を評価することは,患者のQOL向上の一端を担う重要な精神的ケアであることが示唆された。
著者
戸ヶ里 泰典 山田 正己 泉 キヨ子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1_115-1_123, 2004-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
39

尿路カテーテル装着患者への尿路感染予防のための外尿道口周囲のケア(meatal care)は,様々な根拠に基づいた多種の方法で実施されていることが多い。そこで米国や英国のレビューやガイドライン,RCT研究等を概観し,尿路感染予防に効果的な外尿道口ケア方法を検討した。その結果,短期間(~7日)の留置に限る場合にはポビドンヨードによる消毒や石鹸洗浄の実施,抗生剤軟膏の塗布が細菌尿の出現に関連するという報告から,これらの実施を控えることが望ましいことがわかった。一方,中期間(7~30日)および長期間(1ヶ月以上)留置の場合,根拠とすべき研究は未だ報告されていない。すなわちEBNの観点より,尿路感染予防のための外尿道口ケアとは,通常の身体保清のみであるといえる。また今後,長期留置患者では感染防止に加え,顕性感染予防のためのケア方法の探究といった,視野を広げた研究が必要と考えられる。
著者
白砂 恭子 渕田 英津子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
pp.20190716061, (Released:2019-11-08)
参考文献数
26

目的:日本における高齢者が健康に独居生活を送れる条件を検討する。方法:『医中誌Web』で検索し,18件を分析対象文献とした。結果:高齢者自身の条件である〔個人の特性〕〔意図した活動〕〔日常生活活動の維持〕と,高齢者を取り巻く条件である〔孤独との向き合い方〕〔安心できる生活環境〕が抽出された。高齢者が健康に独居生活を送る記述内容は,19の身体的健康,20の精神的健康,27の社会的健康に分類された。結論:高齢者自身の条件は,生活習慣や価値観などは個々で大きく異なるため,高齢者自身が物事を能動的に決定できることが健康な生活の継続に関係していると推察された。また,高齢者を取り巻く条件は,他者との関係性や生活環境が要因になると考えられた。さらに,社会的健康が多く分類されたことから,高齢者が健康に独居生活を送るためには人や社会とのつながりが重要であることが示唆された。
著者
山田 理絵
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.5_1021-5_1032, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
53

目的:看護師の直観に基づく意思決定に関する研究の動向を整理し,今後の研究課題を明らかにする。方法:PubMed,MEDLINE,CINAHL,医学中央雑誌Web版を用いて“intuition(直観)”“intuitive”“decisionmaking(意思決定)”“nursing(看護)”“nurses(看護師)”をキーワードに2017年9月までに発表された論文を検索し22件をレビューの対象とした。結果:22件の文献を分析した結果,【直観に基づく意思決定と経験】【看護実践における直観に基づく意思決定】【直観に基づく意思決定を育むストラテジー】の3つのカテゴリーが抽出された。介入研究は見当たらず,探索的研究と記述的研究のみであった。結論:今後は直観に基づく意思決定の思考プロセスの探究のため,他の学問分野と協働しその構造を具体的で簡潔に提示する必要がある。
著者
白砂 恭子 渕田 英津子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.5_921-5_931, 2019-12-20 (Released:2019-12-20)
参考文献数
26

目的:日本における高齢者が健康に独居生活を送れる条件を検討する。方法:『医中誌Web』で検索し,18件を分析対象文献とした。結果:高齢者自身の条件である〔個人の特性〕〔意図した活動〕〔日常生活活動の維持〕と,高齢者を取り巻く条件である〔孤独との向き合い方〕〔安心できる生活環境〕が抽出された。高齢者が健康に独居生活を送る記述内容は,19の身体的健康,20の精神的健康,27の社会的健康に分類された。結論:高齢者自身の条件は,生活習慣や価値観などは個々で大きく異なるため,高齢者自身が物事を能動的に決定できることが健康な生活の継続に関係していると推察された。また,高齢者を取り巻く条件は,他者との関係性や生活環境が要因になると考えられた。さらに,社会的健康が多く分類されたことから,高齢者が健康に独居生活を送るためには人や社会とのつながりが重要であることが示唆された。
著者
田甫 久美子 稲垣 美智子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.5_39-5_49, 2009-12-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
49

