著者
安念 潤司
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.143-172, 2016-09

株式会社が支払う政治資金パーティーの対価のうち、当該パーティーに出席しなかった人数に対応する金額が政治資金規正法4条3項にいう「寄附」に当たるか、という問いに対して、出席の予定がもともとない場合であれ、あるいは、チケット購入時にはあったがその後の事情によって出席できなくなった場合であれ、対価の支払額が同法所定の上限額150万円以内であれば寄附には当たらない、と答えるものである。
著者
安念 潤司
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.93-118, 2019-03

本稿の中心的な検討対象である伊方3号機広島高裁決定について、先行する裁判例を分析しつつ、その発想の特色を、立証責任の配分という法律家に馴染み深い考え方に沿って説明した。併せて、本決定がいかなる意味で「科学裁判」であるのか、そうであるとして、裁判所の判断能力が当然に劣るといえるか、についても検討した。
著者
安念 潤司
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.103-123, 2014-12

本邦に在留しない外国人(いわば「在外外国人」)が日本国憲法上の権利を享受するのであろうか、また、享受するとしてどの程度においてなのであろうか。この問題は、マクリーン事件最高裁判決では明示的には触れられなかった。本稿では、外国法人の日本国内における行動が憲法上の保護を受けるのか、という問題を立てて、それを事例問題形式で考察した。解説の行論上、内閣総理大臣の行政各部に対する指揮監督権の意義についても触れた。
著者
安念 潤司
出版者
中央大学法科大学院 ; 2004-
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.139-167, 2020-12
著者
安念 潤司
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.127-146, 2018-12

火山噴火についての基礎的知識を整理した後、伊方原発3号機について火山影響評価がどのようになされたかを概観したもの。
著者
宮原 均
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.85-101, 2014-12-20

本稿においては、先例拘束の国とされるアメリカにおいても、先例変更がかなり行なわれている点に着目し、その問題点を検討した。まず、先例変更がもたらすメリット・デメリットを指摘し、次に、先例拘束を根拠づける理論がいかに形成されてきたかに関して歴史的にフォローした。「法宣言説」や「議会沈黙論」に触れた後に、社会等の変化に対応するために先例変更も認められるようになってきたが、先例を信頼した当事者に対する不意打ちを避ける必要があることが強く認識されるようになった。そこで、「区別」等による先例への漸進的浸食の意義と将来効判決の必要性を指摘した。
著者
酒井 克彦
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.47-62, 2017-03-31

平成23年に国税通則法が改正され、税務調査手続に関する各種の規定が設けられた。そこでは、修正申告の勧奨をすることができる旨の規定は新設されたものの、その勧奨の在り方に関する規定は存在しない。これまでは、納税者の明確な拒絶に反して繰り返し修正申告を勧めるといったケースなど、法の趣旨を逸脱すると認められる場合に当たらない限り、修正申告の勧奨の違法性が問われることはなかったと思われる。しかしながら、投資者保護あるいは消費者保護法制が想定するような「誤解をさせる行為」や「困惑をさせる行為」は、修正申告の勧奨の場面においても同様にあるのであるから、これらの行為が抑制されるような立法的手当はあり得るのではなかろうか。本稿では、この点についてのルール化を図る必要性について論じている。
著者
齋藤 航
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.71-98, 2019-06-30

Some cases of comparative negligence in contract law have found fault by the injured party in breaching a duty contemplated by the agreement. Other cases, however, have gone beyond that. They have found the injured party at fault because of unreasonable actions, despite the absence of a clear agreement.In contractual duty cases, the rationale of comparative negligence is based on the expression of the agreement of both parties. However, that analysis falters in non-contractual duty cases. Why should an injured party be required to behave reasonably in the absence of a contractual obligation? The presence of an agreement or contract is not enough to explain all cases of comparative negligence.
著者
齋藤 航
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.43-67, 2019-03

The justification of "comparative negligence" has primarily been discussed in tort cases. The most popular explanation is "fairness" to both parties. Courts have adopted this approach and have considered the circumstances of victims that affected the damage caused by other parties. Counterarguments have been made, however, that "fairness" is too ambiguous to serve as a justification . In considering comparative negligence in contract cases, the behavior of parties can be thought to be regulated by their agreement . In other words, fault should be found in accordance with their contract. This opinion affected the 2017 amendment of the Civil Code.
著者
安念 潤司
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.33-61, 2013-06-30

