著者
朴 是龍 元 炳〓
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.199-203, 1978

韓国産コウモリ類3種に対する核型分析結果は次の通りである。<BR>1.コウライキクガシラコウモリ<I>Rhinolophus ferrumequinum korai</I> 2n=58, FN=60, 常染色体は, 中型: M型が2隻であり, 大型から小型まで26隻のA型になって居る。X染色体は大型のSM型であり, Yは小型のA型である。<BR>2.モモジロコゥモリ<I>Myotis macrodactylus</I> 2n=44, FN=50。この種は, 3雙の大型, 1雙の小型であるM型と中型から小型まで17雙のA型になっている常染色体を持っており, X染色体は中型であるSM型であり, Y染色体は小型のA型である。<BR>3.コウライオオアブラコウモリ<I>Pipistrellus savii coreensis</I> 2n-44, FN=50。<BR>木種の核型は, X染色体が中型のM型である事を除いては, 上記のモモジロコウモリ<I>M. mucrodactylus</I>と同様に表われた。
著者
伊澤 雅子
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.219-228, 1983

ノネコの日周活動を知るため, 福岡県の離島, 相の島において, ラジオ・トラッキング法と直接観察法を用いた調査を行なった。発情したオスを除いて, ノネコは1日のうちの大部分を休息に費やした。高いアクティビティーは日没時と日の出時項にみられ, この薄明薄暮型のパターンは, 個体間でも, 季節的にもかわることはなかった。また, ノネコは, 夏にはより夜行性, 冬にはより昼行性の活動を行ない, この変化は気温と強い関係をもっていた。すなわち, 気温が高くなるにつれて, 活動時間は昼間から夜間へと移っていた。また, 雨や発情期もネコの活動に影響を与えていた。ノネコのアクティビティーのこれらの特徴とそれに影響する要因を, 他の食肉目と比較して議論した。
著者
阿部 永
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.13-23, 1974-02-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10

1.本州において, 小形のアズマモグラを駆逐しながら北方に分布を拡大している大形のコウベモグラの分布北端の一つが, 狭い木曽谷流域にある長野県上松町および伊那谷の上流に位置する塩尻市小野附近にある。2.1959年8月と11月に行なった採集とトンネル調査, および1973年3月に行なったトンネル調査により, 分布接点における両種のトンネル分布の14年問における変化を調べた。3.上松町ではモグラがこの14年間に約3kmにわたってアズマモグラを駆逐して分布を拡げた。一方, 塩尻市小野附近における両者の分布接点はこの期間にほとんど変化がなく, その最大の理由は, この附近が川の源流に近く, 土壌条件が悪いため, 大形のコウベモグラの生息にとって不適当な環境であることによるものと考えられた。4.コウベモグラは木曽谷よりも伊那谷の方において, より早く北方まで分布を拡大してているが, その理由は, 前者より後者においてモグラの生息域が広く, したがって生息数が多いことによるものと考えられた。5.生息地の環境条件, モグラ類の地理的変異の一般的傾向, 形質置換, およびベルグマンの法則などの影響を受けながら形成されたと思われる, 分布接点附近における2種のモグラの形態的特徴をもとにして, それらの生態的関係を論議した。
著者
小原 巖
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.55-56, 1968-06-30 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5

Although the mammal formula seems to be considerably important for classification in many groups of mammals, there are only a few published records of them among Japanese carnivorous species. Therefore, the following data, obtained by the author during recent few years, may contribute to this field.Selenarctos thibetanus japonicus (SCHLEGEL, 1857) —2+1+0=6 _??_juv.Vulpes vulpes japonica GRAY, 1868—2+1+1=8 _??_ ad.; 2+ (1-2) +1=9 _??_ ad., with an additional nipple at the left side of abdomen.Nyctereutes procyonoides viverrinus TEMMINCK, 1844—1+2+1 =8 1 _??_ & 1 _??_juvs.; 0+2+2=8 _??_juv.Meles ineles anakuma TEMMINCK, 1844—1+1+1=6 _??_ ad.
著者
米田 政明
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-8, 1976-11-30 (Released:2010-08-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1

