著者
古川 智恵子 中田 明美 フルカワ ナカタ C. FURUKAWA A. NAKATA
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.31, pp.1-12, 1985-03-01

"現代のように,上に衣服を着ける社会では,褌は下着として軽視されやすいが,本来は前布によって紐衣を飾るハレの衣装であった.従って,わが国においても,昭和初期頃まで漁山村を問わず,仕事着として用いられていた事は,納得のいく事である.人間は権力を現わす手段の一つとして衣を用いてその形を変え,幾多の装飾を施してきた.しかし,褌は表着のめまぐるしい変化に対して,簡略化される事はあっても,大きく変化する事はなかった.それは,褌が人間工学的な機能美を最も追求した「衣」だったからである.シンプルな衣によってアピールするには,素材が一番重要なポイントである.従って,長い歴史の中で木綿だけでなく,絹羽二重や縮緬等の高価な素材も用いられるようになったのである.褌は,現在のファッションの動向である,最小限度という「ミニマル」の真髄を何千年もの間保ち続け,生きた日本文化を今日に伝える貴重な文化財である.伝統ある褌の形態や機能性は,時代の新しい息吹きを吹きこまれながら,若者の下着やビキニに,今後も脈々と生き続けていくであろう.褌のルーツを探る事によって日本文化の一端にふれ,愛着やいとおしさを覚えるものである."
著者
中谷 猛 ナカタニ タケシ Nakatani Takeshi
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 = The Doshisha Hogaku (The Doshisha law review) (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.161-194, 2007-07-31

論文(Article)第一部(Part1)フランスの共和主義的伝統において,ジャコバン主義とデモクラシーとの間にはどのような論理的関連があり,またそこにはどんな特徴が見られるのか。フランス革命と革命後世紀で展開された革命擁護論とそれに対立する批判論に含まれたジャコバン的観念の特質,つまりジャコバン的パラダイムの明確化をめざす。この過程でジャコバン的観念がデモクラシーや共和制のイメージに及ぼした影響を検討して,共和主義言説におけるデモクラシーとジャコバン主義の複雑な関係を整理したい。How shall we think the relation the Jacobinism and democracy in the Frenchrepublicanism ? It seems to me that this problem, Sovereignty versus Democracy is the essential matter. We shall try to show complex a phenomen Jacobinism in French political thought, after national integration and scio-economic change. Therefore this monograph is a study of Jacobinism paradigm or characters in debate and action on wide spectrum of 19th-century critics.
著者
中田 考 ナカタ コウ Nakata Ko
出版者
同志社大学一神教学際研究センター
雑誌
一神教学際研究 = Journal of the interdisciplinary study of monotheistic religions : JISMOR (ISSN:18801080)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.67-89, 2011-03-31

一般論文 スンナ派カリフ論は、シーア派のイマーム論の王権神授説(イマーム神任論)の否定に立脚する人選論と自己規定される。そしてこの「カリフ人選論」を出発点とすることにより、現代のイスラーム政治研究において、現代のスンナ派政治論が選挙によって支配者を選ぶ西欧民主主義の変種としてカリフ制の提示を試みる一方で、西欧側は終身制などを理由にカリフ制を一種の独裁制として批判する構図が成立している。本稿は、イスラーム政治論の焦点をカリフからシャリーア(≒イスラーム法)に移すことにより、「シャリーアに基づく政治」としてイスラーム政治論を再構築したイブン・タイミーヤ(1328年没)の思想を手掛かりに、グローバリズムの文脈において、スンナ派カリフ制を脱構築し、「地上における法の支配の実現」として再規定することを目指す。カリフ制を「地上における法の支配の実現」として理解するためには、民主制、独裁制等の現代西欧の政治学の概念装置が、政治を人の支配と捉えるギリシャ以来の西欧の伝統に由来することを自覚化する必要がある。そこで本稿では、イスラームと西洋に中国を加えて政治思想の「三角測量」を行いイスラーム政治思想の特徴を明るみに出す。
著者
野村 研仁 仲田 恭典 井上 克郎 鳥居 宏次 木村 陽一 米山 寛二 ノムラ ケンジ ナカタ ヤスノリ イノウエ カツロウ トリイ コウジ キムラ ヨウイチ ヨネヤマ カンジ Nomura Kenji Nakata Yasunori Inoue Katsuro Torii Koji Kimura Yoichi Yoneyama Kanji
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.38, pp.1-8, 1987-06-24

