著者
黒沢 岳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.284-292, 2016

<p>大宅壮一文庫は,雑誌の収蔵と雑誌記事索引の作成を主な事業として活動している。ここでは評論家大宅壮一が雑草文庫と呼んでいた時代から振り返り,その成り立ちを紹介する。一般書籍とは異なる雑誌ならではの記事の索引について,大宅壮一の考えを引き継ぎ,当文庫の特徴となる「人名索引」「件名索引」とは何か,利用者のニーズや世相を反映した索引とは何かを紹介する。そして手で繰る索引カードから『雑誌記事索引総目録』刊行という流れ,現在の主流であるインターネット上のWeb OYA-bunkoの検索方法を解説する。</p>
著者
深井 雅海
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.219-231, 1991-06-01 (Released:2008-05-30)

徳川幕府において,将軍は「御庭番」という独自の情報収集機関を持っていた。「御庭番」は八代将軍吉宗が創設した幕府内の役職であり,幕政の主導権が行政機構を掌握していた老中に移りつつあった状況において,社会の動きを将軍独自に収集してその意志を幕政に反映させようとしたものである。本稿は「御庭番」の創設過程,その組織·地位·職務,創設期の出動例,遠国御用と呼ばれた国内情勢の調査例,さらには職務不適格な旗本の採索例などを,最近明らかになった資料に基づいて述べたものである。
著者
田村 貴代子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.30, no.11, pp.1083-1095, 1988 (Released:2012-03-23)
参考文献数
3

目録情報を収録したJAPAN/MARC (国立国会図書館作成) のCD-ROM化について紹介した。これは試作版として開発したもので, その開発経緯と仕様の概要を述べた。さらに, (1)情報検索のための機能, (2)目録作成のための機能を中心に画面構成をあげ, その機能を詳述した。
著者
マーカム ディアナ B.:著 高木 和子:訳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.9-16, 2003
被引用文献数
2

この20~30年,デジタル情報テクノロジーが図書館に大きな変革をもたらしている。そして,電子情報サービスをサポートする技術インフラも整備されてきている。こういった状況にあって図書館は,利用者の情報ニーズに合った図書館サービスをどう決定していくか。図書館がデジタル革命を十分に利用するための諸方策はどうあるべきか。これらに対処することが図書館リーダーに求められており,またリーダーシップをどう高めるかは大きな課題であり,関心事である。新しいリーダーを教育,訓練するさまざまな開発プログラムが米国で出現しており,すでに実施されている。例えば,ACRL/ハーバードリーダーシップ専門講座,NLMのアソシエート・フェローシップ・プログラム,シラキューズ大学の夏期専門講座などである。著者はこれら9つのプログラムを紹介する。加えて,1999年に開始された,大学図書館のリーダー,管理者を対象とするフライ・リーダーシップ専門講座についてそのカリキュラムと成果を詳しく述べる。また,日本人も参加できるモーテンソン・センター国際図書館リーダーシッププログラムについても詳しく紹介する。
著者
中野 明彦
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-6, 2005 (Released:2005-04-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

わが国から発信される学術成果の8割が海外の雑誌に,しかもその多くが商業誌に掲載されており,このことが情報発信のあり方としてさまざまな問題を生んでいる。国内の雑誌,特に学協会が発行するいわゆる学会誌というものが,もう少し力をつけ,研究者が投稿したいと考えるような雑誌に脱皮していくことができれば,この問題の解決に少なからず寄与できるはずである。本稿では,創刊以来30年の伝統を持つ英文学術論文誌Cell Structure and Functionを完全な電子ジャーナルに移行させ,冊子体を廃止するという大きな決断を行った日本細胞生物学会の取り組みを,学会の立場から紹介する。
著者
藤枝 真宏 小野寺 夏生
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.77-85, 2006 (Released:2006-05-01)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2 1

J-STAGE登載雑誌の論文を引用した論文数および引用した著者の地域分布を,J-STAGE登載の前後で比較した。また,J-STAGE利用団体へのインタビュー,調査対象誌を引用した著者への質問票調査を実施した。これらの結果から,わが国の学術雑誌が電子化されることによって,利用が拡大したか,当該分野への影響力が増したのかどうかを考察した。J-STAGEは流通の促進に貢献しているが,実際に引用に影響を与えるためには,審査レベルの向上や魅力的な記事の掲載等,編集方針の変更によって質を向上させることが必要であることを指摘した。
著者
谷口 祥一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.758-765, 2014

RDAの理解において重要であるが,RDA本体には直接記載されていないこと,すなわちRDAの位置付けを確認するための事項を取り上げ論じた。最初にRDAの全体的な評価とわが国におけるRDA採用の必要性を確認し,そのうえで以下の事項を論じた。(1)RDAはFRBRとFRADに基づいているが,細部においては多数異なる部分があるため,むしろ独自のモデルをもつと捉える方が混乱が生じない。(2)RDAのみでもメタデータを作成できるが,RDAに含まれている選択肢の扱いや構文的事項については採用機関側での決定が必要である。RDA採用機関においては従来からのMARC21がメタデータスキーマとして用いられており,それに代わるものが現在検討されている。(3)RDAメタデータが利用者にもたらすものは,端的にはFRBRモデルに沿ったOPAC検索・表示機能の実現である。(4)RDA自体はLinked Dataに対応したものではなく,そのためLinked Dataに向けてRDAエレメントや値の記録に用いる統制語をレジストリOpen Metadata Registryに登録する作業が別途進められている。
著者
神尾 達夫
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.215-223, 1984

日本経済新聞社はこのほど, オフィスのパーソナルコンピュータを対象にした情報サービス「NIKKEI TELECOM」を開発, 4月からサービスを開始している。電話回線を通じて, 数値や文章の経済情報を提供, パーソナルコンピュータの機能を活かして, 数表やグラフなどを作成する新機軸のオンラインサービスである。提供情報は, 景気情報, 投資情報の2本立てとなっているが, 従来のデータベースサービスに加え, わが国では初のオンラインによるニュース速報を行うのが大きな特色。本稿では, パーソナルコンピュータ向けの情報サービスの意義を述べるとともに, 「NIKKEI TELECOM」のサービス概要, システム構成, 提供情報等について詳述する。