1.北海道長万部地方より採集した49例および北海道大学に所蔵されていた125例のエゾヒグマ標本について, 犬歯歯根セメント層に見られた年輪構造および歯根の発達程度を基準として年齢査定をおこなった。2.エゾヒグマの永久犬歯歯根は0歳では未発達であり, セメント層の沈着は, 歯根の形成の進んだ1歳の夏に初めておこると考えられた。3.毎年継続して一定地域で捕殺されてきた長万部標本, また不特定の時期および場所より集められた北大所蔵標本のいずれも年齢構成に顕著な性差は認められず, 全体として老年齢層が少なく, 若年齢層の多いピラミッド型が見られたが, 0~1歳は, 2~3歳より逆に少なくなっていることが認められた。4.0~1歳の年齢層が, 2~3歳の年齢層より捕獲数が少ないことの理由として, 1.5歳までは母グマと共に行動し, 春, 冬眠穴から出てくるのがおそいため捕獲されにくいこと, 逆に2~3歳では分散期に入り動きが広くなり, また冬眠穴から出てくるのが早いという理由が考えられた。
著者
寺西 敏夫 辻 敬一郎
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.211-212, 1981-12-25 (Released:2010-08-25)
参考文献数
1

Killed pups of Micromys minutus were left in their breeding nest under natural habitat. Their estimated age was 5 or 6 days. When discovered, the bodies were still bleeding and did not show cadaveric rigidity yet. Bites were located on the nose, neck, side and inguinal resions in all of them. Two received a severe injury on the head. From the examination of bites, it was inferred that the infanticide was done in a brief time by their mother.
著者
今泉 吉典
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.17-22, 1961-10-05 (Released:2010-08-25)

An imperfect body with a complete skull of Crocidura dsinezumi orii Kuroda 1924, was found in a stomach of Trimeresurus okinavensis, which was colleced in July, 1960 by Mr. T. Morita and Dr. K. Koba at Yuwandake, Amami-Oshima, Japan. It is the second and unique specimen of orii, because this form has only been known by a type, a skin and an imperfect skull, collected in 1922 and destroyed by fire in 1945. The second specimen, adult male, is easily distinguished from russula, sodyi, tanakae, thornasi, dsinezumi, umbrina, chisai, shantungensis, watasei and tadae by relatively longer fur of the back (6.0-6.5 mm against 2.5×5.0 mm), decidedly larger claws of manus (2.7 mm against 1.1-1.8 mm), much shorter braincase (nearly circular against oblong), and posteriorly located posterior border of anteorbital foramen and anterior extremity of orbit. Therefore, this form may not be a subspecies of dsinezumi but a distinct species, Crocidura orii, peculiar to the small island.
著者
池田 啓
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.229-236, 1983-09-25 (Released:2010-08-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2

ホンドタヌキ, Nyctereutes procyonoides viverrinus TEMMINCK, の仔の成長過程と育児行動について, 飼育下において観察をおこなった。仔は30日令で離乳した。30日から80日令にかけ, 仔の行動様式は急速に発達した。80日から仔は親から徐々に独立し, 150日令で親と同じ体重となった。仔が80日令に達するまで, 雄親は雌親と同様に育児に大きく関与していた。
著者
高田 靖司
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.40-53, 1979-06-30 (Released:2010-08-25)
参考文献数
25
被引用文献数
3

