著者
古川 智恵子 中田 明美 フルカワ ナカタ C. FURUKAWA A. NAKATA
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.31, pp.1-12, 1985-03-01

"現代のように,上に衣服を着ける社会では,褌は下着として軽視されやすいが,本来は前布によって紐衣を飾るハレの衣装であった.従って,わが国においても,昭和初期頃まで漁山村を問わず,仕事着として用いられていた事は,納得のいく事である.人間は権力を現わす手段の一つとして衣を用いてその形を変え,幾多の装飾を施してきた.しかし,褌は表着のめまぐるしい変化に対して,簡略化される事はあっても,大きく変化する事はなかった.それは,褌が人間工学的な機能美を最も追求した「衣」だったからである.シンプルな衣によってアピールするには,素材が一番重要なポイントである.従って,長い歴史の中で木綿だけでなく,絹羽二重や縮緬等の高価な素材も用いられるようになったのである.褌は,現在のファッションの動向である,最小限度という「ミニマル」の真髄を何千年もの間保ち続け,生きた日本文化を今日に伝える貴重な文化財である.伝統ある褌の形態や機能性は,時代の新しい息吹きを吹きこまれながら,若者の下着やビキニに,今後も脈々と生き続けていくであろう.褌のルーツを探る事によって日本文化の一端にふれ,愛着やいとおしさを覚えるものである."
著者
谷 由美子 山本 命子 深谷 幸子 青木 みか タニ ヤマモト フカヤ アオキ Y. TANI N. YAMAMOTO S. FUKAYA M. AOKI
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.24, pp.93-102, 1978-03-15

"1.リノール酸またはコーンオイル添食による脂肪酸の生体内における挙動 リノール酸5g摂取によって血清のリノール酸は低下しアラキドン酸が4倍以上に増加した.しかしコーンオイル60g摂取によって,血清脂肪酸組成はアラキドン酸がやや減少しステアリン酸とオレイン酸は増加した.この相違については今後検討するつもりである.皮膚分泌物の脂肪酸組成は,リノール酸またはコーンオイル添食によっていずれもほとんど変動なく,パルミテン酸が30~40%をしめ次にステアリン酸,アラキドン酸が多く,いずれの場合も血清には不飽和脂肪酸が多く皮膚分泌物は大部分飽和脂肪酸よりなっていた.即ち血清成分がそのまま皮膚に浸透して分泌されるのではなく,汗腺,皮脂腺などで選択されて分泌されると考えられる.尿中脂肪酸組成はオレイン酸,ステアリン酸,パルミチン酸が多く,バルミトレイン酸は個体差が大きかった.必須脂肪酸は血清に比べて少く,コーンオイル摂取によって血清中の必須脂肪酸はほとんど変動しなかったが,尿中多価不飽和脂肪酸は増加した.2.リノール酸またはコーンオイル添食による血清脂質成分の変動 CHはいずれの場合も減少し,特にコーンオイル添食で著しく,従来血中のCHを低下させる因子の1つとして高度不飽和脂肪酸を含む植物油がよいとされている事実を裏付けた.CHを約48%含むβ-LPも同様に食後減少がみられた.TGは食後3時問に有意に増加した.これらの現象はリノール酸5g摂取よりもコーンオイル60g摂取の場合の方がその影響は顕著であった."
著者
南川 幸
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
no.11, pp.63-67, 1965-03-20

"食用担子菌類のfungiのisolationおよびPure cultureの研究の一部として今回はTricholoma matsutake, T.flavovirens, T. aggregatum, Lactarius hatsudake, Balelopsis leucomelas, Sarcodon asperatusなどを試料にfruit bodyからの菌の分離に関して行なった実験結果について報告した.1)一般に培地面に移植したのち,8時間ほどで多くの菌糸が発生をはじめ,6日後には淡白色を呈する菌糸そうが構成される.2)fruit bodyの菌傘部,菌柄部,ひだ部の三部位よりの移植においてはひだ部が最も良好な結果が得られることが明らかになった."
著者
南川 幸 ミナミカワ ミユキ Miyuki MINAMIKAWA
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.11, pp.63-67, 1965-03-20

