著者
寺西 敏夫 辻 敬一郎
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.211-212, 1981-12-25 (Released:2010-08-25)
参考文献数
1

Killed pups of Micromys minutus were left in their breeding nest under natural habitat. Their estimated age was 5 or 6 days. When discovered, the bodies were still bleeding and did not show cadaveric rigidity yet. Bites were located on the nose, neck, side and inguinal resions in all of them. Two received a severe injury on the head. From the examination of bites, it was inferred that the infanticide was done in a brief time by their mother.
著者
林部 敬吉 阿部 圭一 辻 敬一郎 雨宮 正彦 ヴァレリ ウイルキンソン 松王 政浩
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

心理学的視点と教育工学的視点から、日本伝統工芸技能の修得過程の分析、外国の技能研修制度と修得過程の分析および両者の修得過程における異文化間比較、さらに暗黙知である技能の修得を促進するわざことばの調査を通して、伝統工芸技能修得の認知的なプロセスの特徴を明らかにし、この認知的モデルに依拠した効果的な技能修得の方法と支援について提案することを目指した。陶磁器、指物、筆、硯、染色、和紙、漆器、織物など主に伝統工芸産地指定を受けた親方と弟子に対しての面接と取材調査、ドイツのマイスター制度とデュアル制度の現地調査、浜松の楽器製造産業における技能の継承についての取材調査、さらにすべての伝統工芸産地指定約220箇所の伝統工芸士に対して、「わざことば」のアンケート調査を実施した。伝統工芸士に対する取材調査では、実際の工程でのもの作りをビデオおよび3次元ビデオに録画すると共に、主要な「わざ」の手指の型を3次元カメラで取得した。企業については、工芸技能の世代間継承の方法、実態について調査した。これらの調査と分析の結果、次のことを明らかにできた。(1)「わざ」の伝承は、一種の徒弟方式である「師弟相伝」で行われる。技能伝承の基本は、技能の熟練者(親方)の模範を継承者(弟子)が観察・模倣するにあり、また継承者の技能習得を助けるものとして「わざことば」が存在する。技能伝承を効果的にするには、伝承者と継承者との間に信頼にもとつく人間的な紐帯が形成されることが大切である。2)日本の徒弟制度とドイツのマスター制度を比較すると、日本のそれの良い点は、極めて優れた技能保持者を生み出せるのに対して、ドイツのそれは、一定の技能水準をもつ技能者を育てることができることにある。徒弟制度の悪い点は、技能の修得過程が明文化されていないことで、教え方が親方の独善的なものに陥りやすい。デュアル制度の短所は、名人といわれるような技能の伝承が行われにくく、獲得した技能が一代限りで終わる点である。(3)企業における「わざ」の伝承でも、「師弟相伝」方式が採用され、技能の熟練者と継承者が相互信頼に基づき相互啓発しながら行われる。この場合、弟子の技能習得を助けるものとして「伝承メモ」(熟練者)と「継承ノート」(継承者)を介在させることが重要である。(4)「わざことば」は、技能の枢要な事項を比喩的あるいは示唆的に表現したもので、それ自体が技能の内容を余すところなく記述したものではないが、しかし技能上達のヒントともなるべきものである。
著者
石井 澄 辻 敬一郎 (1985) 木田 光郎 辻 敬一郎
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

本研究は、食虫目トガリネズミ科ジネズミ亜科の1種、ジャコウネズミ(Suncus murinus)を対象に、野生個体を起源とするドメスティケーションを試み、その過程において行動の諸特徴を経代的に観測するものである。野生個体は沖縄県下多良間島で捕獲後、ただちに人為的制御下に移して維持・繁殖を続けてきた。昭和61年度末現在、第2世代を得ている。観測対象とした行動項目は、基本的適応価をもつと考えられるもので、初期行動,生殖(性)行動,および日周活動リズムである。ジネズミ亜科の多くの種に具わる特異な初期行動としてキャラヴァン行動(caravaning)がある。従来詳細な記述がみられなかったこの行動について、ドメスティケーションの進んだ段階の個体(実験動物としてのスンクス)を対象とした組織的観測を行ない、その発現齢,成立パターンおよびその解発刺激,事態特性を明らかにした。それらの成果に基づいて、ドメスティケーション初期段階の個体と進んだ段階の個体とを比較した結果、いくつかの所見を得た。すなわち、前者の場合、出現時期がより限定的でピーク齢が明確であるのに対して、後者においてはキャラヴァンの消失齢が遅延して発現の日齢特性が曖昧化の傾向にあった。また、5種の成立パターンの発達的順序性が前者に比して後者で稀薄化し、母仔関係の障害を示唆するパターン(第【IV】型)が後者のみに認められた。このように、ドメスティケーションに伴って母仔関係の行動的発現が非特殊化する傾向が指摘できる。この種には雌に発情周期がなく、排卵は交尾刺激によって生起する。従って、生殖行動における雌雄の行動的相互作用がもつ意味は大きい。交尾の成立は、雌の攻撃に対する雄の宥和に依存するが、この宥和に一種の行動的退行と考えられる発声が有効に働くことが確かめられた。ただし、ドメスティケーションの効果は検討中である。
著者
辻 敬一郎
出版者
日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.428-430, 2016-10
著者
久野 覚 高橋 晋也 古賀 一男 辻 敬一郎 原田 昌幸 齋藤 輝幸 岩田 利枝
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

