著者
阿部 永
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.13-23, 1974-02-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10

1.本州において, 小形のアズマモグラを駆逐しながら北方に分布を拡大している大形のコウベモグラの分布北端の一つが, 狭い木曽谷流域にある長野県上松町および伊那谷の上流に位置する塩尻市小野附近にある。2.1959年8月と11月に行なった採集とトンネル調査, および1973年3月に行なったトンネル調査により, 分布接点における両種のトンネル分布の14年問における変化を調べた。3.上松町ではモグラがこの14年間に約3kmにわたってアズマモグラを駆逐して分布を拡げた。一方, 塩尻市小野附近における両者の分布接点はこの期間にほとんど変化がなく, その最大の理由は, この附近が川の源流に近く, 土壌条件が悪いため, 大形のコウベモグラの生息にとって不適当な環境であることによるものと考えられた。4.コウベモグラは木曽谷よりも伊那谷の方において, より早く北方まで分布を拡大してているが, その理由は, 前者より後者においてモグラの生息域が広く, したがって生息数が多いことによるものと考えられた。5.生息地の環境条件, モグラ類の地理的変異の一般的傾向, 形質置換, およびベルグマンの法則などの影響を受けながら形成されたと思われる, 分布接点附近における2種のモグラの形態的特徴をもとにして, それらの生態的関係を論議した。
著者
阿部 永
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, 1994-08-20
著者
阿部永著
出版者
北海道大学出版会
巻号頁・発行日
2007
著者
阿部 永
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.311-313, 2011 (Released:2012-01-21)
参考文献数
7
被引用文献数
2

カワネズミChimarrogale platycephalaの分布域のほぼ全域から集めた139個体の胃内容分析を行い各餌種の出現頻度を調べた.カゲロウ幼虫(84.2%)やカワゲラ幼虫(37.4%)を含む水生昆虫が最も重要な餌種であった.魚類の出現頻度(10.8%)は水生昆虫に比して著しく少なかった.しかし,個々の餌種の生物量を考慮した場合,魚類もカワネズミにとっては重要な餌であった.
著者
阿部 永 加藤 克
出版者
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園
雑誌
北大植物園研究紀要 (ISSN:13471333)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.53-85, 2014-12-22

以下に紹介する資料は、阿部永(1933-,元北海道大学教授、元北海道大学農学部博物館館長)が1968年北海道大学中央ネパール生物調査の際に記録した手帳である。手帳の記載には、「阿部永博士寄贈 哺乳類標本目録」(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園 2013)に収録されている阿部採集標本にかかわる情報が含まれており、目録に掲載できなかった情報を提供することを意図し、資料紹介という形で報告することとした。本資料は、上述した哺乳類標本の周辺情報としてだけでなく、鳥類、昆虫などの観察記録情報も含んでいることから、生物学研究の材料としての資料的価値は高い。また、北海道大学における研究・調査活動の歴史を理解する上でも重要な資料である。同時に当時の交通事情や現地の様子など歴史や文化面における記録としても意味のあるものと考えられる。
著者
阿部 永 小林 垣明 藤巻 裕蔵
出版者
日本鳥学会
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.16, no.78, pp.420-422, 1961

No breeding record for Smew, <i>Mergus albellus</i> Linn&eacute;, has hitherto been known in Japan ("A Hand-List of Japanese Birds", 4th edition, 1958). Reported here are : 1. Six adults and 5 young were observed at Wakasakanai, the northern part of Hokkaido, July 1, 1961. 2. The pond, where Smews were observed, was in fir forest and about 50m. in diameter. <i>Carex curvicollis</i> and its allies were on the watersurface.
著者
阿部 永
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.221-227, 1976-12-31 (Released:2017-04-11)

Seven hundred and sixty four specimens of Clethrionomys rufocanus bedfordiae (THOMAS) were collected in a wind shelterbelt on the Ishikari Piain, Hokkaido, from May to November of 1966 and 1967,and 300 specimens of voles which had been reared in captivity were used for the determination of age criteria for wild voles. In the stage before the formation of separate roots in M^2,the features of eruption and wearing of M^2 and the neck formation in M^2 were employed as age criteria. Seven age classes were recognized in this stage of growth. After the formation of separate roots in M^2,root ratios {(root length/total length)×100} were used and divided into 12 classes. Growth rate of the separate roots was better in the laboratory-reared specimens than in the wild in the early stages of growth, but it was reversed in older stages. Maximum iongevity of this vole in the natural habitat appeared to be in the region of 70 to 80 per cent of root ratios. The deficiency in employing body weight and the length of head and body as age criteria was enumerated.