著者
安藤 和代
出版者
千葉商科大学国府台学会
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.35-54, 2018-11-30
著者
西川 俊作 ニシカワ シュンサク Shunsaku NISHIKAWA
雑誌
千葉商大論叢
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.29-48, 2003-03-31

1868年の初夏,彰義隊討伐戦の当日,砲声の響くなかで福沢諭吉がF・ウェーランドの 『経済学』を講義していたことは,『自伝』に語られている有名なエピソードである。ところが翌年になると彼は『経済学』の講義を小幡篤次郎に譲り,自分は(小幡の見つけてきた)同じ著者の『道徳科学』の講義担当に代わっている。福沢はそこに,在来からの仁義五常の道徳諭とはまったく異る,新しい「修身諭」を見出したのである。ウェーランドはバプティスト派のブラウン大学の学長を務める聖職者であったから,その経済学は牧師派経済学の典型であったし,ましてや倫理学原理はキリスト教々義にもとづくものであったけれども,実践倫理は独立の個人と社会を成り立たせているreciprocity (相互いの精神)を軸とした所説であった。福沢は『学問のすゝめ』2,6~8編では,自由や,国法の尊重,国民の義務など,宗教色を排したトピックスをウェーランドによって教え説している。慶応義塾のカリキュラムを見ると,1870年代の終わり頃まで『道徳科学』のみならず『経済学』の親版ならびに縮約版が中級,初級のテキストとして使われているが,その間に上級生は先生とともにギゾーやミルを読み始めていたことが推察できる。
著者
穐山 守夫
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.41-72, 2007-12

本稿は,日本の社会保障における新自由主義政策の展開の意義と問題点を検討するものである。その骨子はこうである。弱者保護等のための社会的規制の多い社会保障の分野でも,既得権益を追求する集団の意向を受けた政府支出の安易な拡大と財政赤字の慢性化や官僚機構の肥大化により政府の失敗が目立つようになり,また予想を上回る少子高齢化社会の進展により社会保障財政の逼迫等が生じており,その改革が要請される。そこで個人の自立や営利企業の効率性を重視する新自由主政策を推進する必要があるが,本来,自発的協力の原理が機能した分野を社会化した社会保障の分野は,経済システムの効率原理である市場原理が他の分野より機能しないから,市場の失敗がより多く生じる。これらの失敗を是正するためには,強制力を有する政治システムによる公正を目指す公的活動だけでなく,消費者指向の効率的企業活動を補完する家族・近隣の人・ボランティアや組織された福祉活動を行うNPO・社会的企業等の第三の主体の人間味の強い福祉的活動も必要である。
著者
永井 克昇
出版者
千葉商科大学国府台学会
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.183-194, 2017-09-30
著者
齊藤 壽彦 サイトウ ヒサヒコ Hisahiko SAITO
雑誌
千葉商大論叢
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.49-106, 2003-03-31

本論文において,日本銀行が大手銀行などから直接にその保有株式を買入れた問題を実証的,総合的に考察した。単なる現状分析にとどまらず,理論研究を基礎に,時間的推移も考慮に入れてこの問題を考察した。政策評価(意義と問題点の分析)も行った。本論文においては,まず本施策の決定過程を考察し,当初株式買入を拒否していた日本銀行が,不良債権問題の深刻化と株価低落に伴う大手銀行の経営悪化という状況変化のもとで,日本銀行自らがこの異例の施策の採用を決断するに至ったことを明らかにした。続いて本施策の目的,日銀の株式買入方法,買入れ状況を論述した。さらに日銀の株式買入限度額引上施策について,それが実施された背景や目的について考察した。最後にこの施策を信用秩序維持,証券市場,貨幣・中央銀行信認に及ぼす影響について検討した。本施策は日本銀行が銀行の株価変動リスク軽減を通じて金融システムの安定を図る政策であって,また,政府に不良債権の早期処理への取組を促すという役割をもっており,それは一定の役割を果たしたが,それは大きな限界をもっており,また証券市場の改善には役立たず,中央銀行の財務悪化を通ずる信認毀損の恐れという問題点をもっていたということをを明らかにしている。