目的:若年男性労働者の就職以降に体重増加に繋がる8要因とその背景48項目からなる6件法の「体重増加に繋がる思考・行動のパターンを見出す質問紙」を作成することを目的とする。 方法:事業所常勤の25~35歳の男性197名を対象とした。作成した質問紙は、主成分分析を用いて検討した。結果:対象者の62.8%に就職以降3㎏以上の体重増加を認め、そのうち43.9%に10㎏以上の体重増加を認めた。主要2成分から採用した設問18項目の回答合計を用い6割以上の10㎏以上体重増加者および肥満者の判別と、そのスクリーニングが可能であり、また48項目から3タイプの肥満者の体重増加に繋がる思考・行動パターンが類型化できた。 結論:若年男性労働者の就職以降の体重管理に用いる保健指導ツールとして「体重増加に繋がる8要因とその背景48項目の質問紙」は有用であることが示された。
著者
山口 恵子 稲垣 美智子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.2_79-2_90, 2012-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
28

本研究の目的は,FBSSの患者が手術や痛みの体験と生活にどのような意味づけをしているのかを明らかにすることである。外来通院のFBSSの患者10名を対象に半構成的面接を実施し,M-GTAで分析した。 その結果,手術や痛みの体験と生活の意味づけには『だましだまし付き合う』と『治療を探す』の2つがあった。『だましだまし付き合う』は,《手術が振り出し》から始まり,手術の結果を【とりあえず納める】,そして《痛みと取引しながらの生活》《痛みをもったまま生活することの弱さからの脱出》と時間の流れとともに生活の幅が広がる意味づけであった。『治療を探す』は,《手術が振り出し》の体験から始まり,痛みや症状が残ったことで【腑に落ちない】と考え,《痛みにとらわれた生活》に留まる意味づけであった。生活の知恵としてできた『だましだまし付き合う』は,今後,FBSSの患者教育の内容として重要であることが示唆された。
著者
高橋 方子 布施 淳子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.1_49-1_60, 2014

目的:在宅療養高齢者の終末期医療における意思の尊重は重要であるが,意思を尊重するうえで,自己表現を十分なし得ない高齢者の意思を如何に把握するかが今後の課題である。本研究は,在宅療養高齢者の終末期医療の意思把握に訪問看護師が必要なコア情報の特定を目的とした。 方法:訪問看護師5人に対する面接調査結果およびバリューズヒストリーの内容をもとに,意思把握に必要な情報として57項目を抽出し,訪問看護師756人を対象に郵送法にて調査を実施した。有効回答率は14.2%(107人)だった。これらの情報について探索的因子分析を行い,得られた結果をもとに高次モデルを作成して,検証的因子分析により適合度を検討しコア情報の特定を行った。 結果:探索的因子分析の結果,11項目3因子が抽出された。意思把握を二次因子,抽出された3因子を一次因子とする高次モデルを仮定したところ,適合度指数はGFI= .909,AGFI= .835,CFI= .947,RMSEA= .057と良好な値であった。 結論:本研究の結果, "悔いなき終焉" "つつがない暮らし" "生き方の手がかり" の3因子がコア情報とてして特定された。
著者
成田 栄子 水上 明子 栄 唱子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.2_26-2_31, 1982