"食用担子菌類のfungiのisolationおよびPure cultureの研究の一部として今回はTricholoma matsutake, T.flavovirens, T. aggregatum, Lactarius hatsudake, Balelopsis leucomelas, Sarcodon asperatusなどを試料にfruit bodyからの菌の分離に関して行なった実験結果について報告した.1)一般に培地面に移植したのち,8時間ほどで多くの菌糸が発生をはじめ,6日後には淡白色を呈する菌糸そうが構成される.2)fruit bodyの菌傘部,菌柄部,ひだ部の三部位よりの移植においてはひだ部が最も良好な結果が得られることが明らかになった."
著者
古川 智恵子 中田 明美 フルカワ ナカタ C. FURUKAWA A. NAKATA
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.31, pp.13-21, 1985-03-01

"褌は本来表着であり,それを仕事着として受け継いでいるのが力士のまわしである.相撲の歴史は古く,わが国でも「古事記」等に記述が残っている.奈良・平安時代には天皇による節会相撲が行われ,武家時代は武士の心身の鍛練のために盛んであった.江戸時代には力士が職業となり,勧進相撲が行われ,明治末期に風俗や規則が確立されて今日に至っている.初期のまわしは,まわしと化粧まわしの区別がなく,平安時代には白い麻の犢鼻褌,武家時代は白と茜の麻であったが,江戸時代に力士が職業となると,素材として最高の絹が用いられるようになる.そして,デモンストレーション用として豪華な化粧まわしが分離するのである.また,紐衣の呪性も残され,特に横綱の衣装は前面を化粧まおしや横綱,四手等によって,後面は魂を結びこめた綱や化粧まわしの結びによって,幾重にも悪霊から身を守っている.一方,それはまた,力と地位を示すための最高の飾りでもある.以上のように,力士のまわしは形こそシンプルではあるが,紐衣の呪術性,褌の装飾性と機能性,結びの魂等,さまざまな要素が集約された最小にして最高の衣である.最後に,本研究にあたり貴重な資料の写真撮影をさせて頂き,また懇切な御助言を頂きました相撲博物館の方々および,力士の方々に深く感謝申し上げます."
著者
南川 幸 塩谷 つね子 平野 年秋 ミナミカワ エンヤ ヒラノ M. MINAMIKAWA T. ENYA T. HIRANO
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.19, pp.21-34, 1973-03-15

"日本産ヒダナジタケ目Aphyllophorales中の肉質キノコ類に関し,その菌類分類学的位置および種の特徴をまとめ,肉質キノコ類を含む科の菌類分類学的特徴について言及し,ヒダナシタケ目中最も美味で広く世界的に利用されているアンズタケ科Cantharellusの成分,特にPro-Bitamine D_2 エルゴステリンに関して定量測定を進め次の結果を得た.1.アンズタケ科のエルゴステリンの含有量はほぼ0.08%から0.2%ぐらいまである.2.アンズタケ科のうちオオムラサキアンズタケが0.19%,ヒナアンズタケの0.17%,アンズタケの0.16%が比較的多く,つづいてベニウスタケ,ミキイロウスタケ,クロラッパタケ,シロアンズタケモドキの0,10%で,アクイロウスタケ,アカラッパタケは比較的少ない.3.エルゴステリンは成熟が進むにつれて増加する傾向が明らかになった.4.エルゴステリンは子実体の各部位により含有量に大きな差がある.すなわち菌傘部に多く菌柄部が少ない."
著者
壁谷 久代 斉藤 一枝 畠山 妃美子 栃原 きみえ カベヤ サイトウ ハタケヤマ トチハラ H. KABEYA K. SAITO H. HATAKEYAMA K. TOCHIHARA
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.27, pp.71-80, 1981-03-31