プログラムの実行時エラーの原因を効率よく発見するためには,デバッグに関する多くの経験的知識が必要である.熟練したプログラマーは,処理系が発生する実行時エラーメッセージを見ると,過去の経験に照らし合わせていくつかのエラー原因を推測し,ソースプログラムや実行結果を詳しく調べることによりエラー原因を特定する.実行時エラーメッセージを認識してからエラー原因を推定するまでの間に熟練したプログラマーが行う推論に用いる知識は,実行時エラーの原因診断システムには,ほとんど用いられていないのが現状である.本稿では,熟練プログラマーがデバッグの際に用いる知識の整理,これらの知識および推論方法を用いるPL/Iプログラムの実行時エラー原因診断エキスパートシステムの試作について報告する.When 'expert' programmer debugs programs, he uses many heuristic knowledges to find out the causes of errors. He at first infers the candidates for the causes of the errors from error messages and next verifies each candidate. Using these domain knowledges, we designed an expert system for diagnosing run-time errors in PL/I programs. We had devoloped a prototype of this system on the XEROX 1108 using the KEE. This prototype infers the cause of "data exception error", which practically happens frequently, in such a way that at first generating the hypothesis from error messages and then verifying these hypothesis.
著者
浅川 和美 小田切 陽一 依田 純子 中田 弘子 後藤 茂美 狩野 英美 斉藤 寿美 浅川 和美 小田切 陽一 依田 純子 中田 弘子 後藤 茂美 狩野 英美 斉藤 寿美 ASAKAWA Kazumi ODAGIRI Youichi YODA Junko NAKATA Hiroko GOTOU Shigemi KARINO Hidemi SAITOU Sumi アサカワ カズミ Asakawa Kazumi オダギリ ヨウイチ Odagiri Yoichi ヨダ ジュンコ Yoda Junko ナカタ ヒロコ Nakata Hiroko ゴトウ シゲミ Goto Shigemi カリノ ヒデミ Karino Hidemi サイトウ スミ Saito Sumi
出版者
山梨県立看護大学短期大学部
雑誌
紀要 = Bulletin of Yamanashi Junior College of Nursing (ISSN:13420097)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.41-48, 2004-03-01

【目的】易感染者が増加している在宅ケアにおいては、訪問看護師が感染媒体とならないような感染対策が必要であるが、訪問看護師が実際に行っている一連のケア内容と感染媒体としてのリスクの関係を実証的に検証した研究は僅少である。本研究では、訪問看護師のケア内容と感染予防行為における、看護師の身体部位ならびに伝播媒体となりうる物品等について、細菌学的汚染の状況を調査し、在宅看護における感染予防対策の有効性について検討した。【方法】平成14年5月から平成15年2月に、Y訪問看護ステーションの訪問看護師の訪問時に、訪問看護師の手指、手首、全胸部、足底、マンシェットの各部位の細菌を採取した。調査時は研究者が同行し、訪問看護師の実施したケア内容と感染予防行為を時系列に記述し、ケア前と後(最終手洗いの直前)の付着細菌をスタンプ法にて採取し、菌数を測定した。細菌検査はペタンチェック20cm(栄研器材)を用いて、一般細菌およびブドウ球菌の菌数を測定した。【倫理的配慮】訪問対象には、訪問看護から事前に、文書を用いて、研究の目的や方法、拒絶しても不利益が生じないこと等を説明し、同意が得られた事例宅において、調査を行った。データは個人が特定されないような配慮を施すとともに研究者による管理を保証した。【結果及び考察】延べ30事例の訪問時の看護ケアについての実態調査と細菌検査を行った。ケア内容は、生体物質への直接接触を含むケア(High Risk Care:HRC)と含まないケア(Low Risk Care;LRC) に分類された。訪問看護師の感染予防対策の主なものは、(1)石けんと流水による手洗い(2)持参した手拭きの使用(3)HRC時(ケア毎)の手袋の着用、等であった。手首においては、ケア数が多いほど、汚染が高く、排泄ケアや陰部ケアを含む場合に、とくに高くなる傾向が認められたが、ケースを越えた汚染と考えられた例は少数例にとどまった。マンシェットは、一部でケースを越えての細菌汚染の蓄積効果も認められた。本研究の結果より、訪問看護師による療養者間の細菌伝播の可能性は低いと推測され、現状の訪問看護師の感染予防行為が有効に機能していることが確かめられた。
著者
中谷 結花 武藤 崇 Yuuka Nakatani Takashi Muto ナカタニ ユウカ ムトウ タカシ
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.29-42, 2016-12-15