日本音楽著作権協会(JASRAC)は、多年にわたり、ライセンスの方法として「包括許諾」「包括徴収」と呼ばれるブランケット方式を採用してきた。これに対して公取委は、私的独占に当たるとして排除措置命令を発したが、JASRACの審判の申立を受けた公取委は、原処分を取り消す審決をなした。この審決に対して、JASRACの競争事業者がその取消しを求めて東京高裁に出訴した。競争事業者は、排除措置命令取消審決を争う原告適格を有するのであろうか。本論文は、独禁法、行訴法はもとより、特許法、民訴法など関連の法分野の制度や議論を鳥瞰しつつ、競争事業者に原告適格はないとする結論を導いたものである。
著者
長井 圓
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.3-68, 2017-09-30

Death occurs inevitably whenever whole-brain failure is irreversible. In the conventional process of human death, brain death occurs 4-10minutes after the reversible arrest of cardiorespiratory functions. The irreversible loss of beating and breathing leads to a lack of blood circulation. However, other organs and tissue remain alive for different periods of time. In the case of brain death with cardiopulmonary functions, homeostasis is maintained by a respirator and integrated care unit. This homeostasis is neither real nor indicative of a vital organism. It is just mechanical, not spontaneous. Physicians, of course, must treat patients with respirators whenever possible and effective after cardiorespiratory arrest. We can never return to the traditional cardiorespiratory definition of death. How could we make the definition dependent on the death of all cells in the entire organism? The criteria of brain death were developed as a means of making the decision to discontinue treatment in terminally ill patients, when further efforts would offer no benefit. Inflicting only pain is illegal, a cruel abuse of the technology.
著者
長井 圓
出版者
中央大学法科大学院 ; 2004-
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.45-77, 2016-09

現場再現を含む実況見分(検証)に記載される立会人(犯行現場を目撃したとされる人)の供述は、これを見分した捜査官が直接に作成する同人の供述調書として重要な役割を刑事手続で果す。しかし、この立会人「供述の存在」を動機として捜査官が作成した調書を、見分者の検証結果を報告した書面(刑訴法321条3項)と解することは、伝聞法則を潜在するおそれを内在している。また、かかる書面を立会人の「現場供述」と区別して「現場指示」とする見解も、その名称にもかかわらず、これを訴因事実の認定に用いることは許されない。なぜならば、その調書の記載内容は、「立会人の供述」に他ならないからである。これを「現場指示」と僭称することは、伝聞法則の潜脱」を許容することになる。さらに、かかる書面につき、立会人の「供述の存在」を要証事実(立証事項)とするがゆえに、非供述過程としての証拠能力が付与されるとの見解も、その形式的な説明にもかかわらず、法則潜脱のリスクを免れない。現に「立会人の供述」であるとの実質的性質は不変であるからである。たとえ手続的事実の証明に用いられるとしても、特に「裁判員」に対しては、要証事実を峻別した心証形成を期待するのは無理である。よって、「伝聞法則の潜脱」を回避するには、立会人を公判で被告人または証人として供述させ、その際に見分調書の内容を確認させ、これを供述の一部とすることが要請されよう。
著者
中野目 善則
出版者
中央大学法科大学院 ; 2004-
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.3-27, 2016-09

覚せい剤の所持に関する不審事由で停止させた車両の座席をずらせる等して車内を検査した捜査活動を、違法だが証拠を排除しないとした第一京浜事件最高裁判決を、この状況での自動車の車内のプライヴァシーの期待の程度と不審事由の観点から検討し、憲法上の一般探索的捜索・押収の禁止の原理を踏まえれば、一般探索的検査に当たらない適法な活動と判断すべき場合であり、違法か否かを捜索・押収法の原理に照らして十分に検討することなく、違法だとして証拠を排除しない処理をするという判断をすべきではなく、違法と証拠排除を区別して検討すべきことを説いた論文。
著者
勝野 真人
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.193-252, 2013-12-20