"顔面の各形態的因子と個性との関係を知るために,眉,眼,鼻,□,顔型の各々の官能検査結果を基に,重要と思われる顔の各形態的因子を選出し,顔面の試料を作成した.そしてその試料を用いて,強い-弱い,明るい-暗い,整っている-整っていない,あたたかい-冷たいの4形容詞対についてSD法により官能検査を行い,多変量解析によって両者の関係を検討したところ,次のような結果を得た.1.強い-弱いについては眉角度が最も影響し,次に眼の面積,眼角度の順であり,鼻,□,顔型の影響は少ないという結果であった.2.明るい-暗いについては眼の面積が特に大きく影響するという結果で,次には黒眼径/眼開大経が高い係数を示した.従って三白眼ほど暗いという結果であった.3.整っている-整っていないでは,眼の面積が最も大きく影響し,次には眉角度,鼻幅の順となっている.しかし評価の因子をもつこの形容詞対については,累積寄与率がやや低いことから別の要因も考えられる.4.あたたかい-冷たいについても眼の面積が最も大きく影響するという結果であった.以上の重回帰分析結果より,眼の面積は個性を判断するためにかなり重要な形態的因子であると考えられる.またクラスター分析においては,強い-弱いという形容詞対により大きく3群に分かれていることから,個性を表わすためには重要な形容詞対であると思われる.しかし,これらは平面的な,しかもモデル化した試料を用いているため,今後はこの結果を基に,生体へと発展させ,被服の着装効果との関係を明らかにしていきたいと考えている.終りに,本研究の官能検査の検査者として協力して下さった服飾専攻の学生諸姉に対し深く感謝いたします.なお,本研究は,日本家政学会第32回総会において発表したものである."
著者
"荻野 千鶴子 古川 智恵子 豊田 幸子 飯島 則子 池田 恭子" オギノ フルカワ トヨダ イイジマ / C. "OGINO C. FURUKAWA S. TOYODA N. IIJIMA K." IKEDA
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.24, pp.9-18, 1978-03-15

"以上女子大生の被服購入状況の調査結果をまとめると下記のようである。 1.学生の所持する衣服では,洋服がそのほとんどを占め,その製作割合は,洋服は80%が既製服であり,和服は家庭,注文製作がその大半を占め対象的にみられた. 2.流行への関心度では,女子大生は高い関心を示し,無関心は0で既製服購人の選択順位についても,和洋服ともに,サイズ,品質表示,価格などの実質面よりむしろデザイン,色・柄などの流行面の視点を第1位に選択し,流行への関心の高さがみられた.又,過去4年間の服種別流行への関心度では,ジーンズが顕著に高くみられた. 3.ジーンズ所持数大・小グループの2群にわけて意識を比較した結果,大グループは服の所持数が多くても,死蔵枚数が多く,活用枚数は少ない.又,購入時の計画性についても,小グループに比較して,無計画の傾向がみられた.流行おくれの服の処理でも,大グループはそのまま保管することが多く,小グループでは,そのまま着用したり,他人に譲ったりと活用範囲も広く,大グループに比較して効果的な衣生活運営の傾向が認められた."
著者
"栃原 きみえ 斉藤 一枝 水口 綾子 池田 恵子" トチハラ サイトウ ミズグチ イケダ K. "TOCHIHARA K. SAITO A. MIZUGUCHI K." IKEDA
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1-12, 1979-03-15

"被服の着装効果と人の個性との関係を明らかにするために,個性の要素の1つである顔の形態的因子を研究対象とし,本学学生222名を被験者として,1/2大の写真を用いて各部位の計測をした.1.眉,目,鼻,口の長径,幅径,角度 眉,目,鼻,口の各部位の長径,幅径および角度を計測し,最大,最小,平均,標準偏差を求めた.2.眉,目の長径,幅径,角度の左右差と出現率 顔の因子の左右アンバランスは個性の研究に必要と考え,眉長,眉幅,眼裂長,眼開大径および眉頭を基点とする眉尻の角度,眼頭を基点とする眼裂の角度の左右差について検討したが,左右同径,および同角度は極めて少なく,各項目ともに約80~90%の者に左右差が認められ,高い出現率であった.3.眉,目,鼻,口の相関係数 眉,目,鼻,口の長径,幅径,角度の120項目について相関係数を求めたところ,41項目が有意であった.その中で眉長,眉幅,眉角度,眼裂長,眼開大径のおのおの右と左間の相関係数が特に高い傾向を示した.そこで類型化のための資料には,左右のいずれか一方でよいと判断し,本研究では右を用いることにした.4.眉,目の類型化 4-1 眉,目の長径,幅径による類型化と出現率 本研究を進めるにあたって,先ず顔の因子の類型化が必要と考え,今回は眉と目を取り上げ,長径,幅径の標準偏差±3σを用いて5段階に分け,両者の組み合わせによって類型化を試み出現率を求めた. 4-2 眉,目の角度による類型化と出現率 眉長と眉角度および眼裂長と眼角度の各標準偏差を用いて類型化を試みたが,上り眉は52.7%と過半数を占め,下り眉は31.1%また0度つまり眉頭と眉尻が水平線上にある眉は16.2%であった. 目の場合,上り目の出現率は97.7%と圧倒的に高く,下り目は0.5%,0度は1.8%と低い傾向であった. 4-3 眉の特殊型 眉の形には俗にいう三日月型,への字型などがあるが,これらの形態と個性との関係を追求するために類型化を試みたが,全体の中での出現率は三日月型が22.5%,への字型が14.0%であった. 4-4 一重まぶた,二重まぶたの例 目の形態には俗にいう一重まぶた,二重まぶたがあるが,出現率は一重まぶたが55.4%二重まぶたが33.0%,また左右のいずれか一方が一重まぶた,または二重まぶたのいわゆる左右アンバランスの目は10.8%であった.以上のように一重まぶたの者が圧倒的に多かったのは,東洋人種である日本人の特徴を裏付けているものといえよう. 7-5 眉,目の位置に関する類型化 左右の眉頭間および眼頭間の各標準偏差を用いて5段階の類型化を,また眉の下縁と目の上縁間の標準偏差を用いて眉,目間の類型化を試み,眉と目の位置に関する形態を把握した.以上,眉,目,鼻,口の長径,幅径,角度を数値として確認し,また眉,目について類型化を試みたが,続けて鼻,口の類型化を試みたいと考えている.今後これらの資料をもとにして個性との関係を追求し,更に被服との関係についても明らかにしてゆきたいと考えている.終りに本研究の資料収集に御協力くださった高梨亨子講師,また被験者として御協力くださった服飾専攻の学生諸姉に,深甚の謝意を表します."
著者
"宮脇 修" "ミヤワキ オサム" Osamu" "MlYAWAKI
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.31, pp.121-131, 1985-03-01