長野県中央山地にある, カモシカ特別保護区と旧扉入山辺休猟区において主に調査をした。1975年8月下旬から1977年12月初旬までに得られた, 135個のツキノワグマの糞の内容と採食活動痕を分析し, 6月中旬から12月初旬までの食性を明らかにすることができた。ツキノワグマは雑食性であるが, 植物性食物に強く依存している。6月から7月には動物性食物が重要であるが, 8月から10月には動物性食物とともに植物性食物に強く依存するようになり, 11月から12月には一層植物性食物に強く依存する。動物性食物の大半は昆虫類で占められ, アリ類 (Formicidae) , 特にアカヤマアリの成虫が重要である。次いでハチ類 (VespidaeとApidae) の成虫がよく利用された。アリ類は全期間に出現し, 最も基本的な動物性食物である。ハチ類は9月~12月まで出現した。哺乳類では, ノウサギとニホンカモシカが食べられたが, 出現頻度は低い。植物性食物では, 液果・核果類と堅果類が重要である。液果・核果類は, 8月から12月初旬まで出現し, 10月中旬までは重要な地位を占めるが, それ以後その地位を失う。堅果類は9月下旬から12月初旬まで出現し, この時期のツキノワグマにとって最も重要な食物である。液果・核果類では, アケビ類, 次いでタラノキが, 堅果類ではミズナラが最もよく利用された。この3年間ではミズナラに隔年結果現象がみられ, 1976年秋は不作であったが, 1977年の秋は豊作であった。この現象はツキノワグマの食性に影響し, 1976年にはミズナラがほとんど利用されなかったが, 1977年にはよく利用された。ツキノワグマを保護するためには, ミズナラを初め, 多様な構成樹種をもった広葉樹林を維持する必要がある。
著者
伊藤 徹魯
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.135-148, 1985-02-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
21

北海道の奥尻島青苗遺跡において1950年に発掘され, 北海道開拓記念館と札幌西高等学校に所蔵されているニホンアシカZalophus californianus japonicusの頭骨7個と下顎片8個の標本について23部位を計測し, 上・下顎頬歯数及び7縫合と2軟骨結合の消失度を調べ (Tables1, 2) , これらの標本を本種雄成獣のものであると同定した。また, ニホンアシカの頭骨ではいくつかの部位の絶対値と頭骨基底長に対するそれらの相対値が, カリフォルニアアシカZ. c. californianus及びガラパゴスアシカZ. c. wollebaekiより有意に大きく, ニホンアシカとカリフォルニアアシカは上顎頬歯数で異なることを明らかにした。従って、明瞭な形態的差異がないことなどを根拠としてニホンアシカをカリフォルニアアシカの亜種としていた従来の分類は再検討を要すると考えられる。
著者
和栗 秀一
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.2, no.6, pp.147-150, 1966-01-20 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9

The mammary formula of the canine fetus has not been described in the literature. Therefore, author studied the variation of the mammary formula, the teat number and teat dislocation, in a sum total of 24 canine fetuses. The results are summarized as follows.The mammary formula was divided into 5 types. The most standard type, 2+2+1=10, had a frequency of about 50 per cent. The mean value (±standard error) of the teat number was 9.458±0.055. From those results, it was found that the mammary formula of dogs in the embryological condition is the many-mammae type in general.Teat dislocation occurred frequently in the anterior abdominal and inguinal regions.
著者
森井 隆三
出版者
THE MAMMAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.121-126, 1975

1. 台湾, 西表島と石垣島で1970年7月20日~8月29日にかけて翼手類の採集をおこなった。<BR>2. 採集された翼手類は, 次の4科6種である。<BR>オオコウモリ科 (Family PTEROPODIDAE) : ヤエヤマオオコウモリ (<I>Pteropus dasymallus yayeyamae</I>) , キクガシラコウモリ科 (Family RHINOLOPHIDAE) : タイワンキクガシラコウモリ (<I>Rhinolophus (?) luctres formosae</I>) , ヒナキクガシラコウモリ (<I>Rhinolophus monoceros</I>) .カグラコウモリ科 (Family HIPPOSIDERIDAE) : タイワンカグラコウモリ (<I>Hipposideros arnaiger</I>) , ヒナコウモリ科 (Family VESPERTILIONIDAE) : アブラコウモリ (<I>Pipistrellus abrantus</I>) , ユビナガコウモリ (<I>Miniopterus schreibersi</I>)<BR>3. ヤエヤマオオコウモリの生態的な解明が急がれるものと思う。<BR>4. アブラコウモリ, ユビナガコウモリの2種については, 測定値からみて地域的な変異の面で興味深いものがあり, このことについては今後検討してみたい。
著者
今泉 吉典
出版者
THE MAMMAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.27-32, 1970
被引用文献数
1