行政裁量行為に対する司法審査方式を参考にしつつ,経営判断原則及び我が国における取締役の経営判断についての司法審査方式の将来の方向性を考察するもの。
著者
河谷 清文
出版者
中央大学
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.55-64, 2015-03

神戸電鉄の負担により公道上に設置されたタクシー待機場所を使用しようとした個人タクシーに対し、神戸電鉄子会社の神鉄タクシーが物理的に取引を妨害した行為につき、差止請求を認容した事例
著者
神山 啓史
出版者
中央大学法科大学院 ; 2004-
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.47-71, 2016-06
著者
安念 潤司
出版者
中央大学
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.33-61, 2013-06

日本音楽著作権協会(JASRAC)は、多年にわたり、ライセンスの方法として「包括許諾」「包括徴収」と呼ばれるブランケット方式を採用してきた。これに対して公取委は、私的独占に当たるとして排除措置命令を発したが、JASRACの審判の申立を受けた公取委は、原処分を取り消す審決をなした。この審決に対して、JASRACの競争事業者がその取消しを求めて東京高裁に出訴した。競争事業者は、排除措置命令取消審決を争う原告適格を有するのであろうか。本論文は、独禁法、行訴法はもとより、特許法、民訴法など関連の法分野の制度や議論を鳥瞰しつつ、競争事業者に原告適格はないとする結論を導いたものである。
著者
棚瀬 孝雄
出版者
中央大学
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.3-38, 2014-12

本稿は、著者が退職にあたり40年あまり法社会学研究に従事した、その研究の総体を自らふり返ったものである。当初、川島武宜の問題意識を受け継ぎ、法が理念的な形で機能する社会実現のために、法の機能化を妨げる日本人の法意識や、裁判・弁護士等の法制度の問題点を実証的に明らかにする仕事を行ったが、比較のために、法がより大きな役割を果たしているアメリカ社会を分析する中で、個々の法や制度を、背後の法秩序の中に位置づけて理解する視点を身につけていった。弁護士論や、裁判手続、司法制度、裁判外紛争処理などの制度分析がこの時期の研究である。 その後、社会科学全般の大きなパラダイム転換があり、解釈主義、批判理論、ポストモダン、共同体論などの理論を著者も積極的に摂取し、法のより深い分析を行った。法社会学は、これらの現代社会理論を援用することで、法を所与のものとして、その実現のみを対象とする研究と一線を画し、また、社会を法に対して受動的な、一義的な記述が可能なものでなく、重層的な意味の体系に覆われているものとして見ることで、社会に埋め込まれたものとしての法の現実の姿により肉薄することができる。 著者は、その研究生活の後半を、こうした視点で、法の理論だけでなく、その応用としての法解釈理論の分析を行い、憲法から民法まで法律学者との学問的対話も行ってきた。 最後に、今、弁護士として法実務を行っている著者が、この法社会学の研究をどう実務に活かしているのかを述べている。After 40 years of academic career, the author reflected upon his socio-legal studies. First, he started as a modernist, in the sense that to modernize Japan by establishing the rule of law and to get rid of the feudalistic elements in Japanese society was an urgent task. So, the author analyzed the Japanese legal consciousness which hindered the people to access to law, and the legal institutions which were not well attuned to promote the rule of law. Alternative dispute resolutions were also studied.Then, in social sciences the big paradigm change occured, so-called ""interpretive turn"". The human society is made up of the thick layers of meanings, and the people interact, and build institutions and organizations by interpreting the actions of each other to make sense and react to what he understands to be the other's intention. The author incorporated this new social science paradigm into the studies of law, and analayzed the legal institutions in much deep level as immersed and entrenched in society.The postmodernism, communitarianism, and critical legal studies were the perspectives that the author was guided in these in-depth analysis of the institutions. Legal rules and precedents of various laws, such as constitution, contract and tort were also analyzed by positing the interpretation of laws itself was a part of, and in consequence of such human interactions, and thus amenable to interpretive social science analysis.Finally, as the author is now engaged in legal practice as a lawyer, he reflected upon how his socio-legal studies were made relevant to the practice.