快適性には、不快がないという消極的(negative)な快適性と、面白い・楽しい・気持ちいいという積極的(positive)な快適性の2種類がある。後者の快適性はプレザントネス(pleasantness)とも呼ばれている。現在の技術の下で、建築環境工学的諸問題の多くが解決され、ほぼ不快のない空間の達成がなされていると言っていい。しかし、このような状態では、暖かいとか涼しいといったプレザントネスはない。本研究の目的は、オフィス環境における温熱環境と照明視環境を中心にプレザントネス理論を応用した新たな環境調整法を検討し、その評価手法を確立することである。得られた成果は以下の通りである。1)温熱環境:被験者実験により、低湿度空調のプレザントネス効果および屋外から室内への移動(環境変化)に伴う生理心理反応とプレザントネス性の関係について明らかにした。さらに、パーソナルコントロールが可能な天井吹き出しユニットを用いた空調方式のプレザントネス効果について研究を行った。他の研究者によって行われている研究との違いは、アンビエントつまり周囲気温を中立温度ではなく不快側に設定する点である。2)視環境:・高輝度窓面をシミュレートする調光可能な光源装置を作成し、オフィス環境実験室でアクセプタブル・グレアの実験を行った。高輝度面に対する被験者の向き、机上面照度、高輝度面の立体角のの影響などについて明らかにした。また、視覚刺激生成器(VSG)を用いた色知覚の研究、光とヒトの生体リズムの研究を行った。3)以上の結果をもとに、オフィス環境におけるプレザントネスについて総括した。
著者
長田 佳久 西川 泰夫 鈴木 光太郎 高砂 美樹 佐藤 達哉 鷲見 成正 石井 澄 行場 次朗 金沢 創 三浦 佳世 山口 真美 苧阪 直行 藤 健一 佐藤 達哉 箱田 裕司 鈴木 光太郎 櫻井 研三 西川 泰夫 鈴木 清重 増田 知尋 佐藤 隆夫 吉村 浩一 鈴木 公洋 椎名 健 本間 元康 高砂 美樹 仁平 義明 和田 有史 大山 正 鷲見 成正 増田 直衛 松田 隆夫 辻 敬一郎 古崎 敬
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では, 国内で行われてきた実験心理学研究に関連した機器や資料の現状の把握, 保管方法の検討及び活用方法に関して検討した。本研究活動の成果として,1) 国内の研究機関で保管されている機器の状態の把握,2) 廃棄予定の機器の移設,3) 機器・資料のデジタルアーカイブ化,4) 機器・資料の閲覧方法の検討の4つが挙げられる。これらの成果を通じて, 日本の実験心理学の歴史的資料を残し, 伝えるための手法に関する基盤を築いた。
著者
林部 敬吉 辻 敬一郎 中谷 広正 阿部 圭一 東山 篤規
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

研究成果は次の通りである。1.バーチャル・リアリティ空間における視覚特性について人工的に出現させたバーチャル・リアリティ空問の視覚特性が自然空間とどの程度類似しているかを、双曲空間特性、ホロプター特性、大きさ恒常性、奥行距離特性についてそれぞれ測定した。その結果、両眼視差、パースペクティブ、テクスチャ、陰影を奥行手がかりとした条件では、視覚特性で比較する限り、自然空間は限定的にしか再現されず、また個人差も大きいことが明らかにされた。2.バーチャル・リアリティ技術を応用した対象の3次元可視化についてVR技術を用い3次元可視化したときの視覚特性を考慮した次の3通りのシステム、すなわち人間の脳の3次元可視化システム、室内デザイン支援システム、初等プログラミング教育支援システムを開発した。人間の脳の3次元可視化システムでは、人間の脳の全体と部分が立体的に知覚できるようにし、同時に、脳の構造と機能とが理解できるように工夫された。室内デザイン支援システムでは、VR空間内に置かれた様々な対象(イス、机、棚など)をデータグローブを使用して仮想的に移動し配置(デザイン)させることができ、もし対象とデータグローブとが接触すれば、接触判定を行い、同時に接触したことをユーザーに視覚的、聴覚的信号で知らせて使用者の利便性を高めた。初等プログラミング教育支援システムでは、小学生や中学生等に対してバーチャル・リアリティの技術を利用することでプログラムするとはどういうことかを理解させ、同時にプログラムの結果を、ミニカーやミニロボットをプログラムに従って動かして確認することができるようにした。