The type specimen of <I>Canis hodophilax</I> TEMMINCK, 1839, is a mounted skin'a'and a skull'c'of old male collected from Japan by BÜRGER in the collection of Rijksmuseum van Natuurli jke Historic, Leiden. The skull can be distinguished rather easily from those of related forms by a combination of following characters : remarkably short condylobasal length, well developed auditory meatus external to postglenoidal foramen, emarginated anterior border of pterygoid fossa and well balanced skull jointed with mandible when put them on a horizontal surface. Based on these key characters, specimens from Japan which have been known as"<I>hodophilax</I>"were reexamined and identified as follows : a skull ('b', ad.) in Rijksmuseum, a skin and a skull from Nara (5.5.30.1, _??_ subad.) in British Museum, Nat. Hist., and a mounted skin and a skeleton from Fukushima (M 100, _??_ subad.), a skull from Fukui (M 1185, ad.) and a semifossil skull from Kumamoto (P 9792, old) in National Science Museum, Tokyo, are undoubtedly of <I>hodophilax</I>, but a skeleton ('a', _??_ ad.) in Rijksmuseum may not be of this species but of a Japanese domestic dog.
著者
今泉 吉典
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.127-136, 1975-03-30 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

Lutronectes whiteleyi GRAY, 1867, based on two young specimens collected from Hakodate, Hokkaido, Japan, seems to be extinct in the native land, and no specimens have been known in Japan.While studying the river otter of Japan, the author was attracted his attention by an adult rough skeleton of the subgenus Lutra in the mammal collection of the National Science Museum, Tokyo. Unfortunately the locality of the specimen is uncertain, but there is little doubt that it was collected at the beginning of the Mei ji era, nearly 100 years ago, in the territory of Japan at that time, that is Hondo or Hokkaido. As the specimen is evidently different from the otter of Hondo, the locality is inevitably estimated as Hokkaido.This estimation coincides with the result of identification of the specimen as Lutra whiteleyi based on strong similarities to OGNEV's adult specimen from Nemuro, Hokkaido, and dissimilarities to the most of the named forms of the subgenus Lutra, in several cranial measurements.If this identification is correct, whiteleyi seems to be a well established taxon of Lutra lutra group characterized by relatively narrow mastoid breadth and shorter muzzle (Table 6, F and G) .An opinion that whiteleyi covers whole populations of the Japanese otter, proposed by Pococx (1931), the present author (1949), etc., is not correct. L. whiteleyi must be confined to the Hokkaido population.
著者
山谷 清
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4-6, pp.121-124, 1969-12-30 (Released:2015-05-19)

北海道産エゾリスのオス1頭メス3頭をもとにして,9回の繁殖記録を得た(第2表)。これによると,交尾から分娩まで(妊娠期間)は39日(2例),1腹子数は2~6頭,平均3.9頭(9例)であった。生後57日目に1腹の子がすべて巣からはなれた(1例)。
著者
柳川 定春
出版者
THE MAMMAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.187-188, 1972

Mammals in Hawaii, P.Quentin Tomich著, 238ページ, Bishop Museum, 1969<BR>著者はハワイ島のホノカにあるハワイ州立防疫調査研究所に勤務する獣類の研究者で, おもにネズミ, マングースの生態を調べている。この著書にはクジラ, イルカを含めた44種が45枚の写真とともに述べられ, ハワイ群島の地図が1葉ついている。<BR>この群島の陸上にすむ獣類のほとんどは輸入して放されたか, 船から侵入したものであるが, その渡来について各種類ごとに正確な年代をあげ, 現在の生息状況, 被害などについて詳しく述べてあるのでこの群島の獣類相と, 輸入獣類の生物相にあたえた影響を知るのに有益である。とくに, 1883年9月30日にハワイ島のヒロで72頭のマングースがネズミの天敵として放たれたが, いまでは全群島にすみつき, ネズミ駆除の効果はあがらずかえって砂糖キビを食べたり, ニワトリを襲ったりして産業に大きな害をあたえるにいった経過などが文献をあげて説明されている。全般としてハワイ群島の獣類を知るのにこのうえもない本である。<BR>(Bishop Museum, Honolulu, Hawaii発行, 定価5ドル) 。