本調査は,第一報に引き続き生後7か月児について夜泣きの要因の検討を行ったものである。対象は受診児821人中夜泣き児89人である。今回は夜泣き群を二群に分け,夜泣きが長期間で泣き方のひどいものをA,長期間で泣き方のひどくないものをBとした。 その結果,A・B群に共通しているものは就寝時少しの物音にピクつく,湿疹の既往,夜間授乳や添寝・添乳の習慣,あやしすぎ,日光浴を行っていない,母親は神経質な傾向がある等の要因がみられる。一方,Aに特徴的なものは,下痢と発熱の既往,最終授乳時刻が遅いか或は決っていない等であり,Bに夜間授乳を出生時より継続している。離乳食の進行状態がよくない等養育にかかわる要因が多い。
著者
佐藤 美紀子 百田 武司
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.2_311-2_325, 2022-07-20 (Released:2022-07-20)
参考文献数
88

目的:脳卒中後のアパシーに関する研究の動向,実態,予防・改善が期待できる介入方法を明らかにした。方法:PubMed,医学中央雑誌から抽出した75文献を分類,要約,記述した。結果:内容は「レビュー」9件,「発症メカニズム」14件,「治療」14件,「評価スケール」7件,「実態」12件,「関連要因」15件,「メタアナリシス」2件,「介入研究」2件に分類された。近年,質の高い研究が行われつつあったが,実態と介入方法に関する科学的根拠は十分に構築されていなかった。アパシー発症率は4割弱,発症には「脳卒中発症回数」「うつ」「認知機能障害」が関連した。脳病変部位,脳卒中病型,年齢,脳卒中発症後の時間,臨床的アウトカムの重症度との関連については知見が一致していなかった。予防・改善が期待できる介入方法として,脳卒中再発予防,認知行動療法,問題解決プロセスの促進,行動活性化が見出された。結論:実態解明,介入方法の確立が求められる。
著者
白井 喜代子 松岡 淳夫
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1_73-1_81, 1990-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
16

The purpose of study is to obtain the relation of the bed-lying positions with intraabdominal pressure which is concerned to the respiratory and circulate function. The knowledge is important to select the bed-lying position for the effective nursing care to patient with the probrem of respration and / or circulation.The method : For the chair-sitting posistion, standing position, and bed-lying positions holding by 15°, 30°, 45°, 60°, 75°, 90°, up the upper half-body to the horizon by the gadget bed, the intra-abdominal pressure, the amplified respiration curves on chest wall and abdominal wall, the electromyogram with electrod on the surface of M. obliquus ext. abd. and M. rectus abd., and the rate of pulseusing E.C.G., were examined under the states of the quiet respiration, the forced respiration and the strains during inspiration and exspiration.The equipment to measure the intraabdominal pressure was consisted of the pressuresensitive radio transducer and the gastric-tube type receiver which was deviced by us. After the top of receiver was settled certainly on 45cm distance from the incisor, we measured the intragastric pressure which was approximately as the intra-abdominal pressure (P.R. DAVIS.).The volunteer subjectswere 10 healthy nurses with the age of 19~39 years.The results were as follows:1) The highest intraabdominal pressure was observed by the inspiraton with strain, and the less higher pressure was seen by the exspiraton with strain, the forced respiration and the quiet respiration.2) Under each type of respiration and strain form, the intraabdominal pressure increased according to the degree of holding up the upper half-body, and the highest was obtained 28.3mmHg by the inspiration with strain by 90°holding up position.3) The difference of pressure between of the inspiratory and the exspiratoly strain by the every bed-lying position went down almost on the same way. The difference of pressures between the quiet respiration and those with strain, was tended to increase acording rais-ing the upper half-body.4) The type of respiration was ofserved as the chest type when the upper half-body was laid horizontally, but it came gradually into the abdominal type during the rpper half-body was raised.5) On the electromyogram, the action potential of the abdominal wall muscles tended to decrease acording to lift up the upper half-body by each form of the respiration and the strain.Holding the upper half-body with some angle to the horizon seems to be significantly effective for the nursing plan to control the intra-abdominal pressure such as by chance of cough, expectoration, defecation and labor.
著者
春田 佳代 山幡 朗子 篠田 かおる 伊藤 眞由美 春日井 邦夫 鈴村 初子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.5_71-5_75, 2011-12-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
17

