著者
藤永 太一郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.400-403, 1985

環境化学は, 人間活動の効果を考慮に入れた自然科学と技術の一分野である。したがって総合科学の代表的なものの一つであるが, 学術としての基礎が確立していないために公害対策技術と誤まって考える向きが多い。本稿では健全な環境の基本条件を化学の立場から考え, また将来の環境工学のあり方について述べる。環境化学の学問としての基礎は, Empedoklesが提唱したとされる4元説にあると考え, 気圏, 水圏, 岩石圏の化学反応と平衡を考察する。このため本稿の内容は主として化学であるが, 物理学, 生物学, 地学はもとより, 一部は社会人文科学の領域にも係っている。
著者
竹中 敏文
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学教育 (ISSN:24326542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.388-390, 1985-10-20 (Released:2017-09-15)

「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」というように我々の脳の中はどんな時でも電気信号がかけめぐっている。この信号はスパイク状の活動電位とシナプス電位の二つに大別できる。さらに神経細胞自体静かにしている時でも-50から-100mVという静止電位をもっている。これらが複雑に組み合わさって脳の働きが形成される。我々が夢をみたりするのはこれら信号の組み合わせである。ここでは個々のこれら信号について述べる。
著者
松浦 昌孝
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.418-421, 1984

「液晶」は, 1973年, 電卓用表示素子として初めて実用化され, 工業製品として誕生した。今日までわずか10年ほどの間に, 電卓, 腕時計, ゲームマシンを代表とする小型電子機器の表示素子として欠かせぬものとなってきている。本稿では, なぜ液晶がこれだけ急成長したのか, その背景と表示素子としての特長について述べよう。また, 液晶の代表的な表示素子(ツイステッド・ネマティック型液晶表示素子)を中心に, その動作原理の概要を述べよう。