著者
石山 嘉英
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.71-84, 2004-09

日本の公的年金制度は,崩壊の危機に瀕している。その理由は,保険料の引き上げと年金給付の削減が際限なくつづいており,若い世代の負担が上がりつづけるという見通しになっていることである。04年6月には年金改革法が成立したが,これは公的年金への不信を解消するものではなかった。厚生年金と国民年金とは給付面のみで一元化されており,保険料負担の方式は異なる。真の一元化は不可能であろうから,分けて改革していくしかない。ここでは厚生年金のみの改革を考察する。負担した保険料が年金として戻ってくることが信頼を回復するための基本である。しかし,これまで保険料を負担してきた40歳以上の人は,保険料を上回る年金をもらっているか,あるいはそうなる予定である。したがって,40歳以下の人がある程度それを税として負担せざるをえない。そこで,厚生年金の改革は,少なくとも本来の保険料(年金として戻ってくる部分)と税の部分をはっきり分けるべきである。本来の保険料からは負担に比例する年金を給付すべきである。それが低い人には税の部分から上乗せを行い、最低保証年金の水準まで引き上げる。これによって保険料率を引き下げる,あるいは上昇を抑制することが可能となろう。
著者
西村 文孝
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.53-81, 2008-12
著者
飯田 鼎
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.1-28, 2003-03-31

「明治初期,自由民権運動の展開と相剋」と題する本論文は,明治の変革のイデオロギーともいうべき自由民権思想が,世代によってその理解がいかに異なるかを,福沢諭吉を中心とする天保年間生まれの思想家たちと,その後の弘化,安政年間に生まれ,明治維新の時期に成年期に達した人々の観念とを対比し,維新の変革に内在させていた緒矛盾の一端を明らかにしようとしたものである。紙面の制約もあり,「天保の老人たち」については一応ふれることができたが,植木枝盛や馬場辰猪,中江兆民および大井憲太郎等の思想や活動については,充分に展開することができなかった。テーマが大きすぎ,福沢諭吉の思想に傾斜しすぎたが,機会が許せば,明治の青年たちの思想と福沢等天保の老人たちとの思想的な相剋と葛藤についてもふれたいのであるが,今回は筆者の不手際もあり,残念乍ら果たすことができず,故藤原教授の御霊前にお詫びする次第である。
著者
樋口 晴彦
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.155-171, 2015-09
著者
陸 正 クガ マサシ Masashi KUGA
雑誌
千葉商大論叢
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.75-103, 2006-12-31

本稿は標準タイプのテスト・マーケティング(StTM)をとりあげた。その概要をレビューしたのち,花王とコルゲートの合弁でのシャンプー「スプレンダー」の事例をコンセプト開発から米国西部11州での地域販売までの2年間の経過を詳説した。ここでも製品の差別化とそのコンセプトとの整合性が成功への決定的な要件であることを確認することとなった。次稿では,コントロール・タイプのテスト・マーケティング(CTM)とビオレUの米国版「ジャーゲンス・リフレ・ッシング・ボディ・シャンプー」の事例をとりあげる。
著者
小栗 幸夫
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.11-50, 2006-06-30
被引用文献数
4

ソフトカーのコンセプトは,車の最高速度を制御し,そのことを外部に伝えるることで,安全な交通環境を生み出し,道路整備を中心とした都市開発からの転換を進めることを目標として,1980年代に生まれた。2000年に政府の公募ミレニアム・プロジェクトに採択され,様々な広報活動とともに装置開発と社会実験をおこない,2005年には愛・地球博に登場し,この期間にソフトカーで全国の自治体,小学校,大学などをめぐるキャラバンをおこなった。本稿(上)では,まず,自動車速度の危険性,20世紀の都市開発の問題性,これまでの都市計画手法やITS(Intelligent Transport System : 高度道路交通システム)の限界などを論じ,最高速度制御導入の必要性を議論する(第2章)。そして,ソフトカー・プロジェクトのこれまでの経緯と成果(第3章),わが国の関連プロジェクトなど(第4章)を説明する。本稿(下)で,ソフトカーの社会的受容性と今後の課題(第5章)を論じる。ソフトカーを知り,体験した各層の人々(ソフトカー走行実験地区の人々,ソフトカー・モニター,市民一般,小学生,大学生,交通計画・ITS・都市計画など専門家,交通安全組織,企業,政府・自治体の行政・立法担当者など)とのコミュニケーション,アンケート,レポートなどから,(1)ソフトカーの概念は新しく,社会的認知と受容を一挙に広げることはできなかったが,コンセプトや実物に触れた人の多くがその意義を評価し,積極的に協力する個人や企業が多くあらわれ,(2)電気自動車への装置の搭載や万博参加などから注目度は増し,(3)国際ネットワークの形成もはじまり,(4)自動車産業や政治の壁は厚く高いが,その中にも速度表示・制御への関心,協力,具体化の萌芽が見られた。また,(5)交通専門家などから出された実現の困難性に関する疑問も対応が可能である。そして,今後,コミュニティをベースとしたプロジェクトを継続し,大学キャンパスの自動車規制やスクールゾーンなどの施策と連動してソフトカーを実用する"ソフトカーゾーン"を生み出し,関係者へのフィードバックをおこないながら社会的認知と受容を段階的に向上させ,このようなゾーンの連鎖によってソフトカーを普遍的なものにしていくことが課題であることを論じる。
著者
工藤 剛治
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-18, 2013-09
著者
穐山 守夫
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.185-250, 2010-03
著者
穐山 守夫
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.135-150, 2013-03
著者
仲間 妙子
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.177-221, 2005-03-31

2004年12月15日,政府中央防災会議は首都直下地震が発生した場合の被害想定を公表した。一番切迫しているとされる東京湾北部地震(M7.3)では,東京都東部から千葉県北西部にかけて震度6強の激震に襲われ,建物被害が85万棟,死者は1万1000人に達し,負傷者は20万人,生き埋めなどで自力脱出できない人は4万4000人,帰宅困難者は日中で650万人が見込まれるとした。切迫地震に対する早急なる対策の重要性が提示されたと言える。本研究の目的は,これら緊急性を鑑みたうえで,直下型地震などの大規模災害時における民間組織の応急体制の質と量を検証し,大規模災害時の被害抑止,特に,人的被害の震害連鎖を遮断するルートと要因を分析することにある。具体的な研究方法は,阪神・淡路大震災における"生活協同組合コープこうべ"が自治体と締結していた「災害時緊急物資協定」に注目し,都市部が被災地となった緊急時の応急生活物資供給の支援と初動救援体制の役割と効果を検証する。この結果から,大規模災害時の被害抑止となるべき応急対応のあり方と,災害に強い社会作りへのシステムを政策提案する。