"PF-STUDY,CCPのデーターをもとにして,Low sociometric status groupをHigh sociometric status groupに対比して,その人格的・行動的特性をまとめると,次の三つに要約される. 1.L groupはH groupに比べ,一般的にフラストレーション耐性が低く,H groupがフラストレーション事態でも,その問題解決に当たって内省的努力の構えで対するのに,L groupはフラストレーションを惹きおこした事物・人物に向けて単なる不平不満の感情で終始する傾向がある. 2.L group は,H group に比べ,母親に対して情緒的接触の薄さを感じ,全体的に受容的母親像を持ちにくい傾向がみられる. 3.また,父親像に関しても,H group では子どもの依存性を排除し独立への希求を持つ親として把えられているのに対し,L groupではその点が弱い傾向にある.尚,この研究を通して,フラストレーション耐性と,子どもの養育をめぐる親子関係との間に深いかかわりのあることに気づいた.今後の課題として,このかかわりの面に注目し, L,H両群の比較研究をすすめていきたい."
著者
"内島 幸江" "ウチジマ ユキエ" Yukie" "UCHIJIMA
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.16, pp.59-64, 1970-03-15

"パイ皮の材料に関する検討を行ない,大豆たんぱく粉を添加した,大豆油を用いたパイ皮を試作し,その保存中の成分の変化について研究した結果,次のことが認められた.大豆油を用いたパイ皮へ,大豆たんぱく粉を添加した場合,四種の大豆たんぱく粉のうちでエスサンミートがたんぱく質含量が高く,嗜好的にも好まれ,ミートパイ,ピッツアパイようの食品として利用できた.また大豆たんぱく粉を添加した場合.パイペーストにスープを用いたものが.官能テストの評価が高く,油脂の酸敗度も少なかった.すなわちスープを加えたパイ皮は保存性が高められ,味も良好であり,また大豆たんぱく粉は小麦粉の10%まで添加可能であった.パイ皮のデンプンのα化度においては油脂の添加量が少なく,加水量の多いものほど高かったが保存中の変化はほとんどみられなかった.終りに本研究に御協力いただきました寺沢敏子,中村章子の諸嬢にお礼申し上げます.また試料を提供していただいた豊年製油KK,味の素KK,大日本製糖KKに感謝致します."
著者
"遠藤 亮子 高橋 平八郎" "エンドウ リョウコ タカハシ ヘイハチロウ" Ryoko "ENDO Heihachiro" TAKAHASHI
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.18, pp.59-63, 1972-04-01

"白ネズミ小腸磨砕抽出液を用いてフィターゼ作用を調べた.至適pHがPH6.6とPH8.4の2ケ所に存在し,Mg^<2+>の効果が両pHで異なるところから,白ネズミ小腸には少くとも2種のフィターゼ作用をもつ酵素が存在すると推定した.実験に協力頂いた浅見靖子,友枝由紀両氏に感謝致します."