著者
宮田 靖志
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 = Medical education (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.13-19, 2013-02-25

1)全国の医学生が製薬企業との接触行動をどの程度経験しているかを2012年に調査した.<br>2)全体で5,431名から回答が得られ,内訳は4年生1,755名,5年生2,222名,6年生1,454名であった.臨床実習前と後の学生数はそれぞれ,1,755名–0名,853名–1,369名,53名–1,401名であった.<br>3)文房具授受,製品説明パンフレット授受,製品説明会への出席,弁当飲食は,実習前20–37%,実習後95%以上の医学生が経験していた.懇親会への出席,タクシーチケットの授受は,実習前約10%,実習後約60%が経験しており,食事会・宴席への出席は,実習前約8%,実習後約40%が経験していた.<br>4)多くの医学生が製薬企業との接触行動を経験しており,その頻度は臨床実習参加後に有意に増加していた.
著者
丸井 英二
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 = Medical education (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.147-150, 2012-06-25

&nbsp;&nbsp;公衆衛生(学)はpublic health を日本語に翻訳した用語であるが,日本語と英語の意味するところは必ずしも同一ではない.そこには歴史的背景によるズレがある.わが国の医学教育における公衆衛生学の位置づけは,むしろ基礎医学,臨床医学そして「社会医学(social medicine)」として,医学の一部として位置づけられることが望ましい.Public health としての公衆衛生学は医学と並行したかたちで独立した領域として,医学生のみならず広い対象について教育を行うことが,「公衆衛生大学院」において始まっていることは,今後への期待となる.
著者
西城 卓也 菊川 誠
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 = Medical education (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.133-141, 2013-06-25
参考文献数
36

●教授法や学習方法の選択においては,教育目標の分類との整合性や将来目指すべき学習者像との一貫性を図る必要がある.<br>●目指す学習者像として,成人として主体性のある学習者,自己主導的学習者,成熟したメタ認知を持つ学習者,省察的実践家,協同的学習者がある.<br>●海外の教育理論を応用するにあたっては,文化的差異を考慮するとともに,自らの柔軟な学習観と順応性にも焦点を置く.<br>●講義・小グループ討議・一対一教育が学習方法の基本である.それぞれの長短所を考慮した組み合わせを通じて学習方略が構成でき,唯一無二の学習方略はない.<br>●学習者は,より多様な学習方法への暴露と,学びに適した学習環境での学びを好む.
著者
宮田 靖志
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 = Medical education (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.95-104, 2009-04-25
被引用文献数
5
著者
錦織 宏
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 = Medical education (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.242-246, 2009-08-25
被引用文献数
2
著者
浜田 久之 リー シエリー ガバンラスル アバス 近藤 久義 江崎 宏典 大谷 尚 バティー ヘレン P
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 = Medical education (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.325-335, 2010-10-25
参考文献数
14

日本では,近年臨床研修指導医に対する評価の必要性も高まっている.欧米では,標準化学生,複数のステーション,ビデオによる記録,観察スコアによる複数の評価者等を基本としたObjective Structured Teaching Evaluation(OSTE:客観的指導能力評価)が開発され指導医の評価方法のひとつになっている.今回我々は,日本でのOSTEを実施し分析を行った.<br>論点<br>1) 5つのステーション,標準化研修医,ビデオによる記録,7名の評価者によるOSTEに10名の臨床研修指導医が参加した.<br>2) チェックリストと5段階スケールによる指導医の指導力評価の他に,チェックリストの信頼性と妥当性を評価した.指導医の背景因子による分析もおこなった.<br>3) 「指導医講習会参加歴有り」,「教育歴5年以上」,「非内科医」の因子が,チェックリスト得点とスケール得点で有意に高かった.評価者間での個人差はなかった.<br>4) チェックリストに関する一般化可能性係数は0.81,信頼度指数は0.83であった.チェックリスト得点とスケール得点との相関係数は0.8であった.<br>5) 参加者に関するバイアス等があったが,OSTEによる客観的な指導能力評価は可能と考えられる.今後,さらなる研究が必要である.
著者
菊川 誠 西城 卓也
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 = Medical education (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.243-252, 2013-08-25
参考文献数
28

●代表的な学習方略について事例を添えて概説する.<br>●講義は,大人数を対象にする場合,多くの情報を系統だって提供できる利点がある.<br>●問題基盤型学習とは,能動的小グループ学習による現象の提示(シナリオ)を学習のきっかけとする学習方略である.<br>●早期臨床体験実習は,医学部入学後,比較的早期に現場を体験させる実習である.<br>●医療安全の観点からシミュレーション教育の重要性が増してきている.<br>●参加型臨床実習と卒後臨床実習は,認知的徒弟制と正統的周辺参加論を理論的背景にしている.<br>●継続的専門能力開発を考える上で,省察的実践家という概念が有用である.