浣腸による直腸損傷事例は,年間数例報告されている。一要因として,カテーテル挿入の長さが考えられるが,基礎看護技術の書籍に記載されている長さはさまざまである。そこで,下部消化管造影の画像を用いて,浣腸時の体位である左側臥位での成人の生体による肛門縁から直腸前壁までの長さを調査し,安全なカテーテル挿入の長さを検討した。 その結果,性別による肛門管直上部から直腸前壁までの長さに有意な差は認められないため,性別によりカテーテル挿入の長さを変える必要性はないと考えられた。また,年齢が高くなるにつれて,肛門管直上部から直腸前壁の長さが長くなる傾向がみられたが,年齢層別の最小値と最大値に大きな差がみられた。したがって,左側臥位でカテーテル挿入時に直腸前壁に損傷を与えない安全な長さは,測定最小値の2.9cmに解剖学的肛門管2.5cmを加えた5.4cm以下であり,基礎看護技術の書籍では5.0cm以下とすることが安全である,と考えられた。
著者
平賀 愛美 布施 淳子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1_97-1_107, 2007-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
40

本研究は,新卒看護師のリアリティショックの構成因子を明らかにし,その関連要因を検討した。対象は,東北地方の病床数500床以上の一般病院24施設に勤務する平成16年度新卒看護師408名とした。その結果,新卒看護師のリアリティショックの測定項目は62項目で,その構成因子として「職場の人間関係」,「看護実践能力」,「身体的要因」,「精神的要因」,「業務の多忙さと待遇」,「仕事のやりがい,楽しさ」,「業務への責任感」,「患者の死に関する対応」が抽出された。これらの因子は,KMO標本妥当性が0.92であり,累積因子寄与率は42.52%,Cronbachのα係数は0.67から0.92であり信頼性は確保された。また,新卒看護師は特に「精神的要因」,「看護実践能力」についてリアリティショックを感じていた。リアリティショックは,配属された病棟の種類,診療科の複雑さと離職願望とに影響を受けることが示唆された。
著者
後藤 喜広 伊藤 桂子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.2_231-2_244, 2022-07-20 (Released:2022-07-20)
参考文献数
35

目的:総合病院で働く男性看護師が看護師からのセクシュアル・ハラスメント(以下,SH)被害を受けたのち,働き方を構築するプロセスを明らかにする。方法:SH被害経験のある男性看護師14名に対して半構造化面接を行った。得られたデータを逐語録に起こし修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手順で分析を行った。結果:分析の結果,21の概念が抽出された。男性看護師は自身の経験から,性被害・加害の両義的な当事者性がわかると,強者であらねばならない女性看護師を理解するに至り,職場でSHが発生する意味を捉えられるようになっていった。結論:男性看護師は加害者との社会的相互作用によって対処行動が培われたり,職場内の力関係を把握したりするようになっていった。SHを経験した男性看護師が働き方を構築するプロセスとは,女性優位の職場環境において権力構造を理解し自己の成長へと昇華する防衛機制であった。
著者
服部 朝子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.4_78-4_88, 1986-09-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
19

人間を統合された全体的存在として捉える立場は,看護科学の立場として諸家の同意を得ている。そして,人間の統合性・全体性を表現する上で,時間・空間概念が重要な鍵を握っている。しかし,看護を学び始めて間のない学生達が,「統合された全体的存在」という意味を,真に理解することは甚だ難しい。そこでその意味を,学生達に実感的に理解させるために,視覚遮断状況下で日常生活活動を体験させる試みを行った。その結果,視覚遮断状況下では,1)空間認知が曖昧で不鮮明になり,2)残存感覚を用いても抽象概念の把握が困難であり,3)動作が緩やかで大きくなるため,結果として時間認知が実際よりも遅くなる。それに伴い日常生活動作は,残存感覚をフルに生かし,行動をパターン化するというように変化する。視覚遮断状況下での体験学習は,統合された全体的存在の意味を理解する上で,学習素材として意義がある。