本稿の目的は,1)青年期の過敏性腸症候群の定義,診断基準,およびその特徴,そして現在までに行われてきたその援助方法を概観すること,2)現時点までの援助方法の問題点を述べ,3)新たな心理的介入としてアクセプタンス&コミットメント・セラピーを提案することであった。現在までに青年期の過敏性腸症候群に対して,薬物療法,食事療法,心理療法などのさまざまな治療法が取り組まれている。しかし,その効果が認められているのは心理療法のみである。さらに,具体的に効果が確立された介入方法はいまだ明確になっていない。また,これまでの心理的介入は症状の除去や緩和に焦点を当てたものが大半であり,これはさらなる苦痛を生じさせることも考えられた。そこで,新たな心理的介入として,症状の除去や緩和に焦点を当てず,症状があっても意義ある人生を送れるようにすることを目的としたアクセプタンス&コミットメント・セラピーの導入を提案した。そのうえで,青年期の過敏性腸症候群に特化したモデルも提案した。研究動向
著者
中田 清 ナカタ キヨシ Kiyoshi Nakata
雑誌
修道商学
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.25-49, 2007-09-30
著者
古川 智恵子 中田 明美 フルカワ ナカタ C. FURUKAWA A. NAKATA
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.31, pp.13-21, 1985-03-01

"褌は本来表着であり,それを仕事着として受け継いでいるのが力士のまわしである.相撲の歴史は古く,わが国でも「古事記」等に記述が残っている.奈良・平安時代には天皇による節会相撲が行われ,武家時代は武士の心身の鍛練のために盛んであった.江戸時代には力士が職業となり,勧進相撲が行われ,明治末期に風俗や規則が確立されて今日に至っている.初期のまわしは,まわしと化粧まわしの区別がなく,平安時代には白い麻の犢鼻褌,武家時代は白と茜の麻であったが,江戸時代に力士が職業となると,素材として最高の絹が用いられるようになる.そして,デモンストレーション用として豪華な化粧まわしが分離するのである.また,紐衣の呪性も残され,特に横綱の衣装は前面を化粧まおしや横綱,四手等によって,後面は魂を結びこめた綱や化粧まわしの結びによって,幾重にも悪霊から身を守っている.一方,それはまた,力と地位を示すための最高の飾りでもある.以上のように,力士のまわしは形こそシンプルではあるが,紐衣の呪術性,褌の装飾性と機能性,結びの魂等,さまざまな要素が集約された最小にして最高の衣である.最後に,本研究にあたり貴重な資料の写真撮影をさせて頂き,また懇切な御助言を頂きました相撲博物館の方々および,力士の方々に深く感謝申し上げます."
著者
仲谷 兼人 ナカタニ カネト Kaneto NAKATANI
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.5, pp.57-69, 2006-01-31

絵画表現の本質は2次元の平面上に3次元の空間を再現するところにある。このことと、網膜像に基づいて立体的な空間を認知している我々の視知覚システムの機能との間には強い類似性が指摘できる。本稿では絵画に見られる各種の遠近表現法、特に線遠近法をとりあげ、ルネサンス期以降の西洋絵画と江戸期の浮世絵を比較して論じている。知覚心理学と芸術心理学の立場から、単眼性の「奥行き知覚の手がかり」が芸術表現の意図とどのように調和し、利用されているか、例を示しながら紹介した。 初期の浮世絵の中にはルネサンスの線遠近法の直接的・間接的影響を受け、紙面上に構成された奥行きのイリュージョンを楽しむものがみられた。これを浮絵と呼ぶ。浮絵はくぼみ絵の別称が示すように奥行き感の表現を重視したが、次第に線遠近法の制約、限界を意識し、最盛期には洗練された独自の空間表現が見られるようになった。葛飾北斎は伝統的な日本画の表現と線遠近法に基づいて構成される近代的な風景表現を画面上に描き分け、観察者を窮屈な幾何学的枠組みから解放した。また直線を用いず、多くの同心円で構成された画面から新たな幾何学的遠近法の可能性を示した。安藤広重は伝統的な俯瞰図を遠近法と調和させ、観察者の視線を誘導することによって空間の広がりを表現することに成功した。同時期西洋では印象派がルネサンス以来の空間表現の限界を打破すべく台頭し始めていたが、幕末の開国以降、浮世絵は西欧、とくにフランスでよく知られるようになり、ジャポニズムの流行とともにロートレック、セザンヌ、ドガ、ゴッホをはじめとする後期印象派に強い影響を与えた。
著者
宗像 晶子 ムナカタ アキコ Munakata Akiko
出版者
意匠学会
雑誌
デザイン理論 (ISSN:09101578)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.75-89, 2011-06-30